第23話:管理者の手記、あるいは再起の道標
絶対聖域となった古代図書館で、ついに再集結を果たした「ピース・テイラーズ騎士団」。
豪華な設備に驚く一同でしたが、話題はこれからの指針、そして魔王軍の現状へと移ります。
石板の謎を解くため、ショウたちはかつての仲間――「知将」と呼ばれたドワーフの行方を追うことになります。
豪華なリビングに並んだ山盛りの唐揚げと、神の糸の熱伝導でふっくら炊き上がった白米。かつての「暗黒騎士団」の面々は、夢中で皿を空にしていった。
一息ついたところで、俺は淹れたてのコーヒーを配りながら、気になっていたことをショーベルに尋ねた。
「ショーベルさん。暗黒騎士団って、種族がバラバラで魔王軍でも珍しいですよね?」
三眼の巨漢ギルガス、影に溶ける猫人シノ、冷静なダークエルフの射手フェイ、そして冥界を操る闇魔導士ヴァルカス。おまけに人間のゼスタ。統一感のなさが、逆にこの集団の底知れなさを物語っている。
「あぁ。私は出自など興味がない。ただ種族を気にせず、強い者や、私の隣に立っても折れない面白い奴を集めたらこうなったのだ」
「俺たちは魔王様というよりも、ショーベル様についてきたんだからな」
ゼスタが誇らしげに言うと、ギルガスも肉を頬張りながら頷く。
「ああ。俺たちのような『はぐれ物』にとって、暗黒騎士団は居心地が良かった。人数は多くなかったが、精鋭揃いだったからな。魔王軍でも最強の一角だった自負はあるぜ」
だが、その誇り高い表情はすぐに曇った。ヴァルカスがカップを置き、静かに口を開く。
「今回、他の軍団に攻められた際、我らもただではやられなかった。奴らにも甚大な被害が出ているはずだ。……だが、魔王軍がこれほど混乱していれば、王国側がこの好機を逃すとは思えないな」
魔王軍の内部崩壊。それを王国や、あの「勇者」権三郎が見逃すはずがない。世界情勢は確実に混沌へと向かっている。
「これからどうするか、真剣に考えないとな……。まずは、この石板の文字を解読したいんです。これが読めれば、神々が何を仕組んだのかがわかるような気がするんだが……誰か、心当たりはありませんか?」
俺が石板を見せると、一同は顔を見合わせたが、誰も首を縦には振らなかった。しかし、ヴァルカスが何かを思い出したように細い顎に手を当てた。
「……魔王様以外なら、もう一人の副団長、『知将』ガリウスなら読めるかもしれん」
「ガリウス……? もう一人の副団長ですか」
「ああ。穴を掘るのが嫌いな、変わり者のドワーフだ。偏屈な男だが、異世界の言語や古の伝承を狂信的なまでに調べていた。ただ、ドワーフのくせに暗い場所を嫌い、住処が常に不明でな。どこかで異世界の研究に没頭しているはずだ」
ショーベルが記憶を辿るように、天井の装飾を見つめた。
「あいつの出身の村は、戦火でとうの昔に滅んだが……ガリウスはそこを拠点にしていて、たまに帰っているという話を聞いたことがあるな」
「……よし、決まりだ。その滅んだドワーフの村を調べてみましょう。ガリウスさんがいれば、石板の……神の真実に近づけるはずだ」
俺は一同の夕食を片付け、この広大な図書館の資料室へと足を向けた。
すごい資料の量で調べる木にもならない。だが、かつてアイドルとして「トレンド」を追い求めていた時の集中力を呼び起こす。
「滅びたドワーフの村……たくさんあるな……エルダー・スミス……。かつて魔石の加工で栄えたが、50年前に疫病で全滅。場所は、ここから北西に三日の峡谷か」
「エルダー・スミス?聞いたことがあるな……そこに行ってみようか」
ショーベルが思い出したように言った。
資料を見つけ出した俺の背中に、ショーベルが歩み寄ってきた。
「準備ができ次第、出発しよう。ショウ。……あいつは気難しいが、お前のその『服』と『飯』があれば、案外簡単に落ちるかもしれんな」
29歳、成人男性。
最高の仲間たちの力を借りて、俺は次なる「ステージ」――失われたドワーフの村への地図を広げた。
第23話をお読みいただきありがとうございました!
明かされる「暗黒騎士団」のルーツと、行方不明の知将ガリウス。
神の石板を解読するため、一行は滅びたドワーフの村を目指すことに。
次回、お楽しみに。
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※AIとの共同執筆作品となります。




