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第3話「初めて知る、彼女たちの素顔」


いつもお読みいただき、ありがとうございます。


プロローグ第3話では、トップアイドルとして活躍する彼女たちの「舞台裏」にスポットを当てます。


テレビでは見ることのできない真剣なレッスン風景や、夢を叶えるために努力を積み重ねる姿、そしてレッスンが終われば年相応の少女たちへ戻る、そんな素顔を一眞の視点を通して描いています。


少しずつ距離が縮まっていく一眞と彼女たち。


この出会いが、この先どのような物語へ繋がっていくのか、ぜひお楽しみください。



合同レッスンが始まった。


「5、6、7、8!」


ダンス講師の掛け声がスタジオいっぱいに響く。


四十人のメンバーは一糸乱れぬ動きで踊り続けていた。


テレビでは笑顔しか見せない彼女たち。


しかし、レッスン中は別人だった。


「そこ、もう一度!」


「はい!」


「足が揃ってない!」


「もう一回!」


何度も同じ振り付けを繰り返す。


汗が床へ落ちる。


息が上がる。


それでも誰一人として弱音を吐かない。


一眞はその様子を静かに見つめていた。


(……すごい。)


普段は明るく笑っているメンバーばかり。


しかし今は、一人ひとりが真剣な表情で音楽と向き合っている。


その姿は、まさにプロだった。



一時間半後。


「十五分休憩!」


講師の声と同時に、スタジオの空気が一気に和らぐ。


「疲れたぁ!」


「水、水!」


「タオル取って!」


「今日暑いね!」


メンバーたちは一斉に笑顔へ戻った。


すると。


「あっ、一眞くん!」


「こっち来て!」


またしても一眞は呼ばれる。


「はいはい。」


近付くと、テーブルの上にはお菓子や飲み物が並んでいた。


「今日は差し入れいっぱい!」


「高校帰りだからお腹空いてるでしょ?」


「これ美味しいよ!」


一眞は苦笑しながら言う。


「ありがとう。でもみんなが食べて。」


「遠慮しない!」


「食べなきゃダメ!」


「高校生なんだから!」


あっという間に紙皿の上がお菓子でいっぱいになる。


「……こんなに?」


「全部食べて!」


「無理だよ。」


みんなが笑った。



「一眞くん。」


後ろから優しい声が聞こえた。


振り返ると、MILK CROWNの白雪澪だった。


「はい。」


「少し座ろう。」


二人はスタジオの端にあるソファへ座る。


「高校生活、楽しい?」


「うん。」


「友達は?」


「結構いるよ。」


「そう。」


澪は安心したように微笑んだ。


「私、高校生活をあまり送れなかったから。」


「……。」


「だから少し羨ましい。」


アイドルになったことで、普通の青春はほとんど経験できなかった。


その一言だけで、一眞には十分伝わった。


「でも。」


澪は笑う。


「今は後悔してないよ。」


「どうして?」


「ここにみんながいるから。」


その言葉を聞いて、一眞も自然と笑顔になった。



その頃。


スタジオの反対側では、沙織と安本康晴がレッスンの様子を見ていた。


「沙織。」


「はい。」


「一眞も大きくなったな。」


「そうですね。」


「メンバーとも本当に仲がいい。」


「みんなが可愛がってくれてますから。」


安本は少し笑う。


「一眞は礼儀正しい。」


「ありがとうございます。」


「だからみんな安心して接している。」


沙織は弟の方を見る。


四十人に囲まれながら笑っている一眞。


昔から人見知りだった弟が、今では自然と笑っている。


その姿を見るだけで姉として嬉しかった。



休憩も終わりに近付いた頃。


「ねぇ、一眞くん。」


HONEY BLOOMの一ノ瀬花音が声を掛けた。


「ん?」


「今度、高校のお話もっと聞かせて?」


「いいよ。」


「約束!」


「約束。」


その約束を聞いた他のメンバーも集まってきた。


「私も聞きたい!」


「文化祭ってどんな感じ?」


「体育祭ある?」


「恋愛とかあるの?」


「告白って本当に屋上でするの?」


質問は尽きない。


普通の高校生活。


彼女たちにとって、それはテレビやドラマでしか知らない世界だった。


一眞は笑いながら答えていく。


その時間は、トップアイドルと高校生という立場を忘れさせるほど自然で穏やかなものだった。


しかし、その輪の中で一人だけ、一眞をじっと見つめている少女がいた。


まだ言葉を交わしたことは少ない。


それでも、その視線はどこか優しく、そして少しだけ特別なものだった。


この小さな出会いが、やがて一眞の運命を大きく変えていくことを、まだ誰も知らなかった。



最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


プロローグ第3話では、一眞がテレビでは決して見ることのできないアイドルたちの努力や、本当の素顔に触れる様子を描きました。


華やかなステージの裏には、何度も練習を重ね、悩み、支え合いながら前へ進む彼女たちの姿があります。


そして、一眞にとっても彼女たちは「遠い存在」ではなく、一人ひとりに夢や想いを持つ普通の女の子であることを、少しずつ実感していきます。


次回はいよいよプロローグ第4話。


一眞とメンバーたちの距離はさらに近づき、新たな約束が結ばれます。


引き続き、この物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。


「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ブックマークやご感想、ご評価をいただけると今後の執筆の励みになります。


次回もぜひ、お楽しみに!


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