天満と陰陽師
新キャラ登場です。
昔、漫画用で作ったキャラです。
この作品には、そんなキャラがいっぱい居ます。
ライセンス試験申し込みまで、あと二日。
未だぼっちの天草天満である。
食堂で昼食を食べ終えて、端末の申し込みページを開いたまま硬直している。
言っておくが、学園に友達がいない訳ではない。
パーティに誘ってくれた上級生も何組もいた。
声を大にして言いたいところだが…止めておこう。
そもそもSSランクに挑もう!なんて学生は皆無なのだ!
午後の授業を受ける気になれず。
どこに行くんだ!? と絡みつく安綱を適当にあしらいつつ、どこかの企業案件でも、転がってねぇかな…と、街に出てみる事にした。
主席のニヤは、銀子さんのたってのお願い(命令)でSランクのいづなさん、ミサトさん、刹那さんのSSランク昇級試験のサポートとしてフォックスに参加する事になった。
安綱とヨンウは、九識のナインと共にSSランクに、挑むようだ。
いつの間にそんなに仲良くなってんだ? アイツら。
そして、アリスは元々軍属であるため、昇級試験もアメリカ軍チームで受験する。
学園モノよろしくの仲良しグループで楽しく受験しようぜ!
みたいなノリは皆無だ。
所属や利権などなど、大人の事情でそうはさせてもらえない。
☆☆☆
街はライセンス試験ムードで、街頭の大型モニターにはパーティメンバー募集の文字が羅列している。
オープンカフェで試験の対策を練るグループやら、武器や防具のセールも始まっている。
本当は、俺もUSAイーグルのチームからのお誘いがあるのでは?
なんて、期待していたんだけどね…。
甘い期待をよそに、ノーマンもUSAイーグルのエージェントが現れることは無かった。
落胆しながら歩いていると、ふと周りの異変に気がつく。
「おいおいおい…嘘だろ?」
街の喧騒が鎮まり。
街から人が消えていた。
「コレって、人払いの術の類か?」
聞いたことはあるが、経験するとなると…超怖い。
マジで人居ない。
「ご名答!」
俺の独白に答えたのは、聞いたことのある声。
「まさか、アナタが来るとは…ね」
蜃気楼の様に揺らぎながら、現れた人物に言う。
目の前に現れたのは、買い物袋を下げた作務衣姿の陰陽師円華環さんだった。
エボ十階層で茶屋兼宿屋を経営しているSSランクの陰陽師のお姉さん。
入学の儀式以来の再会だ。
「やぁ、久しぶりだね天満君」
「買い物帰りに偶然って…感じでもないですよね?」
市街地だというのに、ホントに周りに人がいない。
すげぇぞ陰陽師。
「ふふふ、安心して、見ての通り人払いはさせてもらってるよ」
「みたいですね…」
「君に紹介したい人がいてねぇ、いいかな? 」
その言葉に呼応する様に、背後に突然人の気配が現れる。
警戒して飛び退くと、そこに一人のショートカットの中性的な和服の女性が立っていた。
「初めまして、私は紺野蒼と申します…以後お見知りおきを…」
丁寧にお辞儀をしてみせる。
「彼女は私の弟子の一人なんだけど、天満君どうかな? 君のパートナーとしてSSランクの試験に同行させてもらえないだろうか? 」
「弟子…って事は、彼女も陰陽師なんですか?」
「そう、ランクはSだけど腕は保証するわ」
艶やかな組紐で縛った髪を揺らしながら、ゆっくりと近寄って囁く。
「俺、まだDランクの高校生っすよ」
本当なら、こっちが頭を下げてお願いする立場の人だ。
「渡辺安綱君にも、声をかけたんだが先約があったみたいでね…フラれてしまったんだ」
魔性の笑顔の言葉はそのまま、あなたは安綱君の次に駒として欲しいと言っている様なもんだ。
「俺は安綱の代わりっすか? 」
「いやいや、気を悪くしたのなら、謝るよ」
そんなつもりはないんだ…と環さんは言う。
「君も知っているだろう? こっち側の人間は、特に家格を内にも外にも気にするからね」
「環さんの言うとおり、渡辺の家は鬼切りの名門で名家中の名家で家格が高いからね、本人が気にしなくてもお家の方が何と思うかは…別の話ってことで…」
「あぁ、そう言うことっすか」
