第6話 魔法練習
開示の儀を終えて数日経ち、俺は今ウーラス山の山奥に向かって歩いている。
あれから親の手伝いを始め、貯めたお駄賃で無力魔導術について書かれた魔導書を昨日購入した。
それは魔法の基礎的な使い方や詠唱方法が詳しく書かれていた。
最初は中身を一通り読み、魔力を扱えるようになるのは、昔やってきた魔力を感じ取れるようになる特訓のおかげで軽く扱えるようになっている。
家の中で魔法を使って何かを壊したら迷惑を掛けてしまうし、最悪しばらく自宅謹慎になってしまう恐れがある。
だから壊す物がないウーラス山の山奥で魔法を練習し、上手く扱えるようにしよう。
そう思っているとウーラス山の山奥に着き、俺はアイテムボックスから魔導書を取り出す。
画面から一冊の魔導書が現れ、俺はそれを取って開く。
とりあえず今日は最下位階級の練習をしておこう。
○浮遊付与……単体に浮遊効果を付与させる魔法。効果時間五分、効果範囲三メートル
○小回復……単体に少量回復させる魔法。効果時間なし、効果範囲二メートル
○小魔盾……単体攻撃を防ぐ魔力の盾を生み出す魔法。効果時間一分、効果範囲三メートル
○攻撃力強化……単体に攻撃力を強化させる魔法。効果時間五分、効果範囲四メートル
○防御力強化……単体に防御力を強化させる魔法。効果時間五分、効果範囲四メートル
○俊敏性強化……単体に敏捷性を強化させる魔法。効果時間五分、効果範囲四メートル
○命中率強化……単体に命中率を強化させる魔法。効果時間五分、効果範囲四メートル
○攻撃力弱化……単体に攻撃力を弱化させる魔法。効果時間五分、効果範囲四メートル
○防御力弱化……単体に防御力を弱化させる魔法。効果時間五分、効果範囲四メートル
○俊敏性弱化……単体に敏捷性を弱化させる魔法。効果時間五分、効果範囲四メートル
○命中率弱化……単体に命中率を弱化させる魔法。効果時間五分、効果範囲四メートル
俺は魔導書に書かれてある最下位階級を一通り見て考える。
う~ん、回復・強化・弱化は今使えないが、代わりに盾と浮遊を使ってみよう。
そう思いながら全身にある魔力を右手のひらに集中させ、魔導書に書かれてある詠唱文を見ながら唱える。
『無力神トリグラフの名の元に命ずる。宙に浮き進める力を与えよ! 浮遊付与!』
魔導書に書かれてある詠唱文を読み唱えると、淡い水色に光る球体が手のひらに現れ出す。
これが浮遊させる効果を持つ魔法か、これを付与すれば浮遊することができるのか?
そう思いながら自分に浮遊を付与させる。
すると俺の体が少し浮かび上がり、まるで無重力空間にいるような気分だ。
おぉ、詠唱だと浮き進めるって書かれていたが、ちょっと動き難いな。
浮遊する時の移動は棒状のアイテムを使って移動した方が良さそうだな。
そう思いながら浮遊付与を解除し、無重力状態が解除されて落下する。
俺は上手く着地して服についた土埃を払い、次の魔法の詠唱文を見ながら詠唱する。
『無力神トリグラフの名の元に命ずる。攻撃を防ぐ魔力の盾を生み出せ! 小魔盾!』
詠唱し終えると少し離れた空間から淡い水色の盾が生み出され、俺を守るように周りに浮く。
攻撃を防ぐだけじゃなく、攻撃に備えての保険として使えそうだな。
そう思いながら小魔盾を解除する。
さて、今できる魔法の確認は終えたし、次は現代兵器に必要な素材集めの準備を行おうか。
そう思いながらウーラス山から下山し、エアー村の商業区に向かって歩く。
現代兵器之書物に書かれていた銃器作成に必要な素材は鉄と火薬・銃底に使う堅い木だ。
堅い木はウーラス山に群生しているからいつでも取れるが、問題は鉄と火薬だ。
ウーラス山に発生する鉱脈を探せば良いが、大人に見つかったら出入り禁止にされるのが目に見える。
そのため誤魔化す言葉と秘密の鉱脈を考えないといけないな。
そう思いながら歩いているとエアー村の商業区にたどり着いた。
いろんな商人と護衛である連中がおり、様々な人たちが物を売ったり、取引したりしている。
ここで鉱石採掘に必要なツルハシとライト・食料の三つだ。
鉱石を入れる袋は『アイテムボックス』で代用すれば良いし、上り下りするための縄は浮遊を使えば問題ない。
そう思いながら鉱夫がよく行く商人を探していると、怪しい奴を見つけた。
そいつは薄紫のウェーブショート、蛇のように鋭いアジサイ色の瞳、枝のように細く長身だ。
コイツ……見た目もだがオーラがすごく怪しく、まるで通り魔に遭ったような感覚だ。
コイツと関わりたくないと感じ、俺はあいつに気づかれないようにこっそりと去ろうとする。
しかし怪しい男は俺に気づき、俺に近づきながら言う。
「あら、小柄でかわいい坊やがこんな所にいるなんて珍しいわね。何しに来たのかしら?」
怪しい男はそう言いながら首をかしげ、俺は男の言葉を聞いて身震いする。
ただでさえ怪しいのに、オカマなんてさらに怪しい上に気色悪い。
俺は嫌悪を感じながら男に目を合わせず、寒気を感じながら答える。
「えっと、父さんから新しいツルハシと湿布を買ってほしいと頼まれていますので……」
俺はそう言いながら怪しい男の前から去ろうと動く。
しかし男は俺の襟首を強くつかみ上げ、いきなり掴み上げられた事に驚く。
うわっ!? 細身の上に長身だから非力かと思っていたが、コイツ以外に力があるぞ!
そう思っていると男は俺の襟首をつかみ上げたまま、鼻歌を歌いながらどこかに向かって歩き出す。
「それだったらお姉さんの所にいろんな物があるし、美味しいお菓子も上げるわ」
「えっ、ちょっと待――!」
俺はそう言いながら逃げようとするが、掴む手の握力が尋常なく強くて離れない。
周りに助けを求めても周りにいる人たちは気まずそうにしていた。
何だ? もしかして相手がヤバい奴なのか?
そう思っていると俺は襟首を掴まれたどこかに連れて行かれてしまう。
「うわぁぁぁぁ!? 誰でもいいから助けてくれぇ!」
俺はそう叫ぶが誰も助けず、俺はどこかに連れて行かれてしまった。
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