第8話 異界人
アヴィドから言い放たれた予想外の言葉に、俺は困惑しながら叫ぶ。
「なっ……何で知っているんだ!?」
俺はそう叫びながら立ち上がって構える。
どうしてコイツは俺が転生者だと知っているのか色々と聞きたいが、もしも敵の手なら小魔盾を展開して逃げるべきか……。
そう思いながら構えていると、アヴィドは少し呆れながら言う。
「ちょっと待ちなさいよ、私は異界人の血縁関係を持っているのよ?」
「ハァ?」
アヴィドは呆れながら言うが、俺はアヴィドの言葉に困惑しながら呟く。
マジでどういうことだ? いきなり俺のことを転生者だと知って、どうして知っているか聞いたら今度は異界人の血縁者だと聞かされ、もう何がどうなっているのか分からなくなってしまう。
こんがらがっているとアヴィドは頬杖をしながら言う。
「あなたが何考えているのか知らないけど、とりあえず私はあなたを売らないし、ご先祖様と同じ能力を持っているか聞きたかっただけなのよ?」
「そうだったのか?」
アヴィドはそう言いながら弁解するが、俺は少し首を傾げながら言う。
すごく怪しかったが、もしかしていい人なのか?
そう思いながら構えるのを止めて椅子に座る。
するとアヴィドは頬杖を止めてから説明する。
「いきなりびっくりさせたし、どうしてそう聞いたか説明してあげるわ」
アヴィドはそう言いながら説明する。
アヴィドが言うには俺のような転生者や突如現れた転移者を総称して異界人と呼び、特徴としては別世界の文化の知恵を持ち、特別な能力・転生特典叉は転移特典を複数持っている。
彼らは創造神ベロボーグに愛され、英雄や勇者になる未来が確定されていると言われている。
しかし俺は首を傾げながら聞く。
「お前確か異界人の血縁関係を持っているって言ったよな? なのに何で冒険者じゃなく商人をやっているんだ?」
俺はそう聞くとアヴィドは少し呆れながら言う。
「確かにそう言ったけど、戦闘センスと血縁関係は関係ないわよ!? もしそんなの受け継がれるなら全員戦闘種族になっているわ!」
アヴィドはそう言いながら強めにツッコミ、俺はアヴィドのツッコみに驚きながら頷く。
な、なるほど……確かに全員が異界人の血縁関係を持っているなら、全員が某戦闘民族になってもおかしくないだろう。
そう思いながら椅子を少し後ろに下がり、頭をかきながら謝る。
「す、すまん……さすがに失言だった」
「それで分かれば良いのよ」
俺の謝罪にアヴィドは呆れながら言う。
もしかして何かしら苦労していたのか? そうだったらいやな気分になってしまったんだろう。
なんか悪いことをしてしまったな。
少し申し訳なさそうにしていると、アヴィドは紅茶を一口飲んで言う。
「あと、私のご先祖様は四つの転移特典を持っていたからね。その一つがこれだった訳よ」
「そうなのか?」
アヴィドの言葉を聞いて俺は首を傾げる。
アヴィドが持っているスキルはご先祖が持つ四つの転移特典の一つと言っていたが、もしかして戦闘系スキルがあるのか?
そう思いながらアヴィドに聞く。
「なぁ、ご先祖様が持っている転移特典は『我が世界の馬車』以外何だ?」
「そうねぇ~私が知っているのは特殊な妙薬を生み出す能力『妙薬錬成』、魔法詠唱をせずとも発動させる『詠唱破棄』よ」
アヴィドは俺の質問に答え、俺はそれらを聞いて頷く。
なるほど、アヴィドの先祖は錬金術や魔法使いのような特性を持っていたんだな。
そう思いながら再び質問する。
「とりあえずお前を信じるが、ただ話し合いたいだけなのか?」
俺はさっきから気になっていた事を聞く。
何のためにここまで来たのか分からないし、ただ話し合うだけじゃ強制的に連れて行かれたりしないだろう。
そう思っているとアヴィドは何かを思い出しながら答える。
「あぁ~お話で忘れたけど、実はあなたに協力しろと世界の探求者の組合大元帥ちゃんから頼まれたの」
「組合大元帥から?」
俺はアヴィドが言う言葉に首を傾げながら言う。
世界の探求者は確か冒険者ギルドの中でも随一の規模を持ち、様々な伝手を持っているとされている。
もしかしてその組合大元帥も異界人なのか? そう思いながら聞く。
「なぁ、その組合大元帥って異界人なのか?」
「えぇ、そうよ。リョウマちゃんは転移者系の異界人で、転移特典は三つ持っているけどかなり強い子よ」
アヴィドはそう言いながら世界の探求者の組合大元帥について話す。
世界の探求者の組合大元帥であるリョウマ・ツジムラは五十年前に転移した異界人で、彼は転移特典『超全強化指揮』・『治癒の蝶々《ヒーリング・バタフライ》』・『全速前進魔二輪車』の三つを持ち、それを使って組合大元帥に成り上がったらしい。
今回の事もリョウマに頼まれて来たらしい。
へぇ、三つの転移特典を駆使して組合大元帥になったのはすごいな。それにリョウマ・ツジムラって辻村龍馬を外人の名前にしたんだな。
そう思っているとアヴィドは何かが入った袋を取り出し、机の上に置いてから言う。
「話は終えたし、あなたが欲している物を入れた袋をあげるわ。必要な物が入っているから好きに使っても良いのよ」
「本当か!?」
俺はそれを聞いて袋を取り、中身を確認する。
中身は鋼鉄のツルハシ、魔方陣が刻まれたランタン、この世界について詳しく書かれた書物、パンやリンゴなどの食料だ。
おぉ、ちょうど欲しい物が入って嬉しいな。
そう思いながら見るのを止め、アヴィドにお礼を言う。
「俺の今ほしい物くれてサンキュー! だけど何で俺の欲しい物を知っているんだ?」
「そりゃ私は商人よ? 相手が欲しい物なんて見れば分かるのよ」
アヴィドの言葉に俺は頷きながら袋を背負う。
相手の欲しい物を見抜くなんてサラリーマンとしてすごいな。
それに少しこの世界について調べたいなぁって思っていたから、ちょうど手に入れて良かったな。
そう思いながら袋を背負い、俺はこの馬車から出て家に帰る。
家に帰ると両親が泣きながら抱きついてきた。
どうして泣いたか両親に聞いてみたところ俺が攫われたと聞いて慌てていたが、ちょうど衛兵達に相談しようか考えた時、俺が帰ってきたと訳だ。
それを聞いた俺は少し申し訳なさそうにしながら考える。
うわ~両親を心配させてしまったな……。次からは心配しないようにしないとな。
そう思いながら両親に説明し、それを聞いた両親はホットしつつも「絶対怪しい人について行かないように!」ってきつめに注意されてしまった。
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