番外編2 中編〜ミコンノママハハ〜
フラレウーマンの続きです!
Y○utuberとして活動して1年後、周りの友人達が少しずつ就活を始める時期になった。私自身も就活を考え、次の曲をUpしたら作曲は暫く休もうと考えていた。
「暫く活動できないし、1度くらいはPV付きの音楽を投稿してみようかな」
次の曲は、彼に振られた自分を乗り越えようとする歌詞だ。……この曲で、彼への思いを込めた歌は終わりにするつもりで。
「次の曲……『RefRain』に相応しい場所は、雨の廃墟だな」
そう決意し、雨の降ったある日、撮影機材を持って廃墟に出かけた。撮影は順調で、中々イメージ通りの画面を撮っていった。
その場で撮影を見返すと、映像の中に撮った覚えのない声が聞こえた。とても小さい声だが、赤ん坊の泣き叫ぶ声に似ている気がする。
「え、何これホラー??そういうの無理なんだけど……」
急に寒気がする。仕方なくもう1度その場所へ行き耳を澄ませると、確かに赤ん坊の声が聞こえてきた。
「声がするのは、この壁から……?」
手を付くと、壁がズレたのを感じた。どうやら隠し扉になっていたようだ。
恐る恐る中に入ると、生後5ヵ月程の赤ん坊がダンボール箱の中で泣いていた。よかった、とりあえず幽霊ではなかったようだ。
……いや、これはこれで問題だ。ダンボールには「拾ってください」とだけ書いてある。つまり、この子の母親はもうこの子を迎えに来ないつもりだろう。
「……ここ、廃墟でしょ?こんな所に捨てても、他に見つけてくれる人なんていないだろうし……」
少し悩み、一つため息をついてから赤ん坊を抱っこして家に帰った。
赤ん坊は、なんでも口に入れて何処にでも行きたがる。一時も目が離せない。周りの人達の手を借りながら大学はなんとか続けたが、就活をする時間はなかった。しかし、幸いなことにY○uTubeの収入は割とある。無駄遣いをしなければ、自分と赤ん坊が生活するのは可能だろう。
私は就活を辞め、赤ん坊の昼寝の時間を使ってY○uTubeへの投稿を再開した。
「……という訳で、私は就職しないで子育てするよ」
大学卒業時に友人達に初めてそう告げると、皆驚いた顔をした。
「こ、子ども!? もしかして、あいつとの間の……」
「え、なにもしかして消えたのって認知しないため!?女の敵かよ!!」
「まって違うそうじゃない」
赤ん坊を拾った経緯を説明すると、皆疑いながらも納得してくれた。
「あ、俺も彼女と婚約した」
「もしかして、あの小人の彼女?」
「お前……ロリに手を出すのは流石に捕まるぞ?」
「だからロリじゃないって……」
そんな感じで楽しく過ごし、家に帰ってきた。最近言葉を発し始めた娘が楽しそうに出迎えてくれた。
「ままー!!」
「はいはいただいま」
「まんまー!!」
「今用意するから」
「まゆげー!!」
「何で3番目に覚えた言葉がそれなのよ……」
赤ん坊を見つめると、とても楽しそうに笑いかけてくる。今の生活がなかなかに幸せだった。
卒業後は家事育児の片手間にY○uTubeを時々Upするしかなかったが、娘が大きくなり幼稚園に通い出してからは、Y○uTubeに専念することができた。
そうして娘が5歳になった時に、5年ぶりにPV付きにチャレンジすることになった。
「今度の曲は『育児応援歌』だから、森で元気に撮影するよ」
「もりであそぶー?」
「時間があったらね。ああそうだ、どうせならサンドイッチでも作って持っていこうか」
「わーい!」
家から少し離れた森へ行き、テントをたててから次々と動画を撮っていく。娘が暇になってどこかへ行くと困るので、暫くしたらサンドイッチの時間にした。そして満腹になって昼寝を始めたのを確認後、再び撮影に向かう。
満足に撮れた所でテントに戻ると、そこには娘と、見知らぬ赤ん坊が寝転んでいた。仲良く手まで繋いでいる。
「……これは、どういうこと?」
頭を抱えつつも、ひとまず娘が起きるまで待った。
「あ、まま!おはよー!」
「ああ、おはよう。この子は誰だい?」
「しらない!なんかねー、だんぼーるの中にいたからねー、もってかえってきたの!」
「……段ボール?」
元々いた場所に案内する、という娘についていくと、そこには「可愛がってあげてください」とだけ書かれた段ボールが置いてあった。
……つまり、そういうことらしい。
「……ケンカしないで仲良くできる?」
「できる!」
「お姉ちゃんとして優しくできる?」
「やさしくする!」
「じゃあ、この子を家族にしよっか」
「うん!ねーねになる!」
そんな訳で、我が家に娘がもう1人やってきた。もうPV付きの動画にはしない、と心に決めた瞬間だった。
家に帰り、娘達を寝かしつけてから動画の編集をする。
「そうだ。この子達がいる事だし、いつまでもフラレウーマンのままでは恥ずかしいわね」
その日から、私はフラレウーマンから「ミコンノママハハ」へとユーザーネームを変えた。
あと一つか二つで完結です( ´ ▽ ` )!