納得。
改めて、自分の立ち位置を思い知らされる。
父親はSSランクの真狼とはいえ、母親は分家ながら代々続くお犬様を祀る祓い屋《犬神家》の血筋だ。
両親とも、大昔から脈々と続く裏稼業の家の生まれというわけで…。
二人の出会いは、進化の塔の一般調査隊の第一弾で集められた《裏》のプレイヤーとしてエボ・タワーに登った時に出会った様で、集められたのは、祓い屋、拝み屋、霊能者にエクソシスト、殺し屋、地下闘技者まで居たという。
当時、三十階層に到達した自衛隊と米軍の混成部隊が、後の鬼界層と呼ばれる鬼が跋扈するエリアで壊滅状態に陥り、鬼に対抗するために集められたのが、鬼斬り《渡辺》を始めとする魑魅魍魎の専門家たちだった。
塔がこれを境に民間に解放され、塔から生還した両親は結婚。
父は早々に犬神家の秘伝の技をマスター(盗んで)、母が妊娠したと同時に二人は本家から出て、《犬神》の姓を捨てて出奔。
今は父の天草姓を名乗っている。
犬神の本家でも無い、分家の嫡子ってのが、天草天満の立ち位置なのだ。
「謙遜しなくてもいいんだよ。先日の赤星茜さんとの試合で、君は既にこっちの業界でも注目の的なんだからね」
蒼さんが袖から、呪符の束を取り出す。
「君の実力は既に示されている、たから私の実力をどうか計ってみて欲しい…君にとって相応しいかどうか…」
さらさらと筆で呪符を書き上げる。
「ちょっ…チョット待って!」
俺の言葉が彼女の耳に届く前に、とんでもない攻撃が襲ってくる。
あぁ、この島に来て、こんなのばっかりだ!
「雷網 八咫鏡!」
ばら撒いた呪符が鏡へと変化して、点と点を結ぶように稲妻が巡り、ランダムな軌道を描き俺を狙って飛来してくる。
「因果圧縮! 解析!」
蒼の前に、文字が浮かぶ。
・天草天満の回避履歴
・過去回避率100中75回左側に回避。
俺は思わず左側に飛んで雷撃を回避。
そこに蒼の右拳がすでに迫っていた。
「はっ!?」
彼女は俺が飛ぶ前にその場所に踏み込み、攻撃を置きに行っていた。
「あがっ!」
拳に向かって飛んだ俺はカウンターを食らった形で殴り倒される。
「未来予知かよ?」
「ふふふ、あなたの行動予測の選択肢を狭める技です」
あらわになった白く美しい太ももを隠すように、素早く乱れた着物の裾を直す。
「強制的に右側に飛ぶ様に可能性を収縮させたのよ」
環さんが笑顔で説明。
「なんじゃそりゃ! 反則だろ!」
飛び起きて、改めて構える。
対人戦闘なら無敵クラスのスキルだろ。
帝やニヤの赤眼並みに反則認定だ。
「天草君、君はその不死性の所為で、相手の攻撃をまず受けてから戦闘プランを練る傾向が見られたのでね、利用させてもらいました」
「ちょい待ち! 今のって陰陽の技っすよね?」
「ええ、そうです」
和服姿の佇まいだけ見たら、高級クラブの若女将みたいな女性だ。
今のが陰陽師としての実力だとしたら、ギフトの能力はなんなんだ!?
「ははは、ギフトの能力無しでコレって、底が見えないな」
そういえば、環さんのギフトも知らないし、現代陰陽師恐るべし。
「ああ、そうですね…私のギフトをお見せしますね」
察した蒼さんは構える。
「顕現! 黄泉還り(よみがえり)!!」
蒼さんが叫ぶと、俺の周りに約二十体のコボルトの兵士が地面から現れた。
「召喚士?…!」
しかし、十一階層のコボルト程度ならワーウルフの敵ではない。
俺は躊躇せず獣人化して、包囲してきたコボルトをまとめて回転しながら爪で瞬殺する。
「顕現! 」
地面に両手をつくと、地面から二メートル超えのブタ頭の人型兵士が十体出現。
「十二階層のオーク!」
塔の外で、ガーディアンを召喚するなんて常軌を逸してる。
「天満君、本気出しちゃって! 」
「この為の人払いっすか!? 」
この能力、一人で軍隊並みの能力だ。
なんでこんな人材が無名のSランクなんだ?
それに、結局試されてるのって…俺の方では?
雑念が頭を巡る。
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