第1話 死亡
カーテンの隙間から漏れ出す光りを受けて、ベッドから起き上がって呟く。
「うぅ、またか……」
俺はそう呟きながらベッドから降りて、壁にあるハンガー掛けにあるシャツとズボンをとる。
俺の名前は天城斗真、ざっくりと言えば総合商社に勤めている35歳のサラリーマンだ。
父親は一般企業のサラリーマンで、母親は専業主婦だったが、父親の弟である叔父の推薦で今勤めている総合商社に就職した。
マァ、総合商社に勤めても全くと言っていいほど彼女はないからなぁ。
心の中で悲しみつつパジャマから白シャツと黒ズボンに着替え、寝室からダイニングの机に置いてあるモーニングサンドを取る。
今日は祝日で休みだが、後輩の陽彩が何か報告したいと言っていたから、集合場所のハチ公に行くための中目黒に向かうため、ちょっと早めに歩きつつモーニングサンドを食べれば間に合うだろう。
そう思いながら玄関に掛けてある黒のスーツと焦げ茶のコートを羽織り、黒のウエストポーチを背負って扉を開けて外に出る。
すると肌寒さを感じ、少し身震いながら目的地の中目黒駅に向かって歩き出す。
そういえば、さっき見た夢は何だろうか?
最近変な夢を見ており、昨日は二人の少女と共に怪物を討伐する夢を見ていた。
う~ん、最近ちょっと異世界ファンタジーのアニメを家に帰るときにちょっとと見ていたが、だからって夢に出てくるほどか?
だったら俺が異世界を冒険する夢の方が良いのによぉ……。
そう思いながら少し早めに歩いていると中目黒駅に着き、ウエストポーチからICカードを取り出して改札機にスキャンする。
すると軽快な音が鳴り、俺はそれを聞いてICカードをウエストポーチに収めて改札機を通る。
塾に通学したり、ちょっと遠く遊びに行ったりする人たちの人混みをよけつつホームに着き、渋谷行きの電車に乗って座席に座る。
ふぅ、これなら集合時間に間に合いそうだな。
そう思いながらモーニングサンドの包装紙を外して食べる。
静かな電車の中で黙々と朝食をすます。
だけどまだ時間があったため、ウエストポーチからスマホを取り出してウェブ小説を見る。
それにしても、最近よく異世界系が多いよな。
こういう作品が多いのはやっぱりロマンがあるからか? 未知の世界への旅、魔物との闘い、仲間たちとの絆が刺さるんだろうなぁ。
そう思いながらウェブ小説を読んでいると、静かな電車内にアナウンスが鳴り出す。
『まもなく渋谷~! お乗りの方は気を付けてください』
俺はアナウンスを聞いてスマホの電源を切る。
おっ、そろそろつきそうだな。
そう思いながら座席から立ち上がり、扉の近くに立つ。
少し経つと電車が停止し、扉が機械音をなりながら開きだす。
俺は扉が開いている内に電車に降り、ホームにあるエレベーターを乗り、上に着いたらエレベーターから出る。
そのまま改札機に向かい、ウエストポーチから再びICカードを取り出してスキャンする。
すると再び軽快な音が鳴り、俺は改札機を通りながらICカードをウエストポーチに収める。
改札機を通り過ぎて渋谷駅から出る。
辺りは若者や老人が歩いて集合場所であるハチ公前には一組の男女がいた。
男の方は茶髪のショートで少し頼りなさそうだが、逆に隣にいる女性は茶髪のボブカットでおっとり美人だった。
ハチ公の前にいるのは後輩の陽彩だが、陽彩の隣にいる美人さんは確か隣部署の柊幸恵さんじゃないか。
どうしてココにいるのか聞きたいが、あまり顔合わせしないから怪しまれたらどうしようか……。
そう思っていると陽彩が俺に気づいて大声で叫ぶ。
「あっ、先輩こっちっす! こっちにいます!」
陽彩はそう叫びながら手を振り、俺はそれを見て呆れる。
オイオイ、見えているからあんまりうるさくするなよ? 相変わらずにぎやかな奴だな。
そう思いながら二人に近づいていう。
「ったく、お前のことは見えてるし聞こえているっつーの。呼び寄せに来た理由について説明してくれるか?」
俺はそう言うと陽彩は頭を掻きながら言う。
「いやー実は報告があって……」
「報告って、まさか柊さんと結婚するとかか?」
陽彩の様子に俺は冗談半分で言う。
それを聞いた陽彩は驚きながら叫ぶ。
「えっ!? ちょうどそう言おうと思っていたのに、誰に聞いたっすか!?」
陽彩はそう言いながら驚くが、俺はそれを聞いて驚く。
嘘だろ!? 俺冗談半分で言ったのに、部署一の美人である柊さんと付き合えるなんて……。
俺は驚きつつ陽彩の肩をつかんで言う。
「お前、まさか先輩である俺より先に彼女どころか、奥さんを手に入れちまいやがって……!」
「す、すみません! でも、俺は柊さんと一生幸せにしたいんす!」
俺は怒りに対し陽彩は怯えつつも勇気を振り絞って言う。
それを聞いた俺は怒りが一気に抜けてしまう。
オイオイ、それを聞かされたら嫉妬できないだろ……。それになんか恋愛漫画みたいなセリフだし。
俺はそう思いながら言う。
「ったく、びっくりしたが柊さんを幸せにしろよ?」
「ッ……! ハイ!」
「あ、ありがとうございます!」
俺は心から祝福すると陽彩は目じりに涙をためつつ言い、柊さんは少し恥ずかしそうにしながら言う。
さて、報告は一通り聞いたし、邪魔者はこのまま帰るとしますか。
そう思いながら帰ろうとすると、柊さんは止めるように叫ぶ。
「待ってください! 実は陽彩君をお世話してくれたお礼にご飯をおごろうと考えました!」
「えっ?」
柊さんの言葉に俺は困惑する。
えっ? あいつ結婚の報告だけじゃなく、ご飯を奢ってくれるというのか?
