第4話 統治のやり方
「ぎ、ぎるどますたぁ??」
「ああ、通称ギルマスだ」
それはわかる。
「なんだ? あんた?? ギルドマスターがわからないのか?ギルドはわかるか?」
「・・・いや、すまない。わからないんだが・・・」
「は!?あんた一体どこから越して来たんだい!? どこの街にもギルドはあるだろうが!?」
「いや、そのすまない。世間には疎くて・・・」
「疎いなんてもんじゃないだろ! 森で生まれ育った木こり達だって知ってるものだよ!初めて会ったね、あんたみたいなのには!」
ぐぬぬ、倒置法まで使われて罵倒されるなんて・・・。仕方ないだろう!さっき目覚めたらこんな見知らぬ場所に居たんだよ!勝手にお前達の常識を押し付けるな!!
どうしてやろうか。ここまで貶されると少しは見栄も張りたくなる・・・。生まれてこのかた鉄仮面をつけて監禁されて過ごしたとか適当なこと言ってやろうか。いや、だめか。そうしたら、どこで誰にとか、また質問と詰問の繰り返しだろう。記憶喪失も無理があるし、変なところに連れていかれても困る。
「すまないな。・・・情けないが、初めて会う物知らずにわかるように教えてくれないか?」
「はあ、当たり前すぎて説明するのも大変なんだがな・・・。まぁ、いい。
ギルドってのは、冒険者とか賞金稼ぎが所属する街単位のグループだ。街ごとにギルドはあるし、ギルドが入るギルド、グランドギルドってのもある。グランドギルドは殆どが国単位だが、さらにグランドギルドはマザーギルドという国を超えたギルドに所属している場合がある」
「ほ、ほう」
「それぞれのギルドごとにルールはあるが、大体は所属するグランドギルド内で統一されたルールで運用されている」
「体系については大体わかったが、ギルドとはそもそも何をするんだ?」
「基本的には冒険者への仕事の提供と個人や団体からの仕事の依頼受付だな。例えば、隣町に行く時に護衛をしてほしい、珍しい鉱物がほしい。そう言った依頼を受けて、冒険者に提供している」
「なるほど。あなたも、冒険者で何かしらの依頼を受けているわけか」
「あー、俺の場合は少し違うな。依頼を受けているのは間違いないが、冒険者と言うよりは、定住の治安維持業務を行っている。この場合、ギルドから直接雇われている感じだな」
やはり、こいつは警察官のような存在だったか。街ごとに存在するギルド。警察とハローワークと人材派遣業が合体したようなものだろう。
「そして、そのギルドのトップが、ギルドマスターってわけか?」
「おお、そうだ。あんた、物分かりはいいんだな。世間知らずだが」
くそ、いちいち鼻に着くな。
いや、それとも、試しているのか?
「だが、残念だが、この家の持ち主は、そのギルドマスターとやらとは違う。言っただろう、正体は開かせないって」
「はいはい、もうそれはいいよ。
ただ、そうなると、うちのギルマスが見たっていう女は、あんたじゃあないんだな」
「まあ、そうなるな」
「・・・うちのギルマスほどの男が見間違えたり、あんた程度にいっぱい食わされるとも思えんしな。と、なるとやはり、現れたのか、女が」
俺の目の前の大男は真剣な顔で考え込んでしまった。
しかしなんなんだ?女1人で現れるの伝説だの大げさな世界だな。こんだけ人間がウロウロしているんだ。こいつらには母親はいないのか?キャベツの中から出て来たとでもいうのだろうか。
「なあ、もう、行ってもいいかな」
「おお、すまんな!もういいぞ!疑ってすまなかった!
まあ、まだ疑っているんだが、とりあえずあんたのこと様子見させてもらうぜ!」
なんと清々しい容疑者宣告であろうか。
まぁ、いい。特に怪しいことはせず暮らしていくつもりだ。
「ああ。俺が良からぬことをしたら、好きに捕まえてくれ」
「はははっ!あんた中々肝が座ってるな!
俺の名前はスタッド。この街をウロウロしているからな、何かわからないことがあったらいつでも声をかけてくれ!
そういや、あんた、名前は?」
「名前も聞かずに散々疑ってくれて・・・。俺の名前は、キョウヤだ」
「へぇ、珍しい名前だ。本当にどこから来たんだい?」
「そうだな、悪法に支配された、窮屈な街から来たんだよ」
俺はスタッドに答えると彼に背を向け、当てもなく歩きだした。




