第20話 バード・アローVS宝石のダンジョンボス
今回は三人称視点で、次回は一人称になります
宝石の迷宮主はゆったりと歩きながらあたりを見渡しており、自身に襲いかかる敵がいるか探していた。
周りにいる魔物達も我らの主の邪魔をさせはしないように、あたりを見渡しながら警戒していた。
宝石の迷宮主を周りにいる魔物達を引き連れながら歩いている様子を、遠くから五人組の戦車階級冒険者達・パーティー『鳥の矢』が見ていた。
剣や盾、斧や弓矢などを装備しており、五人組のリーダーである黒髪の青年・クロウは腰に差している鋼鉄のサーベルを抜き取って構え、敵に聞こえないように小声で言う。
「夜行性じゃないかと思って探索していたら、まさか村人達が寝静まっている所で現れるとはな……」
「おい、どうするんだ? 周りにいる魔物と中心にいる迷宮主はかなり警戒しているぞ」
クロウは自分の予想が当たったことに少し唸っているが、大斧を持った巨体な男・ファルコンは大量の魔物や、強大そうな迷宮主を見て策はあるか聞く。
ファルコの後ろに腰に数個の短剣や右腕にバックラーを装備した小柄な少女・ラークは目を細めながら迷宮主の周りにいる魔物達の数を数える。
「ゴブリン15体、スケルトン30体、ノッカー10体、ゴースト20体、ウルフ10体……まさに一種の軍隊だね」
「この軍隊を少人数で戦うと苦戦は確定だね」
ラークは迷宮主の周りにいる魔物達の数の多さに眉を寄せ、あまりの多さに背中に弓矢を背負っている青年・イーグルは数の多さに呆れながら言う。
腰に片手剣を携えている長髪の美女・ターミガンは呆れているイーグルに向かって言う。
「でも、このままだと住民達が犠牲になってしまうわ」
「それもそうだな。どうするんだ、リーダー?」
ターミガンの言葉にイーグルは頷きながらリーダーと呼ばれたクロウに聞く。
イーグルの言葉にクロウは迷宮主や周りにいる魔物達を見ながら答える。
「そうだな……周りにいる魔物や迷宮主に戦っていこう。外に出た迷宮主は一定以上のダメージを与えれば、奴は鉱脈の洞穴に戻るはずだ」
クロウの言葉にファルコンは魔物達を見ながら言う。
「確かに今ここで戦っていかねぇと、冒険者として名が折れるぜ」
「そうですね。多少無理でも村にいる人たちを守らなくてはいけません」
ファルコンはそう言いながら装備してある大斧を持ち構え、ファルコンの言葉にターミガンはそう言うと腰に携えている片手剣を抜刀して構える。
武器を構える二人を見て、ラークとイーグルは相変わらずな二人に呆れながら各々が武器を構える。
それを見たクロウは少し喜びながら鋼鉄のサーベルを持ち構えて言う。
「皆、生きて帰ろう……!」
「「おう!」」
クロウの言葉にファルコン達は頷き、イーグルを除いたクロウ達は歩み出す迷宮主や魔物達の前に現れ、クロウは叫ぶように詠唱する。
『火炎神スヴァローグの名の元に命ずる。剣の刃に紅蓮の炎を纏わせよ! 烈火付与!』
詠唱し終えるとクロウが持つサーベルの刃が赤く燃えて纏え、ラークは腰に装備してある短剣を取って魔力を流して叫ぶ。
「戦闘技・投擲の雨!」
ラークはそう叫ぶと手に持つ短剣を迷宮主や魔物達に向かって投擲する。
すると投擲されたナイフが複数に増え、雨のように降り注いでゴブリンやノッカーなどの体に深く刺さり、刺さったところから地を吹き出して叫ぶ。
「グギャァァァァ!?」
「グロロロロロ!」
迷宮主の周りにいる魔物達は悲鳴を上げ、ラークが持つ短剣に付与された効果・成仏Ⅱによってゴーストは灰になって消滅する。
しかし迷宮主は降り注ぐ短剣を軽々と回避し、運良く生き残ったゴブリン・シャーマンは獣の頭蓋骨がついている杖をクロウ達に向けて叫ぶ。
「グギャギャ!」
ゴブリン・シャーマンは杖を構えながら叫ぶと杖の先から火の玉を三つほど生み出し、それをクロウ達に向けて放つ。
それを見たファルコンは前に出て、手に持ち構える大斧に魔力を流しながら強く握って叫ぶ。
「戦闘技・氷刃旋風!」
ファルコンはそう叫びながら大斧の刃が氷と風が纏い、そのまま大斧を強く握って勢いよく振り回す。
すると大斧の刃が火の玉を切り裂き、火の玉は蒸発する音と共に消滅する。
そしてファルコンはそのままゴブリン・シャーマンの体を真っ二つにした。
ゴブリン・シャーマンは自身が真っ二つにされたことに気づかず、断末魔を上げずに絶命する。
それを見たイーグルは呆れがながら呟く。
「相変わらずすげぇ馬鹿力だな……」
イーグルはそう言いながらノッカーの眉間に矢を撃ち込み、クロウはサーベルを強く握りながらスケルトンを切り捨てていく。
ターミガンも手に持つ片手剣で別のゴブリンやノッカーを切り捨て、迷宮主の周りにいる魔物達を次々と倒していく。
そうしてさっきまで大量だった魔物の大群はとても少なくなり、彼らの実力のチームプレイに迷宮主は感心しながら言う。
