第19話 噂の目覚め
俺は風呂と食事を終えて寝間着姿でベッドに座り、後頭部をさすりながら呟く。
「ハァ……今日はひどい目に遭ったな」
俺は後頭部をさすりながら呟き、今日あったことを振り返る。
冒険者が言っていた魔物の対策のためにショットガンを作成したが、試し撃ちの時に後頭部を地面に強く叩き付けられ、激痛でもだえ苦しんだからな。
今日は新たな武器を手に入れたが、代わりに激痛とたんこぶを負う何てな。
そう思いながら後頭部をさするのを止め、ベッドの近くにあるランタンの火を消して横になる。
いつ冒険者が言っていた魔物が出るか分からないが、出たときに備えて明日も準備しておこう。
そう思いながらまぶたを閉じ、明日に備えて寝ていく。
***
月がくらい夜を照らし、グレイが住む家もといエアー村から離れた所からヴァ・シとスアタ・トロが監視していた。
ヴァ・シはグレイが住む家を見ながらスアタ・トロに質問する。
「スアタ・トロよ、本当にやるつもりか?」
ヴァ・シの質問にスアタ・トロは眉を寄せながら言う。
「貴様、もしかして気が引けたとても言いたいのか?」
「全く違う。奴は新たな武器を持っていたんだぞ? 貴様が操っている魔物も強いが、小規模の迷宮主を倒したんだぞ?」
スアタ・トロの言葉にヴァ・シは否定しつつ、グレイの実力を危惧しながら言う。
確かに普通の子供なら魔物に為す術なく一方的に殺されるのに、グレイは違った。
彼は自分より大きい体格を持った怪物に恐れず、大人も顔負けの状況判断と筒状の武器を使って怪物を倒したのだ。
戦闘者であるヴァ・シは彼がただ特殊なスキルを持った子供ではなく、中身が別物である事を考えていた。
ヴァ・シの考えにスアタ・トロは面倒に感じながら、エアー村を指さしながら言う。
「無駄に心配しすぎだ。それに他の仲間もあの方々を復活させようと準備しているぞ? 我が能力とアレの力があれば問題ない」
「だと良いが……」
スアタ・トロは自信ありげに言うが、逆にヴァ・シはグレイの謎の強さについて考える。
ヴァ・シの様子を見たスアタ・トロは『一々人間の子供に警戒するなんて馬鹿すぎる』と呆れつつ、鉱脈の洞穴の最奥のボス部屋に寝ている迷宮主に禍々しい力を大量に流し込む。
すると最奥にいる魔物の肉体が脈動し、四肢が赤黒くひび割れて光り出す。
さっきまで寝ていた魔物はシャキッと目覚め、赤黒く光ってひび割れた前足を地面に叩き付けて叫ぶ。
「ガァァァァァ!」
魔物は腹の奥底から荒々しく、恐怖を湧き上がるオーラを放っていく。
すると鉱脈の洞穴にいる魔物達のオーラが強くなり、誰から見ても以上に強化されている。
強化されたオーラを感じたスアタ・トロはゆがんだ笑みを浮かべながら言う。
「どうだ、貴様が心配する物は予想以上の強さを得ている。これまでまだ文句を言うつもりか?」
「確かに……離れているがオーラはすさまじい。これは期待できそうだな」
スアタ・トロの言葉にヴァ・シは鉱脈の洞穴の現迷宮主を感じ、オーラの強さに感心しながら言う。
その様子を見たスアタ・トロは鼻で笑い、ヴァ・シと共にこの場から立ち去る。
スアタ・トロとヴァ・シがエアー村から離れて数分後、グレイは目を見開いて起き上がる。
その姿は汗まみれで、息を荒くしながら呟く。
「な、何だ……さっきのオーラは……」
グレイはそう言いながら心臓を激しく鼓動する。
***
俺はさっき強烈なオーラを感じ取り、シャキッと目覚めた。
全身は冷や汗を流しており、心臓はどくんどくんと激しくなっていた。
いきなりどうしたんだ? さっき寝ていたが突然強烈なオーラを感じて、シャキッと起き上がったからな。
もしかして冒険者が言っていた魔物が鉱脈の洞穴から出てきたのか? 本当だったら犠牲者は百を軽々と超えてしまうだろう。
そう思いながら窓を開け、両目に魔力を流して見る。
すると離れたところから禍々しい力とオーラが立っており、俺は全身に悪寒と恐怖を感じて慄く。
確かに冒険者が言っていた魔物通り、小規模のダンジョンにいるとは思えないぐらいの強さだ。
冒険者が危惧するのも納得だ。こんなのが村や町で暴れたら大惨事では住まないレベルの惨状が起きてしまうだろう。
そう思いながら寝間着からいつもの服装に着替え、靴を履きながら静かに詠唱する。
『無力神トリグラフの名の元に命ずる。宙に浮き進める力を与えよ! 浮遊付与!』
詠唱し終えると全身が軽くなり、俺は窓から外に出てゆっくりと壁を伝って降りる。
一気に飛び降りてもその音で起き上がるかもしれないから、ゆっくりと移動したほうがいいだろう。
そう思いながら慎重に動き、地面に足がつけてオーラがあった所を見て確認する。
オーラの濃度はまだ高まっていないが、代わりにオーラの数は増えていた。
これはもしかして外から出た迷宮主以外に別の魔物がついてきたのか?
そう思いながら『アイテムボックス』からニューナンブM60を持ち構え、次の魔法を唱えるため右手に魔力を流して詠唱する。
『無力神トリグラフの名の元に命ずる。肉体の俊敏性を上げよ! 俊敏性強化!』
誰かが起きないように静かに詠唱し終えると両足に力が沸き上がり、次に『肉体能力強化』の画面を開いて俊敏性と頑丈力を選択する。
するとさらに足から力が沸き上がり、全身から魔力が漲って頑丈力が沸き上がってきた。
よし、これでいつ逃げれても大丈夫になったな。
そう思いながらオーラが照っているところに向かって走る。
夜間で戦わないといけないことは確定になりそうだが、夜目になれば多少攻撃を回避出来そうだ。
そう思いながらオーラが立っている所に向かって走り、ボックス内からピストル弾丸を取り出して装填する。
M870は迷宮主と多戦うときに備えて、ショットガン弾丸を装填したらすぐ出せる場所に収めておこう。
そう思いながらニューナンブM60とM870を装填し終え、M870は『アイテムボックス』からすぐ取り出せるように近くに収める。
***
今グレイはオーラが立っているところに向かっている中、一番強いオーラの中心には魔物がよだれを垂らしながら歩いていた。
その魔物は龍に近いがコウモリの翼・鷲の脚・蛇の尾を持ち、右目が赤く煌めく紅玉で、左目が白く輝く金剛石で出来ており、全身に濃い紫の正気が漂っている。
宝石の瞳をした迷宮主の周りにはゴブリン・コボルト・スケルトン・ノッカーなどの魔物達が集まっていた。
まるでそれは一つの群れのようになしており、彼らは飢えや愉悦感を満たすためにエアー村に向かって進軍していた。
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