第7話 お茶会
グレイを連れ去れた所を見た若い青年の商人は首を傾げながら、近くにいたあごひげを生やした鉱石人の男に質問する。
「あの、さっき女の子とみたいな子供がオカマに連れ去れたのですが……」
「あぁ、お前さんは知らないのか? あいつが商業ギルドの一つ・財宝の猟犬の一員だぞ?」
「財宝の猟犬?」
聞かない単語を聞いて若い青年の商人はそう言いながら首を傾げ、鉱石人の男は頭をかきながら答える。
「最近商人の間じゃ悪い意味で有名だぞ? 何でもスラヴ教が禁じている薬物・過剰快楽薬剤や奴隷を売買しているからな」
「えっ? それだったらもう上級冒険者に制圧されているんじゃ……」
鉱石人の男の説明に青年の商人は首を傾げながら言う。
その質問に対し鉱石人の男は苦虫をかみつぶすように眉をひそめて言う。
「確かにそうだが、噂によると過剰快楽薬剤は奴らのリーダーが持つスキルしか生み出せない代物で、それを失いたくないお偉い様は権力や財力を使って罪をもみ消しているんだとよ」
「うわぁ……世も末だな」
鉱石人の男の説明を聞いた青年の商人は軽く引きながら呆れ出す。
その様子を見た鉱石人の男はため息をついて呟く。
「ハァ……最近は魔物災禍がよく起きたりしているが、本当に大丈夫かねぇ」
鉱石人の男はそう言いながら空を見上げるのであった。
***
俺は怪しいオカマに連れて行かれて数分経つ。
最初は逃げようと必死に暴れていたが、中々離れることができず、もう諦めて動かずにしている。
ハァ……もしかしたら売り飛ばされるか、それともレ○プされてから売り飛ばされてしまうのか?
脳内に最悪の二択を思い浮かべていると、一つの馬車が止められてあった。
その馬車はざっと見れば黒い木で出来ているが、馬車から不思議からオーラが漂っていた。
何だ、アレ? ざっと見れば黒い木で出来た馬車だが、なぜか不思議なオーラが漂って普通じゃないと感じるぞ。
謎の馬車に警戒しているとオカマは止まり、ドアの近くに着いている呼び鈴のひもを引っ張る。
すると呼び鈴が鳴り出し、少しして馬車の中から屈強の体格をした大男が出てくる。
その姿はまるで異質で、上半身は黒の革手袋以外の全裸、下半身はダボダボの長ズボン、顔には黒いガスマスクをつけていた。
俺はそれを見て悪寒を感じながら思い浮かべる。
ヤバい、俺を連れてきたオカマとは負けないくらいキモさで寒気を感じてしまう!
目の前にいる男に悪寒を感じていると、黒マスクの男はお辞儀をしながら言う。
「お帰りなさいませ、アヴィド様」
「ただいま、お茶会の準備は出来ているの?」
「ハイ、バッチリです」
黒マスクの男の言葉にアヴィドと呼ばれたオカマは黒マスクの男に質問し、黒マスクの男は問題ないと言う。
それを聞いたアヴィドは頷きながら言う。
「そう……それじゃ、私はこの子とちょっとお茶会するから邪魔しないでよ?」
「ハイ、分かりました」
アヴィドの言葉に黒マスクの男は頷きながらこの場から離れる。
しかし俺は黒マスクの言葉を聞いて疑問を感じる。
お茶会って、定員四人ぐらいのサイズなのにお茶会が出来るというのか?
そう思っているとアヴィドは馬車の扉の取っ手を掴んで開く。
すると馬車の中から強烈な光りが発せられ、俺はあまりのまぶしさに眉をひそめながら目を細める。
眩しっ!? 外側は普通の馬車だったが、中身は違うというのか?
そう思っているとアヴィドは恐れずに馬車の中に入る。
すると眩く光る閃光で中が分からなくなるが、徐々に和らいで行く。
閃光が和らいで行くとそこは不気味な光景が広がっていた。
道化のような人形や鉄格子の檻が大量に置かれ、天井には荒んだランタンが複数吊され、丸い木の机と椅子がぽつんと置かれ、机の上にティーカップとティーポットやお菓子を盛った皿が置かれていた。
しかし吐き気を催すほどの血生臭さと腐敗臭を感じ、気分が悪くなりながら考える。
うぅ、吐き気を催すほどの血生臭さと腐敗臭が広がっているし、道化のような人形や檻が置かれてあって不気味さ極まりない。
これじゃ、まるで中身がお化け屋敷じゃないか。もしかして中はスキルを使って広くしているのか?
そう思っているとアヴィドは机に近づき、椅子の上で手放して俺を座らせる。
俺はいきなり手放されて椅子に座るように落ち、尻に衝撃がやってくる。
「痛っ!?」
俺は尻餅をついた痛みで呟く。
しかしアヴィドは俺の様子を気にせず、俺の前の椅子に座る。
俺は尻から来る痛みで眉をひそめ、腰を軽くさすりながら質問する。
「最初に聞きたいが、この空間は何だ? もしかしてスキルで展開しているのか?」
俺の質問にアヴィドは少し驚きながら言う。
「あら、この空間がスキルで出来ているなんて意外と頭良いわね。そうよ、この空間は私のスキル『我が世界の馬車』で生み出したのよ」
アヴィドはそう言いながら説明する。
どうやらアヴィドが持つスキル『我が世界の馬車』は馬車内に特別な空間を展開させるスキルで、魔力を一日単位で消費させる事で無数に荷物を置くことが出来、さらに魔力を込めれば消費系アイテムが粗悪化する事はなくなる。
一端聞けば移動や運搬が便利だが、条件は魔力消費が多いのと定員四人の馬車でしか発動出来ないと言う条件付きだ。
へぇ、特殊な空間を展開する能力は漫画で見た事あるが、まさか馬車内で空間を展開する能力あるなんてな。
俺は説明を一通り聞き、机に置いてあるティーカップをチラリと見る。
ティーカップの中はいつの間にか紅茶が注がれており、俺は紅茶をじっと見ながら考える。
いつの間にか紅茶を注がれたんだ? それに何かしら劇物が盛られていないよな?
怪しみながら見ていると、アヴィドは少し呆れながら言う。
「ハァ、別に怪しい物は盛ってないわよ?」
アヴィドは呆れながら言い、俺はそれを聞いてティーカップを掴む。
アヴィドから言われると信じにくが、このまま悩んで切りがなさそうだ。
俺はそう思いながらティーカップを口元に近づき、ゆっくりと一口飲んでみる。
すると口内に芳醇な香りと甘さの相性が良く、紅茶に詳しくない俺に取っても唸るほどのうまさだと感じ出す。
そう思いながらティーカップにある紅茶を全部飲み干し、一息ついてティーカップの皿を置く。
ふぅ、中々おいしかったな。もしかして高級の紅茶なのか?
そう思っているとアヴィドはティーカップを持ちながら言う。
「あら、一口で全部飲み干す何てよほどおいしかったのね」
「アッ……」
アヴィドの言葉に俺は何か刺さるのを感じ出す。
うっ……紅茶を一口で全部飲むのははしたないかもな。
そう思いながらティーカップを机に置いてさっきの行動に恥ずかしがっていると、アヴィドは俺をじっと見ながら聞く。
「それで……あなたは転生者でしょ?」
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