第9話 ダンジョン・鉱脈の洞穴攻略前編
アヴィドと話して数日くらい経ち、俺はウーラス山の山奥でアイテムの整理をしていた。
あれから少し両親の保護が強くなったが、自衛できる程度に魔法を使いこなしてみせると、渋々しながら了承する。
マァ、本当に苦労してウーラス山に行けるようにしたからな。
そして俺は今、噂で新たに生まれたダンジョンにチャレンジしようと思っている。
もちろんダンジョンに生きている魔物を倒したりせず、ダンジョンに発生してある鉱石やアイテムを採取するだけだ。
もし魔物と退治してしまったら、小魔盾やツルハシを使って討伐しよう。
そう思いながらアイテムを整理し終え、『アイテムボックス』に入ってあるアイテムを確認し、ダンジョンに向かって歩き出す。
確かダンジョンが出た方向はこっちだったはず……。
そう思いながら歩き、『アイテムボックス』からこの世界について書かれてある書物を取り出し、書物を開いて読む。
この世界は漆黒の空間だけで、そこに創造主ベロボーグと破壊神チェルノボーグが現れ、ベロボーグが自然生い茂る平穏な世界を、逆にチェルノボーグは静かに寂れた混沌の世界を生み出した。
二柱は自身が治める世界に命ある生き物を生み出す。
ベロボーグは数多の動物と知恵ある生き物・人間を、チェルノボーグは魔力を肉体にした怪物・魔物を創造した。
ベロボーグが治める世界は文明や生活が繁栄し、逆にチェルノボーグが治める世界は殺伐や混沌が跋扈している。
ベロボーグの成功を見たチェルノボーグは嫉妬し、ベロボーグが治める世界・人界を奪おうと大量の魔物を発生させる。
突如大量に現れた魔物に人間は恐怖を抱き、背を見せて逃げていた。
しかしその中には勇気をふるって戦う者がいるが、貧弱な肉体では何も出来ずに倒されてしまう。
それを見たベロボーグは今生きている生命の要素を混ぜ、獣人種族・妖精人種・魔人種族を生み出した。
その後は四種族が協力して大量の魔物を倒し、平穏を取り戻すことに成功した。
しかしチェルノボーグは魔界にある魔力を人界に通し、人界でも魔物が発生する事になった。
これを見た四種族は冒険者という職業を立ち上げ、複数人で集まった者達をパーティー・叉はギルドと呼ばれるようになった。
ここまでは世界や四種族と魔物・叉は冒険者が生まれた起源が書かれたページで、次はダンジョンが生まれた歴史だ。
冒険者が生まれてから数十年、一つのパーティーが謎の神殿を見つけ、周りを見渡すと翼を生やした魔物が襲いかかってきた。
パーティーはなんとか神殿から去り、このことについてギルドに報告した。
しかしパーティーが言う神殿と同じように他のパーティーから謎の建築物を発見し、特徴を持った魔物から襲われてしまったのだ。
その報告を聞いたギルドや国の上層部はパーティーが見つけた四つの建物を四大迷宮と呼び、突如現れた建物をダンジョンと呼ぶことになった。
俺が今向かっているダンジョンの一つ・鉱脈の洞穴は明後日から冒険者が来る予定だから、今のうちに取れる物は取っておこう。
そう思いながら歩いていると、目的地である鉱脈の洞穴にたどり着いた。
洞穴から高密度の魔力が漂っており、規模が中々大きいと感じ出す。
これは油断せずに探索した方が良さそうだな……。
そう思いながら『アイテムボックス』からランタンを取り出し、魔力を流して明かりをつける。
するとランタンの中にある魔方陣から光りの球を生み出し、眩く光り出す。
おぉ、ランタンの中が眩く光り出すから、燃料がいらなくて良いな。
そう思いながら鉱脈の洞穴に入り、銃器開発に必要な鉄・火薬・魔結晶の三つを求めて歩き出す。
その三つが必要なのは理由があって、鉄は現代兵器作成において必須、火薬は銃弾作成に必要で、魔結晶は機械を動かすために必要な核にするためだ。
現代兵器之書物によれば、この世界の火薬は爆熱石と呼ばれる鉱石があり、衝撃を与えると爆発する特性を持っている。
しかし魔力を纏わせれば爆発する特性が無くなるため、火薬を作るには適している。
それに持ち歩くときは『アイテムボックス』に収めれば、運ぶときに爆発するのは防げるだろう。
そう思いながら歩いて行くと、少し離れたところからきらめく何かが見えた。
何だ? アレって魔結晶なのか?
