第31話:星空の下の告白、あるいは二人の漂流者
サザンクロスを脱出し、古代図書館への帰還路を急ぐ一行。
追手を撒くための野宿の夜、焚き火を囲むショウの元へ、エリオが静かに歩み寄ります。
そこで明かされたのは……。
サザンクロスから数日。俺たちは光の親衛隊の追跡を逃れるため、街道を外れた森の中で野宿をしていた。
見張りは交代制だ。今は俺とエリオが焚き火の番をしていた。
パチパチとはぜる火を見つめていたエリオが、ふと声を潜めて俺に問いかけてきた。
「……ショウさん。単刀直入に聞きます。あなたは、異世界から来ましたか?」
心臓が跳ねた。だが、エリオの瞳には敵意はなく、どこか切実な色が混じっていた。俺は静かに頷く。
「……そうです。でも、あの権三郎みたいな『勇者』じゃありません。全ステータス1の仕立て屋です。何のために呼ばれたのかも分からないまま、平和の神様の力を借りて、なんとかやってるだけで」
「なるほど……」
エリオは深く息を吐き、眼鏡を指で押し上げた。
「驚かないでください。実は、私は異世界から転生してきた身なんです。私は『知識の神』の加護を受けています。あの古代魔法も、神から与えられた力の一部です」
火を囲む静寂が、一気に重みを増した。まさか、こんな身近に同郷の人間がいたなんて。
「エリオさんも……。じゃあ、我々は何のために来たんですか?」
「はい。知識の神によれば、この世界『アプラウディア』はかつて創造神が作った世界でした。しかし、創造神が狂い、暴走したため、光と闇の二柱の神が結託してそれを討った……。ですが今、その光と闇の神さえも変質し、おかしくなり始めています。他の神々も、それを危惧しているんです」
エリオは焚き火を枝で突き、火の粉を散らした。
「この世界は、異世界から人を招き、様々な世界の『知識』や『魂』を集めるための揺り籠のような場所。ですが、今はそのバランスが崩れかけている。知識の神でさえ、この世界の現状については分からないことが多い……。だから私は、調査を命じられたんです。ショウさんも平和の神に調査を命じられたのでは?」
「……私は、誰からも何も命令されていません。なぜ呼ばれたかわからないんです」
エリオが俺を真っ直ぐに見つめた。
「目的がない……ショウさん、私を手伝ってくれませんか? そうすれば何かわかるかもしれませんよね……」
「そうですね……一つ聞いてもいいですか。もし全てを解決したら、俺たちは元の世界に戻れますか?」
俺の問いに、エリオは悲しげに首を振った。
「分かりません。……ですが、調べましょう」
「ありがとうございます……言っていないことがあります。我々『ピース・テイラーズ騎士団』は魔王軍の暗黒騎士団の軍団長や幹部を中心につくられています」
エリオは、まるで知っていたかのように笑顔を見せた。暗黒騎士団の解散の経緯や『ピース・テイラーズ騎士団』の設立の話をした。もちろん古代図書館を拠点にしていることもだ。エリオは全て受け入れてくれた。その上で一緒に調査をしたいともう一度頼まれた。
俺は少し考え、眠っているショーベルたちの方を見た。
「調査の手伝いですが、俺一人では決められません。俺は『ピース・テイラーズ騎士団』の団長ですから。騎士団のみんなに今の話を報告して、彼らの意見を聞いてから返事をさせてください」
「ええ、もちろん。……話せてよかった。ありがとうございます、ショウさん」
29歳、成人男性。
孤独な異邦人は、俺だけじゃなかった。
明日、仲間たちに全てを話そう。この針と糸が、世界の崩壊を止めるためのものだとしても、俺は俺のやり方で平和を仕立ててみせる。
第31話をお読みいただきありがとうございました!
ついに明かされたエリオの正体と、狂い始めた神々の真実。
ショウたちは「世界を救う」という巨大な使命を突きつけられます。
次回、お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




