第5話 開示の儀
ステータスと転生特典を確認して数時間が経ち、窓からのぞく光りが俺の顔に当たり、俺はうめき声をあげながら起き上がる。
「うぅ……もう朝か」
俺はそう言いながらベッドから降り、机に置いてある衣服に着替える。
今着替えたのはひざ上くらいある革製のズボン、ウールでできた白い長そでのワイシャツ、頑丈そうな革製の靴、ウールでできた靴下だ。
今着ている服は全部母さんが作った物で、母さんは主婦だが昔は裁縫職人で、父さんは鉱夫に勤めている。
最初は異世界の服の着心地に違和感を持っていたが、今では中々の着心地だと感じている。
おっと、今は呑気に服の着心地を感じている場合じゃないな。
そう思いながらパジャマを畳んでから机の上に置き、自室から出てダイニングに向かう。
少し歩いているとダイニングに着き、母さんがダイニング近くにあるキッチンで朝食を作っていた。
俺がダイニングに来たことに母さんが気づき、今完成した朝食を皿に移しながら言う。
「グレイちゃん、おはよう。今日はちょっと早いわね」
「あぁ、今日は開示の儀って聞いたから……」
俺はそう言いながらダイニングにある机の椅子に座り、母さんはそれを聞いて何かを思い出して言う。
「あぁ、そうだったわね。あなたと同じくらいの年で開示の儀を受けていたわね」
母さんはそう言いながら朝食を盛られた皿を持っていき、机の上にのせる。
今日の朝食は切り分けられた食パン、刻まれたバジルを乗せたスクランブルエッグと丸いハム、湯気を立つコンソメスープだ。
異世界の食事は元居た世界の洋食とは何も変わらないが、米が全くと言っていいほどないのが欠点だ。
そう思いながら椅子に座る。
しかしこの世界はアレルギーというものがなく、生前動物アレルギー持ちでペットを飼えなかった俺にとって最高の世界だ。
前世は動物アレルギーのせいでペットを飼えなかったが、今ならいろんな動物を飼えそうだ!
そう思いながら机に並べられたフォークを取って朝食を食べ始める。
パンはこんがりと焼かれて少しかんだだけでサクサクし、スクランブルエッグと丸いハムを乗せると小麦の香りだけじゃなく、卵の甘みとハムの塩気で甘みと塩気のハーモニーが奏でだす。
のどが渇けばコンソメスープをスプーンですくって飲み、のどの渇きを潤し、さっぱりとしていく。
異世界の料理ってちょっとワイルドさが特徴だと思っていたが、普通な料理もあるんだなぁ……。
そう思いながら自分の分の朝食を食べ終え、机に置いてあるナプキンを取って口周りを拭く。
礼儀を覚えないと相手が失礼だと感じてしまうし、しっかり覚えておけば好印象を残せるからな。
そう思いながら口周りを拭き終え、椅子から降りて言う。
「それじゃ、そろそろ行くよ」
「えぇ、気を付けてね」
俺の言葉に母さんは優しく声をかける。
独身だったから挨拶されるとうれしくなる。
挨拶されて快くしながら家から出て、ほかの子たちについていく。
俺は他の人とは違ってこの世界についてあまり知らないし、四歳になってからずっとウーラス山の草原で昼寝したり、体内の魔力を感じたりする練習をしていたからな。
開示の儀で自分の才能を知れるし、魔法について学べるからな。
そう思いながらついて行くと広場に四本の白い柱が建っており、柱の中央には白い聖書台が置かれていた。
これが開示の儀を行うための祭壇か? 四本の白い柱に魔法陣が刻まれて、不思議な雰囲気を醸し出している。
これだと儀式じゃなく厄払いに近くなるのでは?
そう思っていると白い法衣を着た老人と後ろにいる男が現れ、老人は聖書台の後ろに立って言う。
「ベロボーグ様の名の元に、『開示の儀』を執り行う!」
「五歳の子供たちは一列に並べ! 一人ずつ儀式を行う」
老人の言葉に男は周りに聞こえるように呼び掛ける。
それを聞いた子供たちは一列に並び始める。
俺を除いた子供たちは開示の儀について知っているようで、どんな才能やスキル・魔法の適正があるのか楽しみにしてた。
俺はステータス画面を開いてチート能力(この世界にとってスキル)や肉体能力を確認することができるが、才能や魔法の適正の有無は分からないからな。
ちょうど才能や魔法の適正を知りたかったから、開示の儀の結果次第で考えておくか。
そう思いながら待っていると、先頭の子から儀式が始まり出す。
老人は聖書に手をかざしながら詠唱する。
『創造主ベロボーグの名の元に命ずる。存在を示す札を開示したまえ! 投影・存在証明の札!』
老人は詠唱し終えると先頭の子の手から一枚のカードが飛び出す。
それは運転免許証に近く、顔写真と情報が書かれていた。
カードが出てきた事を見た男はそれを受け取って言う。
「ふむ……この子の存在証明の札によれば、自然魔導術の一つである火炎属性の適正、才能は俊足、スキルは『察知』のようだな」
男はそう言いながら存在証明の札を先頭の子に返し、先頭の子は喜びながら受け取る。
へぇ~これが開示の儀なんだな。存在証明の札と言うアイテムを取り出し、魔法の適正や才能・スキルを視認する事ができるようになる。
ざっと分かりやすく言えば運転免許証のようだろう。
そう思っていると次々に存在証明の札の開示が進んでいき、様々な魔法の適正・才能・スキルを聞かれる。
戦闘や探索・生産系のスキル、火炎・水流・疾風・電撃・土石の五つの魔法適正、回避などの才能が出てくる。
その中でスキルがない代わりに二つくらいの魔法適性を持ち、逆に魔法適性がない代わりに二つくらいのスキルや才能を持つが少数いる。
俺はそれらを見て考える。
おぉ、色々な魔法適正やスキル・才能を聞いて来たが、スキルを除いてどんな魔法適正や才能があるか楽しみだ!
例えば魔法は光属性とか電撃属性、才能は矢避けの才とかが良いな!
心躍りながら待っているとついに俺の番になり、俺は老人の前に立ち止まる。
老人は俺を見ながら詠唱し始める。
『創造主ベロボーグの名の元に命ずる。存在を示す札を開示したまえ! 投影・存在証明の札!』
詠唱し終えると手の甲から一枚のカードが飛び出す。
それを見た男は俺の存在証明の札を取って、書かれている情報を見ながら言う。
「ほぉ……スキルは『アイテムボックス』で、才能は第六感とは珍しい。しかも適正は無力魔導術全般とは興味深いな」
男はそう言いながら存在証明の札を俺に向けて渡し、俺は自分の存在証明の札を受け取って考える。
どうやら表示されたスキルは『アイテムボックス』で、才能は第六感なのは珍しいと言うことだ。
しかし無力魔導術全般が興味深いとされるなんてどういうことだろうか? 確かに適性が一つだけだったな。
もしかして全般が使えるのはかなり珍しいことなのか?
現に二つくらい魔法適正があったから、もしかしたら全般適性があってもおかしくないだろう。
そう思いながら開示の儀が終わり、家に帰ってこのことを両親に伝える。
それを聞いた母さんは驚き、褒めちぎり出す。
どうやら魔法適性全般持ちはかなり珍しく、数多の魔法もとい魔法術式を使える事は魔術の神・モラナに愛されている証拠だという。
なるほど、だから男は興味深いって言っていたんだな。
そう思いながら母さんが用意した昼食を食べる。
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