傭兵隊長
傭兵隊長はバスラと名乗った。傭兵隊長になってから半年だという。
バスラ:「よし、入隊祝いだ、ついて来い。」
バスラはパインを誘って酒場に向かった。
扉をくぐるとそこは、多くの人々で賑わっていた。
ざわつく店内を見回すと、両手両足に枷のついた者達が給仕をしていた。
パイン:(あれが奴隷なのか?)
バスラは上機嫌だった。
バスラはエールをぐびぐびと飲みほし、もう1杯注文すると話し出した。
バスラ:「まさか、お前のような優男にあの弓が引けるとは思わなかったぞ。」
パイン:「あの弓は大きすぎです。1回が限界ですよ。」
バスラ:「そうだろう、そうだろう、並の人間には使いこなせん。ガッハッハ。」
パイン:「あの弓なら盾ごと吹き飛ばせそうですね。」
バスラ:「わかるか、あの弓にはいかなる盾も通用せん。盾ごと人間も吹っ飛ぶ。
そうだ、明日わしの剣も見せてやろう。これもでかいぞ。
普通の人間だと両手で使うものだ。わしは、片手剣として使っているがな。
盾など、お前がすっぽり隠れる大きさだ。」
パイン:(こいつ意外といいやつかもしれないな。)
ふと、そんなことを考えていた。
バスラはエールを飲もうとしたが中身がなかった。
突然、バスラは怒鳴った。
バスラ:「エールはどうした!!、すぐ持って来い!!」
エールが運ばれてくると空になったグラスを振り上げ、給仕の頭めがけて振り下ろした。
パインは突然のことに驚いた。
パリーンという音とともに、店内は静まり返り店の全員がこちらを向く。
しかし、すぐに何事も無かったかのように元に戻った。
パインが驚いていると、バスラが話し始めた。
バスラ:「こいつらは奴隷だ。人間じゃあない。」
パイン:(こいつ正気か?)
バスラ:「こいつらは、元は敵国の兵士や市民だ、その場で殺されなかった事が国王の恩赦だ。」
パイン:(なんだと、恩赦だと、、、これは人のすることではない。)
パインは少しでもバスラの事をいいやつだと思ったことを悔やんだ。
バスラが話を続けていたが、声は耳に入らなかった。
しばらくすると、他の給仕達が倒れた給仕を引きずって行った。
店長らしき人物が現れ、ペコペコと謝ると「本日の御代は結構です。」と告げると下がって行った。
バスラは手元のエールを飲み干すと、「さて、帰るか。」といい店を出て行った。
パインは吐き気のする気持ちを抑え後に続いた。
頭の中は先ほどの件でいっぱいだった。
どうやって帰ったのかおぼえていない。
パインはベットに横になると思った。
パイン:(この国は腐っている。)
パインは、酔っているのに眠れない不思議な感覚を初めて経験した。




