↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
S級冒険者の父に地獄育成された少年の無自覚無双~火竜を素手で殴り殺すなんて普通でしょ?~  作者: テツみン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/42

第28話 少年、堕落する

 串焼きを買いにきて、今さら、おカネを持っていなかったことに気づいたアニエル。アトに叱られた。

 すると――


「あのう、おカネなら私、持ってます」

 シシリーがそう伝えた。いつの間にか左手に金貨がある。


「ですが、今はこれだけなんです。すみません……」

 細かいおカネがないと謝る銀髪の少女。


「いいよ。今回は助けてくれたお礼にタダであげるよ。それにしても帝国金貨かい?」

「帝国金貨?」


 アトはシシリーの持っている金貨を覗き込む。アトは五百年間、樹海の中にいたので近年の情勢を知らない。帝国は百年ほど前に成立したので、当然、その金貨を見るのは初めてだった。


「帝国金貨は王国金貨より金の純度が高いから、高値で両替してくれるはずだよ」

 市場の出入り口近くに両替屋があるから、そこで換金すればいい――と串焼きの女主人、マルシアは教えてくれるのだった。


「へえ――」とアニエルも興味津々で、「これで銀貨何枚くらいになるの?」と尋ねる。


「そうだね、王国銀貨百枚に少し色が付くんじゃないかな?」とマルシア。


「えっ? そんなに! ボク、シシリーに養ってもらおうかな?」

「――えっ?」

「こら! その歳でヒモ宣言するな! ちゃんと就労意欲を持て!」


 アトは堕落した考えの少年を叱咤するのだった。


「――? ヒモってなに?」


 アニエルの質問を無視して、アトはマルシアへ――


「ところで、この町に冒険者はなぜいるのかな? たしか『守り神』がいるとかで、魔物は寄り付かないと聞いていたのだが?」


 すると、マルシアは「それがね――」と前置きしたあと、こう説明する。


「五(・)年(・)前(・)に『守り神』だった『オオグモ』が死んでしまってね。それ以来、このブラバドに魔物が現れるようになったのさ」


 町近くの樹海を縄張りとしていたク(・)モ(・)型の魔物のおかげで、この辺りにはゴブリンやオークといった人型魔物が近寄らなかった。しかし、突然、その魔物が死んだことで、人型魔物が樹海から出てくるようになったらしい。

 それ以来、魔物が町へ侵入しないように柵を作ったり、冒険者を雇って魔物を駆除してもらったりしているそうだ。


「魔物から守ってくれている手前、あまり文句は言えないのだけど――おかげで、こんなふうに町の治安も悪くなってしまってね……」


 静かな辺境の町だったブラバド――それがこのように、冒険者が魔物狩りをする拠点となった。町が賑やかになったのと引き換えに、冒険者とのトラブルも後を絶たないらしい――


「五(・)年(・)前(・)……ね」

 アトはチラッとアニエルを見た。少年は「それは、困ったね……」と心配するような素振りを見せている。


「オバちゃん、串焼きをおくれ」

 別の客が来たので、マルシアは「はいよ」と言って、離れていった。


「ところで、アニエルよ」

 マルシアがいなくなったところで、アトが声をかける。


「ん? 何?」

「五(・)年(・)前(・)、ここに来た時、クモの魔物を見なかったか?」

「クモの魔(・)物(・)? そんなモノはいなかったよ。ち(・)ょ(・)っ(・)と(・)大(・)き(・)な(・)ク(・)モ(・)とは戦って倒したけど……」


 ちょっと大きな――ね。


「どのくらいだ?」

「うーん――だいたい、三(・)メ(・)ー(・)ト(・)ル(・)くらいだったかな?」

「なるほど……よくわかった」


 もはや、ツッコミを入れる気力すら失せたアトだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。