後輩に奢られるのは情けないが、厚意を無下にするのは気が引くし、俺は頬を掻きながら言う。
「後輩に奢られるのは先輩として情けないが、厚意を無下にするわけにはいかないからな。別にいいぞ」
「あ、ありがとうございます!」
俺の言葉に陽彩は喜びながら頭を下げる。
マァ、ちょうど昼飯は何にしようか考えていたところだし、後輩の厚意に甘えてもらおう。
そう思いながら陽彩に質問する。
「それで奢るのはなんだ?」
「はい、先輩の大好きな天ぷらっす!」
俺はそれを聞いてグッと喜ぶ。
おぉ、俺の好みを選ぶなんて中々いいな!
そう思いながら陽彩と柊さんの後についていく。
すると遠くから悲鳴が聞こえだし、少し目を凝らしてみる。
俺達から離れたところに、黒い服を着た不審者が高級バックを持ちながら逃げていた。
しかも右手には中くらいの包丁を振り回しながら、こっちに向かって走っていた。
それを見た陽彩と柊さんは突如現れた通り魔に驚き、通り魔は包丁を構えて陽彩に向かって走り出す。
まずい、このままだと陽彩か柊さんが刺されちまう!
俺はそう思いながら叫ぶ。
「陽彩、柊さん!」
俺はそう叫びながら二人の肩をつかみ、後ろに下がらせる。
二人はいきなり後ろに下がられたことに驚く。
「うわっ!?」
「キャッ!?」
二人はそう言いながら倒れ、俺は通り魔の前に立つ。
通り魔は俺を見て驚くが、包丁強く握って俺の腹に向かって突き刺そうとする。
俺はそれを見て慌てて避けようとするが、避けるのが間に合わず包丁をもろに刺されてしまう。
包丁の刃が腹に深く刺さり、俺は口から血を吐き出してうめく。
「ゴフ……!?」
腹からくる激痛と灼熱に困惑しながらうめき、通り魔は包丁を引き抜いてこの場から立ち去る。
包丁を雑に引き抜かれたことで傷口から血が大量に吹き出し、倒れてしまう。
それを見た陽彩は慌てて俺によって声をかける。
「先輩! 気を確かにしてください!」
陽彩はそう言いながら呼びかけ、柊さんはスマホで救急に連絡していた。
俺は少し自信の腹を見る。
傷口から大量に血が噴き出し、傷口が激痛と灼熱を感じ、血が噴き出すことで徐々に熱を奪われるように感じる。
あっ、これ絶対死ぬ奴だ。まさか童貞のままで死ぬなんてなぁ……。
そう思いながら何度も呼びかける陽彩に向かって言う。
「陽彩、柊さんを必ず……幸せに、しろよ?」
「先輩何言っているんすか? あと少ししたら救急車が来ますよ」
俺の言葉に陽彩は困惑しながら言う。
すまん、もしかしたらお前らの晴れ舞台を見れずに……。
俺は罪悪感をわきながら言う。
「後、俺のPCをぶっ叩いて……データを消してくれ」
「先輩、お願いですから喋らないでください!」
俺のわがままを聞いて陽彩は涙を流しながら叫ぶ。
本当にすまんな。あとできれば彼女が欲しかったなぁ……。
俺はそう思いながらゆっくりと目を閉じる。
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