大会議室
NO,100ギルド大会議室
最後尾のサムライたちを連れたエディがNO,100ギルドに到着すると、受付カウンターの奥にある大会議室
に入るようにと大谷吉継らを促す。
1段高くなった壇上に登ると、伊織を見つけ手招きをするエディ。
「イオリすまないが、通訳を頼めるだろうか?」
伊織がムサシの手を引きながら壇上に登り、全員が大会議室に入るのを待つ。
用意されていた椅子は100脚ほどしかなかった。
すぐに満席になり、後から入ってきた者たちは壁際に立って並ぶ。
気が付けば、会議室には300人近い侍たちがひしめいていた。
[知っている人も多いと思うが、俺の名前はエディだ。ここNO,100ギルドの責任者に任命された]
「エディです。俺がボスだ」
伊織の通訳に怪訝そうな顔を向けるエディ。
[聞いているとは思うが、ここNO,100ギルドを君たち異国の戦士の拠点とする。自由に使ってもらって構わない]
「ここがみなさんの拠点になります」
[イオリ……ちゃんと通訳していないよな?]
「エディ……わたしもムサシも、明け方から歩いてようやく到着したばかりで、この王都を縦断して疲れているし
何よりお腹が空きました。要点は使えていますから大丈夫です」
[……わかった。これがすんだら街で1番の肉料理を出すレストランに連れて行くから、正確に伝えてくれ]
ため息をつき肩をすくめながらエディが提案する。
「初めからそう言って下さればいいのに……ムサシもですよ?」
エディが頷くのを確認すると、笑みを浮かべながら正確に通訳を始める。
このギルドの建物の上階が宿泊できる部屋があるなど建物の説明から始まり、
王都の外周部は100棟のギルドで囲まれており、それぞれが目の前の城塞の守備を担当することと、有事にのみ
編成されるNO,100ギルドは本来は西門の守備も兼任するということ。
東側にはNO,1ギルドから始まる奇数のギルドが配置され、西側が偶数で番号が若いほど実力も高いとされている。
この王都は3つの巨大な城壁で囲まれ3層に分かれており、1層2層への立ち入りは我々には許されていないこと。
そして王都の東にあるサランドル·ダンジョンが噴火し大量の魔獣が溢れ出し、ここ王都に押し寄せる可能性が
高いということ。
[ここまでで質問はあるだろうか?]
最前列に大谷吉継と並んで座っている戸田重政が立ち上がる。
「我々はここに来るまでにエディ殿の言われた魔獣と戦ったが、ここ王都の見上げるほどに高い城壁を突破できる
とは到底思えないのだが……?」
[現在この王都周辺に現れているのは、ダンジョン上層部に生息していた下位の魔獣たちだ。
遅れて地上に出た中層部、下層部の魔物たちは大きさも力も上層部の魔獣たちとは比べ物にならない……
飛行できる個体もいれば、城壁と肩を並べるサイズの魔獣もいる もしもダンジョン内の魔獣がすべてここに
向かっているのなら、万単位となるだろう]
伊織が通訳した言葉を聞いた途端に大きなどよめきが起こる。
「そんな空を飛ぶ魔獣や巨大な魔獣がいるのなら、弓矢や長槍がもっと必要だ!」
壁際に立っている年配の武将が声を上げると周囲の者たちもそれに頷いている。
[ほ〜う、俺の話を聞いても怖気づいていないのか?ここの上階に武器庫がある。君たちの弓とは形状が違うが
矢に関しては大差がないだろう、槍も長さが足りないかもしれないが自由に使ってくれて構わない]
「どうせ俺たちは一度死を覚悟した者たちだ!何も恐れるものなどないさ!」
誰かの言葉に軽い笑いが伝播する。
[勇敢なんだな……1つ聞きたいんだが、君たちは魔法も使わずにどうやって何体もの魔獣を倒したんだ?]
「魔法っていうのはあれだろう?火を熾したり、水を出したりする初めて見たときには驚いたが、あれで
どうやって戦うっていうんだ?我らはこの打刀で一刀両断にしてやったぞ」
入口付近に立っている若い武将が腰の刀に手を掛ける。
「エディ!ムサシなんか1人で3匹のバルホーンを一瞬で倒したのよ!」
伊織が嬉しそうに自慢するのを、ムサシが袖を引いてとめる。
「みんな……言っておくが魔法の威力は種子島よりはるかに上だぞ、そして獣人と呼ばれる者の中には我らより
大きく力が強い者も多数いるようだ」
大谷吉継が首を巡らせ、全員に聞こえるように声を張る。
その後も王都の規則や、地理。防衛戦時の注意点に魔獣たちの特徴などを説明したところで、段々と不機嫌
になってくる伊織の顔を見て、そろそろ終わりにしようと決意する。
[君たちの代表はヨシツグということで良いのだな?それと魔獣の襲来までどれほどの時間があるかわからないが
休養は取るようにしてくれ、さっきも言った通りサイレンが鳴ったら横の修練場に集合だ]
会議の終了を告げ、全員が立ち上がったところで……
[ああ一つ言い忘れていた。もしも魔獣を倒したら心臓の横に魔石という鉱石がある。それは買い取ってもらえる
からな、忘れずに取っておくように!]
思わず顔を見合わせるムサシと伊織だった。