「ほぉ……人間で構成されているとはいえ中々の実力を持っているな」
迷宮主はそう言いながら感心しているが、クロウ達は突如魔物が喋った事に驚き、クロウはサーベルを迷宮主に向けて叫ぶ。
「い、一体何者なんだ! 本来魔物には言語能力はないはずだぞ!?」
クロウはそう叫びながら迷宮主に警戒し、ファルコン達も魔物が話せることに疑問を持ちながら武器を構える。
しかしそれを聞いた迷宮主は鼻で笑いながら言う。
「ふっ……もしやそこまで|魔物(我ら)について知らんとはな。半端な知恵を持つ者より、何も知らぬ者の方が聡明だな」
「何?」
迷宮主の言葉にクロウは首を傾げながら言い、イーグルは魔力を流しつつ矢を引いている弓を迷宮主に向けて小声で叫ぶ。
「訳分かんねぇ事を言う暇があるなら攻撃しろよ! 戦闘技・流星の矢!」
イーグルはそう叫びながら迷宮主に向けて矢を放つ。
すると矢は蒼い流れ星になり、矢の周りにある魔力が蒼く輝く星になって襲いかかる。
しかし迷宮主はそれを見て動じず喉元に魔方陣が浮かび上がり、襲いかかる流星の矢を恐れずに呟く。
『我ら創造主たるチェルノボーグの名の元に命ずる。大地の守りのごとく堅い岩壁を生み出せ! 岩石の防壁!』
魔法を詠唱するように言うと地面から岩石の防壁が突き出され、流星の矢を容易く防いでいく。
それを見たイーグルは魔法を詠唱したことに驚きながら叫ぶ。
「嘘だろ……魔物が詠唱した何てあり得ないだろ!」
イーグルはそう言いながら腰にある矢筒にある矢を取り出そうとするが、迷宮主は生み出した岩石の防壁に飛び越え、口内に魔力が凝縮され始める。
それを見たラークは腰にある短剣と謎の液体が入っている瓶を取り出して叫ぶ。
「そうはさせない! 戦闘技・音速の短剣!」
ラークはそう叫びながら液体が入った瓶に短剣の刃に掛け、何かを放とうとする迷宮主に向けて投擲する。
さっきラークが投擲した短剣に書けた液体は大型魔物用の麻痺毒で、それをもろに受ければ最大10分くらい動けなく代物だ。
ラークは空中に足場を生み出さたり、翼を羽ばたかせない限り、この攻撃を避けることはない。
そう思っているラークだったが、迷宮主は蛇のような尻尾を使って麻痺毒付きの短剣をたたき落とす
しかしその時に尻尾に切り傷が出来上がり、それを見たラークは心の奥底で喜ぶ。
これなら思いのまま動けず、運良く行けば討伐することが出来るかもしれない。
そう思いながら喜ぶラークだったが、迷宮主はラークの企みを見透かしながら叫ぶ。
「我にそんな小細工通じんわ!」
迷宮主はそう叫びながら凝縮された魔力を放出させる。
放出された魔力は鋭利に尖った結晶になり、それらがクロウ達に襲いかかる。
それを見たクロウは近くにいるファルコン達に向けて叫ぶ。
「皆、一斉に避けろ!」
クロウの叫びにファルコン達は一斉に回避し、鋭利な結晶の雨が降り注ぐ。
鋭利な結晶の雨にクロウ達は必死に避けるが、結晶の一つがラークの左足を切り裂かれる。
あまりの鋭利に筋肉付近まで切り裂かれ、ラークは足を滑らして転んで叫ぶ。
「キャァ!?」
「ラーク!」
ラークはそう叫びながら転ぶと、クロウは手に持つサーベルで結晶をはじき返しながら名を叫び、怪我したラークに向かって走る。
それを見た迷宮主は蛇のような尻尾に魔方陣を浮かび上げ、あくどい笑みを浮かべながら詠唱する。
『我ら創造主たるチェルノボーグの名の元に命ずる。大地の結晶を槍にして放て! 結晶の槍!』
詠唱し終えると蛇のような尻尾から鋭利な結晶の槍が生み出され、そのままラークに向かって一直線に放たれる。
それを見たイーグルは瞬時に弓に矢と力を込め、そのまま決勝に向けて放つ。
矢は空を裂きながら結晶にぶつかるが、カンッと言う音が鳴って弾き飛ばされた。
ラークまで走ったクロウは結晶を見て、手に持つサーベルを前に構えながらラークの前に立つ。
それを見たファルコンはクロウに向かって叫ぶ。
「クロウ、そいつは罠だ! 急いでラークを抱えて逃げろ!」
「いや、このまま抱えても結晶のスピードだと仲良く串刺しだ! 俺が何とか止めるからラークを回収して逃げてくれ!」
ファルコンの叫びにクロウはそう言いながら肉壁になろうとして覚悟を決める。
ラークとクロウを除いたファルコン達は犠牲になろうとするクロウの行動を止めようと走る。
しかし足下にある鋭利な結晶が大量にあるため、素早く動けずにいた。
ファルコン達が必死にクロウとラークに向かっている中、結晶がクロウが持つサーベルが届くくらいの距離になり、ファルコン達はリーダーが死ぬ想像が思い走り、迷宮主はファルコン達の絶望を見てほくそ笑む。
クロウはこのまま結晶に深く刺されると思い、歯を食いしばって目を閉じる。
すると空気が破裂する音があたりに響き、数秒後にガラスが砕け散る音が響く。
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