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縁側のひみつ茶屋  作者: Fos B


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【主演の違う映画だから理解しなくても良い時もある】

ここは、心がちょっと迷子になった人がひょっこりと訪れてしまう場所。

1杯のお茶をゆっくり飲み干す間に、ついつい心を開いて、溜め込んでいた本音を吐き出してしまう——そんな不思議な縁側です。

悪い心を持つ人は決して辿り着けない。心がほんの少し弱くなった人だけが、何かの拍子に見つけることができる場所。

さあ、今日はどんなお客様が、この暖簾をくぐってくるのかしら? 



〜相手が何をしたいのかわからなくなったお客様〜


私には彼女の気持ちがわからない。友達なのか友達じゃないのか、親しくしたいのか一体何なんだろう。本当に理解できなくて、悲しくなる……。

私は専門学校の学生だ。1年時と2年時はクラス替えがあって、2年のクラスはほとんど知らない人ばかりだった。その中で、前のクラスにいた子とたまたま近くに座って仲良くなった子がいた。他の1人も含めて大体いつも4人でつるんでいた。そのたまたま席が近くて、仲良くなった子の実家に遊びに行って泊まって、みんなでお好み焼きパーティーを家族ぐるみでしたりしたこともあった。

ある日、その泊まりに行ったことのある子と2人で駅に帰るときのことだ。その子の前のクラスの子と合流して、3人で駅まで歩いていた。そしたら2人が先を歩いて喋っていて、私はポツンと後ろでついていく形だった。

その時、近くを通った小学生2人組が、いきなり私に水鉄砲の水をかけ始めた。やめてと言ってもやめてくれず、そのまま逃げて助けてと前の2人に言ったが、聞こえないふりをしたのか本当に聞こえてなかったのか、2人はとっとと歩いて行ってしまった。すごく孤独になった。結局、その2人は後ろにいる私のことなんて気にしないで帰ってしまった。そして次の日は、またその子は普通に私やグループのみんなと喋っている。昨日のことは何だったんだろうと思った。

そしてある日、もう1人のクラスの男友達とみんなで車の免許を取ったから、レンタカーを借りて遊びに行こうという話になった。1人の子は初めからダメだったので、じゃあとその男の子と私と4人で行くということになったら、いきなり私を水鉄砲事件の時に見捨てた子が前の日に「明日バイトが入ったからだめ」と言い出した。当日、待ち合わせ場所の近くがその子のバイト先だったので顔を出したら、悪びれもせずに「いってらっしゃい」とただ一言。

その後、卒業旅行に4人でグアムに行こうという話になり、みんなで乗り気になったら急にその子が申し込みの日になると「バイトもあるし行けない」と言い出した。結局その子を抜かした私たち3人で行くことになったのだけれど、なぜか当日、成田空港に近いところに住んでいる男の子2人と、その子がお見送りと言って急に見送りに来た。

本当に理解不能で、何がしたいのかわからなかった。もうどうしたらいいかわからなくて、悲しくて。これから飛行機に乗らなきゃいけないのに…。ちょっとトイレに行くって1人でその場を離れ、心が限界だと思った途端に田園風景が広がった。里山の古民家が目の前にあった。おばあちゃんがニコニコと縁側で手招きをしている。

私はあっけにとられながら唖然とした。まさか飛行機に乗る前から私の身に何かあったのかな……と思うと、おばあちゃんが大笑いしだした。

「あんたはまだまだちゃんとこの世に足で立ってるよ。何、面白いこと想像してるんだい。想像力がすごいって言われないかい? 作家とかに向いてるかもね……」

と言われた。私も何かおかしくなって、何斜め上のことを想像してるんだろうとおばあちゃんとともに大笑いをしてしまった。

そうするとおばあちゃんが「大笑いして喉渇いたろう」と緑茶をくれた。ひと口飲むと、先程の大笑いとお茶の香りで少し落ち着いた。

「おばあちゃん、聞いてくださいよ」と今までの話をした。

「おばあちゃん、私あの子が何をしたいのか全然理解できないんです。仲良くしたいのか、それともただ利用したいだけなのか、マウントを取りたいのか……。自分の家に泊まりに来いって家族ぐるみで招待したり、でも旅行はドタキャンしたり。見送りに他の男の子たちと来たのも、自分をよく見せるためのアピールだったのかな? なんかもう旅行前なのにすごい嫌になっちゃった」

「そうだよね。自分が仲良くしたいと誠意を見せて友達だと思っているのに、向こうが何を考えてるかわかんないのなんて本当に辛いね」

「そうなんです。こっちは心から思ってるのに向こうは違うのかな? 悲しいなぁ」

「あそこの家の奥の部屋を見てごらん。テレビがあるだろう」

奥の部屋を見ると、昭和の初めのような白黒画面が映っていた。ブラウン管テレビって昭和ブームの何かで見たことがある。昔の映画が流れているようだ。

「あなたとその友達は、あそこに映っている映画のように、1つの映画の中じゃなくて、たまたま『クロスオーバー』の世界で共通点があるだけで、全然別のストーリーを生きてるんだよ。だからいくらあなたがその子と混じり合おうとしても、別の物語の主人公同士だから、世界は一緒でも一生混じり合えないんだよ」

私ははっとした。そっか、あの子とはどこまで行っても並行線で、交わることがないんだ。それだったら、お互いに言葉が通じなくたってしょうがないし、ましてや気持ちなんて通じ合いっこないんだ——となんだかホッとした。そしてお茶を一気に飲んだ。

「あそこに空港への道ができたよ。せっかく卒業旅行っていう旅立ちのめでたい旅行なんだ。そんな別の世界の主役の子のことなんか忘れて、他の友達と3人で楽しんできな」

「おばあちゃん、今度お礼に帰ってきたら来ていいですか」と言うと、おばあちゃんが少し悲しそうな顔をして言った。

「ここは一期一会の場所なんだ。もう二度と会えないんだよ。だけど、この折り鶴を持っておいき。悩んだときに、あなたがあなたの世界の主役で、他の人にはその主役が誰も代役できないんだっていうことを思い出しなさい。そうすれば強くなるよ。それにこの折り鶴を持ってれば旅行も安全だしね」

とおばあちゃんと同じ着物の模様の折り鶴をそっと渡してくれた。

私はおばあちゃんに「ありがとうございました」と言って、同じ映画の中で一緒の物語の友達の2人のところに向かっていった。もう他の世界の主役の子には振り回されないぞと、心に決意して。

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