プロローグ 旅するヒーロー
草木が生いしげ、小鳥がさえずる森の中で、茶髪の少女は顔を青ざめながら泣きそうになっていた。
少女は目の前にいる醜悪な怪物達に囲まれて恐怖を抱き、顔を青ざめて息を荒くしながら叫ぶ。
「あぁ……誰か、誰か助けて!」
少女は助けを求めるように叫ぶが誰かが助けに来ず、この森に響くのは小鳥のさえずりと怪物達の嘲り声だけだ。
緑肌の醜悪な怪物・ゴブリン達は少女の怯えている姿を見てあざ笑い、ゴブリン達より数倍大きい巨体をした怪物・ホブゴブリンファイターは少女を見てよだれを垂らしながら欲情していた。
少女は恐怖で動けずに固まり、ゴブリン達は一斉に少女に襲い掛かる。
ゴブリン達は恐怖で固まる少女をつかみ、衣服をたやすく破る。
少女はそれを見て力を振り絞って抵抗して叫ぶ。
「いや! やめてぇ!」
「グギャギャ!」
少女はそう叫ぶが、それを見たゴブリンの一人が煩わしそうにしながら少女の腹に目掛け、黙らせようと強く蹴る。
少女は腹に目掛けて強く蹴られてうめく。
「ゴフッ!?」
少女はそううめきながら動きが止まり、ゴブリン達は下卑た笑みを浮かべながら下着姿にさせるまで服を破っていく。
そうして下着姿になるまで破られた少女は顔を赤くし、豊満な胸を隠しながら涙を流す。
少女の豊満な胸や肢体を見たゴブリン達は息を荒くしながらよだれを垂らし、ホブゴブリンファイターは飢えた獣のような眼光で少女を見る。
少女の下着姿を見たホブゴブリンファイターは少女の右腕をつかみ上げ、そのまま純潔を散らそうと白のショーツを引きはがそうと片方の腕を伸ばす。
少女は目を強く閉じ、最悪の未来を想像する。
だが突如空気が破裂する音が森に響き、白のショーツに伸ばしていた方の腕が撃ち落されていた。
それを見たホブゴブリンファイターは少女の右腕を手放し、撃ち落された方の腕を強くつかんで叫ぶ。
「ゴギャァァァァァ!?」
「グギャ!? グギャギャ!」
ホブゴブリンファイターの叫びに驚いたゴブリンは叫びながら辺りを見渡す。
少女はホブゴブリンファイターに手放されて地面に倒れ、何が起きたかわからず混乱していると、少しから離れたところから、筒状の武器を構えている少年が見えた。
少年の容姿はとても幼く、銀のように輝きのある白かつ毛先が腰に届きそうな長髪、鋭く紅いクリムゾン、子供のように小さい体格、幼い少女に近い少年だ。
しかし少年が持つ武器は雰囲気が違った。
手に持ち構える武器は鈍く光る黒い筒で、筒を支える部分がイペの木で出来ており、弾丸を排莢するためのレバーがあった。
少年の腰や背中にも大きさは違うが筒状の武器を持っていた。
少年は長めの筒状の武器・スプリングフィールドM1892のコッキングレバーを掴んで呟く。
「ホブゴブリンファイターの左腕にヒット、少女を手放したから一気に仕留めるか……」
少年はそう呟きながらコッキングレバーを引いて排挟し、押して.30―40クラグ弾を装填する。
少女はスプリングフィールドM1892を持つ少年を見て呟く。
「なんで子供が森深くにいるの?」
少女はそう呟くがゴブリン達は少年が持つ武器に困惑しつつも、お楽しみを邪魔されたことに怒り、石槍や石斧を握って少年に向かっていく。
それを見た少年はスプリングフィールドM1892を持ち下ろして言う。
「お楽しみを邪魔されてお怒りって感じか? ちょっと予定が狂ったが、このままいくか!」
少年はそう言うとスプリングフィールドM1892から別の武器に持ち替える。
持ち替えた武器もまた不思議な形をしていて、鈍く光る銀色の銃身、銃底の部分もイペの木で出来ており、鈍く光る長方形の箱は少しバナナのように曲がっていた。
鈍く銀色に光る武器・AK―47を持ち替えて、コッキングレバーを引いてマガジン内にある7.62×39mm弾を装填する。
AK―47を持ち替えると両足に魔力を巡らせ、腰を低くして詠唱する。
『無力神トリグラフの名の元に命ずる。宙に浮き進める力を与えよ! 浮遊付与!』
詠唱し終えると少年の身に淡い水色の光りを纏い、少年はゴブリン達に向かって強く蹴って走る。
すると宙に浮くようになり、少年はAK―47をゴブリン達に向けて引き金を引く。
すると銃口から7.62×39mm弾が放たれ、少年に襲い掛かるゴブリン達はたやすくハチの巣にされる。
「グギャァァァァ!?」
「ゴギャァァァァァ!?」
ゴブリン達が成す術もなく銃殺される姿を見たホブゴブリンファイターは足元にあるこぶし大の石を拾い、それを少年に目掛けて強く投げる。
ホブゴブリンファイターが投げる剛速球に、少年は背中に掛けてあるスプリングフィールドM1892を持ち替える。
そしてそれを使って剛速球を右で回避する。
クレバーな回避にホブゴブリンファイターは驚き、少年はその隙を狙ってスプリングフィールドM1892を構え、驚いているホブゴブリンファイターの眉間に向けて引き金を引く。
.30―40クラグ弾がホブゴブリンファイターの眉間を貫き、ホブゴブリンファイターは苦悶の表情を浮かべながら後ろに倒れる。
大量のゴブリン達とホブゴブリンファイターをたやすく倒すのを少女は唖然としながら呟く。
「す、すごい……」
少女はそうつぶやくと少年は少女の方に向かって歩く。
少女にとって謎の武器を使う幼い少年がいったい何者か気になるが、少年が少女にある程度近づくと人を一人覆えるほどの布を取り出す。
少女はどうして布を取り出したのかわからずに首をかしげるが、逆に少年は頬を赤くしながら言う。
「えっと、その……このままだと寒いんじゃないか?」
「えっ?」
少年は恥ずかしそうにしながら言い、それを聞いた少女はビクッとしながら固まり、一気に顔を赤くして叫ぶ。
「キャァァァァァ!? みっともない姿を見せてごめんなさい!」
「いや、このままだと風邪をひきそうだったから、渡そうと思っただけだ……」
少女の恥ずかしそうにしているのを見て、少年はそう言うが横目でチラリとみていた。
すると遠くから大声が聞こえだす。
「おーい、どこにいるんだー!?」
「頼む、返事をしてくれー!」
大声の主は少女が住む村の人達で、少年がそれに気づいて少女に布を覆わせる。
ちょうどその時に村人達が少女に気づいて走り出す。
「おーい! ルミ!」
「あっ、お父さん!」
村人の中であごひげの男が少女の名を呼び、名を呼ばれた少女・ルミは明るい声を上げながら父親に向かっていく。
あごひげの男は実の娘の無事を見て涙を流し、ルミは安心して父親と抱き合う。
それを見た少年は微笑んでこの場から去ろうとする。
するとルミは去っていく少年を見て叫ぶ。
「待って! 君はいったい何者なの!?」
ルミは父親に抱きながら叫び、それを聞いた少年は振り向いて言う。
「俺は通りすがりのヒーロー、ただそれだけだ」
少年はそう言うとこの場から立ち去る。
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