そう思いながら早めに歩き、きらめく何かに近づくと置くから何が飛んできた。
俺は直感で右手を構えて詠唱する。
『無力神トリグラフの名の元に命ずる。攻撃を防ぐ魔力の盾を生み出せ! 小魔盾!』
詠唱し終えると右手から水色の盾が生み出され、襲いかかる何かを弾かせる。
盾が弾いた物は矢で、それを見た俺は目をこらして飛んできた方を見る。
すると奥にいたのは緑の肌をした醜悪な子人がいた。
確か書物によればあれはゴブリンと呼ばれる魔物で、種族が妖魔と属されている。
ゴブリンは武器を扱える魔物で、今いるゴブリンは弓矢を持っているから、ゴブリン・アーチャーと呼んでいいだろう。
そう思いながらツルハシを強く握り、ゴブリン・アーチャーの攻撃に備えていると、ゴブリン・アーチャーが持つ木製の弓が薄い紫色に光り出す。
なんだ? ゴブリン・アーチャーが持っている弓は特殊な効果を纏っているのか?
そう思っているとゴブリン・アーチャーは再び俺に向けて矢を放つ。
俺はそれを見て即座に盾を矢の前に動かす。
矢はそのまま突き進み、このままいけば盾にはじき返されるはずだ。
しかし矢は盾を貫通し、そのまま俺に向かって進みだす。
それを見た俺は慌てて足に力を込めて矢を回避する。
俺は回避をしながら矢が盾を貫通したことについて考える。
どういうことだ? 書物には魔物は魔力で肉体を構築しているから、スキルを持ってないとされている。
だが弓が紫色に薄く光り出したら矢が盾を容易く貫通したんだ。
砕け散るなら分かるが、ぬるりと通り抜けるなんて物理的にあり得ない。
可能性があるとすれば、ゴブリン・アーチャーが持つ弓が矢に謎の効果が付与されてしまったんだろう。
そう思いながら手をかざして呟く。
「転生特典『肉体能力強化』!」
そう呟くと画面が表示され、俺は即座に筋力と瞬発力を選択する。
すると体の底から力が出るのを感じ、『肉体能力強化』の画面を閉じて、次に手に魔力を流して素早く詠唱する。
『無力神トリグラフの名の元に命ずる。肉体の俊敏性を上げよ! 俊敏性強化!』
詠唱し終えると手のひらに淡く光る緑色の光が生み出され、俺はその光を自身に掛ける。
すると足から力が沸き上がり、俺は地面を蹴ってゴブリン・アーチャーに接近する。
ゴブリン・アーチャーは突然素早く接近したことに驚き、慌てて弓矢を構える。
だが俺は強化された筋力でツルハシを強く握り、ゴブリン・アーチャーの頭部に向かってツルハシを振り下ろす。
鋭い刃がゴブリン・アーチャーの頭皮を破り、頭蓋骨が砕ける音と触感が手に通じだす。
そしてそこから脳漿が混ざった血液が噴水のように吹き出し、ツルハシや俺の顔にかかってしまう。
俺は右手で手放し、即座に叫ぶ。
「転生特典『肉体能力強化』!」
そう叫ぶと再び画面が表示され、俺は右手で筋力と瞬発力の項目を外す。
すると体から沸き上がる力がなくなり、能力が解除されたと感じる。
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