第23話隆のクライアント
根岸隆の60年以上にわたる弁護士人生は、数多くの依頼人との出会いに彩られていた。彼の元を訪れた人々は、老若男女、肩書きも経歴も様々だった。その中には、法律問題を超えて、隆の人間性に魅了され、生涯にわたる絆を結んだ人々も少なくない。
若くして一級建築士となり、システムサービスの社長を務める武井仁もその一人だった。彼は、隆の鋭い洞察力と、どんな困難な問題にも正面から向き合う姿勢に、深く感銘を受けていた。
また、隆が本気で再婚を考えたという、群馬県在住の女性実業家、角記三子との出会いもあった。彼女は、隆の知性と優しさに触れ、彼が法廷での闘いとは異なる、温かい心を持っていることを知っていた。
そして、隆の故郷である群馬県伊勢崎市で、原病院を創設した幼馴染の原富男先生も、隆の生涯を支えた大切な存在だった。二人は、幼少期の貧困を共に乗り越え、それぞれの道で社会に貢献してきた。原先生は、隆が成功を収めても変わらない、故郷を愛する心と、弱者への思いやりを誰よりも理解していた。原富男先生の長女で現原病院理事長の原淳子先生にも本当にお世話になった。
「神田弁護士物語」は、ここでひとまず完結です。しかし、根岸隆の物語は、彼が生涯を通じて築き上げた、無数の人々の心の中で、今も生き続けています。
彼の物語の続きは、彼に影響を受けた人々への取材を通して、再び紡ぎ出されることでしょう。




