第2話 天界
天城斗真が死んだのを見た陽彩は頬をつりながら言う。
「嘘っすよね、先輩? 笑えない冗談はやめてくださいよ?」
陽彩はそう言いながら斗真に呼びかけるが、糸が切れた人形のようにうんともすんとも言わない。
それを見た陽彩は顔を青ざめながら叫ぶ。
「そんな……目を覚ましてください、先輩! 先ぱーい!」
陽彩は涙を流しながら叫ぶ。
***
俺は死んだ自分の遺体を見ながら考える。
いやーまさか初めて自分の死体を見るなんて、世界でも俺だけだろうな……。
それに陽彩、ちょっと泣きすぎないか? このままじゃカエル化現象が起きるかもしれないぞ。
そう思いながら心の中でツッコむと、俺の周りが淡く光り出す。
うぉっ!? これってもしかして成仏してしまうのか?
アニメや漫画で成仏するのはそういうのだし、もし成仏したら消滅しちまうんじゃ……。
最悪の事態を考えていると、俺の体が上へあがってしまう。
俺は慌てて上に引っ張ろうとしている奴に向けて叫ぶ。
「ちょっと待ってくれよ! まだ二人の晴れ姿見てな――」
そう叫ぶが言い終わる前に勢いよく上に引っ張られてしまう。
俺は急に引っ張り上げられて叫ぶ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
俺はそう叫びながら上に引っ張られてしまう。
高速で上へと上がり、人混みが見えなくなるほどの高さを見て感じる。
これ、どこまで上がっていくんだ? 天国とか楽園とかそういう感じだろうか?
そう思いながら引っ張られていると、空から一転して白い空間へと変わる。
オイオイ、いきなり死んだのに上にあげられたり、白い空間にいたりしているのに、まだ何かあるのか!?
そう思いながら身構えていると、目の前に何かが現れてくる。
白いローブを羽織り、キノコのような笠を被り、手には透明の水晶がついた杖が持っていた。
しかし顔はガッツリ言って骨がむき出し上になって、子供が見たらトラウマ+絶叫確定だ。
そう思っているとローブを羽織った骨はお辞儀をしながら言う。
「いきなり連れてきて申し訳ない。私はベロボーグ、異世界を守る神様さ」
ローブを羽織った骨はベロボーグと名乗り、さっき引っ張り上げたことを謝罪しながら自己紹介する。
俺はベロボーグの言葉を聞いて少し驚く。
えっ、ベロボーグという神はゲームしか聞いていないが、さっき異世界を守るって言っていなかったか?
そう思っているとベロボーグは白い空間から二つの椅子と丸い机を出して言う。
「立ち話もなんだし、座りながら聞いてほしい」
「あ、あぁ……」
ベロボーグの言葉に俺はハッと我に返って頷き、椅子を少しひいてから座る。
俺の前に椅子にベロボーグが座り、杖をどこかにおいてから言う。
「色々あって驚いているかもしれないが聞いてほしい。君は世界を救う英雄になってくれ」
「はぁ!?」
俺はベロボーグの言葉を聞いて驚く。
こいつ今世界を救う英雄になってくれって言うが、もう死んでいるし、ただの一般人がどうやって世界を救うんだよ!?
心の中でツッコむと、ベロボーグは少し微笑みながら言う。
「それについては問題ない。何せ今から君を前世の記憶を持たせたまま、チート能力を持たせて転生させるよ」
「えっ、マジで!?」
ベロボーグはそう答えるが、俺はそれを聞いて困惑しながら叫ぶ。
まさかマジで異世界転生する事になっただけじゃなく、チート能力を授けてくれるなんて、俺はラノベの主人公か!?
そう思いながら困惑していると、ベロボーグはどこから数枚の書類を取り出して聞く。
「選べるチート能力が三つあるが、どれでも好きに選びたまえ」
ベロボーグはそう言いながら数枚の書類を俺に渡し、俺は書類を受け取って一通り見る。
〇現代兵器錬成……現代兵器を錬成するスキル・代償:技術の永久保存
〇肉体能力強化……肉体能力を自由に強化するスキル・代償:肉体の成長停止
〇スキルコピー……相手のスキルを自由にコピーするスキル・代償:大量所持による脳の過剰負荷
〇アイテムボックス……亜空間にアイテムを収めるスキル・代償:過剰容量による疲労感
〇暗影の殺人鬼……息を潜んで無音で隠密お呼び暗殺するスキル・代償:発動している間は心臓が停止している
〇狂信の魔眼……相手の目を見つめて洗脳させるスキル・代償:自分より上のレベルだと失明する恐れあり
俺は書類に書かれたチート能力を一通り見て考える。
う~ん、一通り見てみたが、どれもこれも使いこなすのが難しいものばっかりだし、『現代兵器錬成』は兵器の知識がなければ無理なんじゃ……。
そう思っているとベロボーグは再びどこから茶色の本を取り出して言う。
「もちろん『現代兵器錬成』を選んだら特殊級アイテム『現代兵器之書物』を与えれるよ」
ベロボーグはそう言いながら『現代兵器之書物』を机の上に置き、俺はそれを聞いて頷く。
へぇ、兵器の知識がなくても、それを読めばある程度できるんだな。
そう思いながらチート能力が書かれた書類を吟味し、三枚の書類をベロボーグに渡す。
ベロボーグは俺から書類を受け取り三枚の書類を見て言う。
「なるほど……『現代兵器錬成』・『肉体能力強化』・『アイテムボックス』の三つだね。わかったよ、さっそく君に能力を与え、新たな器にしてあげよう」
ベロボーグはそう言うと三枚の書類を光りに変え、俺の体内に埋め込むと近くに穴が出来出す。
まさかこの穴に飛び込めば異世界転生するようになっているのか?
そう思いながらベロボーグを見ると、無言でうなずく。
なるほどこの穴で通れば異世界転生するようになっているんだな。
そう思いながら勢いよく穴に飛び込み、視界が黒く染まってしまう。
***
ベロボーグは斗真が転生の穴道に入ったのを見て、穴をじっと見ながら言う。
「頼んだよ、君が世界を救い、バカなアイツを止めてくれることを……」
ベロボーグはそう言いながら、空間から紅茶入りのティーポットとティーカップを取り出し、紅茶を注いでいく。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!




