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縁側のひみつ茶屋  作者: Fos B


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【ちょっと視点を変えただけで何かが開ける】

ここは、心がちょっと迷子になった人がひょっこりと訪れてしまう場所。

1杯のお茶をゆっくり飲み干す間に、ついつい心を開いて、溜め込んでいた本音を吐き出してしまう——そんな不思議な縁側です。

悪い心を持つ人は決して辿り着けない。心がほんの少し弱くなった人だけが、何かの拍子に見つけることができる場所。

さあ、今日はどんなお客様が、この暖簾をくぐってくるのかしら? 



〜絵日記を書きたくないお客様〜


ねぇどうして夏休みの宿題は毎日毎日日記を書かなきゃいけないんだろう。別に毎日毎日変わったことあるわけじゃないのに他の子はみんな毎日毎日そんなに毎日が違う日なの?僕は毎日同じことの繰り返しなのに…

夏休みの宿題で、毎日絵日記を書かなきゃダメなんだ。でも毎日朝起きてご飯を食べて宿題をしてお昼を食べてぼーっとしてゲームをして夕飯を食べてゲームをしてぼーっとしてお風呂に入って寝る。何の変化もない日々だよ。天気はそりゃ毎日変わるけど。でも大体が今日も熱帯夜です。今日も猛暑です。命に危険のあるレベルです。線状降水帯が発生しました。ゲリラ豪雨が発生しました。大体そんな感じだよね。僕の日記は絵が書けない。何をどうすればいいの?他の子はどうやってるの?誰か教えてよ。誰か助けてよ。

そう思ったときに、僕は見知らぬ場所に立っていた。アニメで見た古い古民家でニコニコと笑う。おばあちゃんが縁側に座って僕を手招きしている。怪しすぎる。そんなの行くわけないじゃんと思ってたけど、おばあちゃんが「どうしたの?道に迷ったの?こっちに来て、お茶を1杯ご馳走するから、道が現れるまで休んで行きなさいね」「そう言われて素直に行くわけないじゃん。怪しすぎるよ。おばあちゃん。」「周りを見てごらん。何もないでしょう。おばあちゃんが何かできるわけないじゃない。こんなに弱いのよ。」「だからますます怪しいんじゃないかヤマンバか何かか」「まぁまぁなかなか疑り深い子だね。でもそれぐらいの警戒心があったほうが今のご時世いいんだろうね。」「おばあちゃんがヤマンバだったら、もうとっくに何かしてるだろう」「油断させて食べる気なんでしょう」「ほんとにおかしな子だね。おばあちゃんもう笑っちゃうよ。」とおばあちゃんが大声を出して笑い転げていたので、僕もおかしくなって大声で笑った。そしたらなんか楽しくなって、おばあちゃんのそばに行って、縁側に座ってお茶をもらって1口飲んだ「おばあちゃん、なんで宿題で絵日記なんて毎日書かなきゃいけないんだろうね。毎日同じ日の繰り返しなのにさぁ、面白おかしくもないのに、それに同じことの繰り返しだから、絵に書くことだってないんだよ」「それはまた大変だね」とおばあちゃんが言った。「そんなに他の人たちは毎日変化があって、書くことがいっぱいあるのかなそんなのずるいじゃん。僕は同じことしかないのにさぁ」「そうさね。このお家を見てごらん。このお家は今はこんなに古いお家のように見えるけど、毎日毎日見ていると変化がないように見えるんだよ。だけどね、もともとのここの柱の色なんかは真っ黒じゃなくて真っ白だったんだよ。気づいたらこんな色になってたのさ。毎日見てると気がつかないけど、少しずつ変化はあるんだよ」「じゃあ僕の毎日も同じことの繰り返しのように見えてなんか少しでも変わってるの?」「あぁそうだよ。毎日お母さんが作るおかずだって違うだろう。」僕はうんとうなずいた。「もし書くことがないなら、それを書けばいいんだよ。そしたら、絵も描けるだろう」「じゃあそれだと毎日のおかず日記みたいになっちゃうよ」そうするとばあちゃんが「それがダメだって学校の先生に言われたのかい?」「言われてないよ。そうだ!ダメだって言われてないんだ。それでもいいんだ!」「そうだよ。ダメなんじゃないかって思い込みにとらわれないで大丈夫なんだよ。ほら、ごらん道が現れたよ。」「おばあちゃんありがとう。また遊びに来ていい?」と言うと、おばあちゃんは寂しそうに「ここは一期一会と言ってね。1度しか来れない場所なんだよ。だけどこの折り鶴を持っておいき。それで自分が何か思い込んだりして迷った時は自分で今気づいた周りをちょっと見て考え方を変えるってことを思い出せるからね。」と言って、おばあちゃんは自分の着物と同じ模様の折り鶴をそっとくれた。僕は「おばあちゃんありがとう」と言って、足取り軽く自分の家に帰っていった。


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