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『あ、リリエラさんっ! よかったー、心配してたんだよ!』
ナナシ様が、笑顔で駆け寄ってきてくださいました。心配してくださったのだと、もったいないお言葉を頂きました。
『リリエラさんがさ、万魔殿の外から扉を叩くの、聞こえてたんだ。でも、途中から聞こえなくなっちゃって、どうしたのかなって思ってたんだけど、顔見たらホッとしたよー』
そう言われると、恥ずかしく感じるのかもしれません。もしかしたら、申し訳ないと思う可能性もあるでしょう。一度だけ頭を下げ、謝罪の意を示しました。
ですがナナシ様は、むしろ心配が増したかのようでした。
『えっと……リリエラさん、だよね? 髪の色が、その……銀色になってるからさ』
そう指摘されて初めて、リリエラは自分の髪色が変化したことに気付きました。そういうこともあるのですね、と納得するリリエラに、ナナシ様は尋ねてこられます。
『あの、リリエラさん……大丈夫?』
ナナシ様の問いかけに、こう返答しました。
『はい、ナナシ様――リリエラは、大丈夫です。とても、とても――〝幸せ〟ですから』
こうして〝心〟を捨てたリリエラは――万魔殿へと戻ってくることが出来たのです。




