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前衛トーナメント 決勝戦

なんとか月一で投稿したいと頑張ってます。

文章は稚拙のままですが、どうぞお付き合いください。


まもなく、決勝戦始まります。

 目が覚めたら、いわゆる見知らぬ天井ってヤツで…。

「…えっと…」

 あぁ、気を失って医務室に運ばれた的なやつな。

 不覚にもあの女の攻撃で一発KOされたわけだ。 

 タフネスが売りのライカンスロープを一撃KOってよ、オヤジ以外では初めてだな。

 


「ふん、相変わらずしぶといわね…、息の根を止めるつもりで撃ったんだけど…ホント残念無念の極みよ」


 今コイツとんでもない事を吐いたぞ。

 安綱は黒髪ポニーテールを揺らしながら、訝しげな表情で覗き込む。

 コイツの様子から俺の容態を心配してと言うより、本当に俺が死んでいないか生体反応を伺っていた様に思うぞ。

「残念無念って…おっ、お前やっぱり! アレ本気で打ち込みやがったな! 」

 正気に戻った俺は、安綱の胸ぐらをつかもうとベッドから飛び起きる…が、伸ばした手は空を切る。

 

 俺の手をヒラリと躱した安綱は隣のベッドに飛び乗る。

「ぐぇっ!」

 カエルが潰れた様な呻き声。

 俺の隣のベッドに白目剥いて気絶したヨンウの姿が目に入った。

 カエルの潰れた声の主だ。


「って…お前さ、友達には手加減してやれよ…白目剥いてんじゃん」

「別に…友達じゃない」

「友達じゃないのかよ!」

 ひっでぇ、雷喰らわせた上にただの知り合いにまで降格かよ…。

 この女に何をやった…ヨンウよ。



 同情の目でヨンウを眺めていたら、廊下をドタバタと誰かが走ってくる気配。

 誰だかは、まぁおおよそ見当はつくわけで…。

「おーい天満! オオカミ見せてぇ〜! 」

 医務室に飛び込んできたのは、やっぱり無邪気な眼帯小僧だ。

「オオカミ見せてじゃねぇーよ!」

 医務室に飛び込んできたニヤを迎え撃ちヘッドロック。

「ばっか!痛いって!天満ぁ」


「ちょっとアンタたち、中学生じゃないんだから医務室で暴れないでよ! 恥ずかしい! 」

 改めて冷めた瞳で俺たちを見つめる安綱の頭を眺める。

 それはそれは立派なツノが一本生えてるわけで…。

 俺はあえて触れないように視線を外す。

 余計なこと言うと、ヒステリックになるからな、この女は…、触らぬ神に祟りなしって言うしな。

「ナニナニ!? 安綱もいるじゃん! て言うかツノ生えてんじゃん! スッゲェ触らせて! 」

 この小僧は安綱のツノを見つけると、無邪気さ全開のまま子供の様に安綱に飛びかかる。

 そんなニヤの接近を予備動作なしで安綱は高速で避ける。

 ニヤもムキになって、安綱のツノを無理やりにでも触れようと手を伸ばすが悉く安綱に躱される。

「ムッ!」

 次第にニヤの伸ばす手が高速の域に達し、常人の目では追えないレベルに達しても安綱は顔色一つ変えずにその攻撃を鮮やかに避け続ける。

「安綱ぁ、今さっき医務室で暴れるなって言ったヤツが暴れんなって! ニヤもいい加減にしろ! 安綱嫌がってるだろ」

「ちぇっ、つまんねぇの…でもさ、加害者の安綱は医務室に何やってんだよ? 天満のオオカミを見にきたのか? 」

「はぁ? 加害者って誰のことよ! 」

「そんなの、安綱に決まってんじゃん!対戦相手以外への攻撃は立派な傷害事件だよ!? キム・ヨンウ気絶してるし」

 ニヤってヘラヘラしてるくせに、たまに真顔でド正論を吐いたりするよな。

「うっ、うるさいわね」

 ニヤに詰められて、わかりやすくたじろぐ姿は愛らしくも見える。

「で、用があったから来たんだよな? 」

 加害者呼ばわりされて、不服そうな態度のまま安綱はヨンウのベッドに乱暴に座る。


「私は決勝は3人揃ってないと始められないって言われたから…その様子を…見にきたのよ…その…大丈夫かどうか」

 なんか後半、安綱は赤くなってモジモジして消え入りそうな声で俺たちに背を向けた。

 いつもコレくらいお淑やかであってくれたらと心から願うところだが、口にすると斬撃されるので黙っておく。

 


「やぁやぁ、天満くん具合はどうだい?」 

 ノックと共に医務室のドアを少し開けて顔を覗かせたのは、スタジオ・ステアーズのMCのジェームズだった。

「おっジェームズじゃん! 」


「安綱ちゃんから聞いたと思うけど、運営本部がね、君たち3人が参戦しないと決勝戦は中止するって言うもんだからさ、心配でオレも様子を見に来たんだけど…行けそうだな!? うん、元気そうで何よりだ! 良かった良かった!」

 大袈裟に安堵した表情でバンバンと両手でオレの肩を叩く。

「賭けが成立しないと困るもんねぇー、ジェームズ」

 イタズラな顔で眼帯小僧は確信を突く。


「えっ? イヤ…そんなワケないじゃないか! 君たちの勇姿を見る為多くの観客たちが待ってるんだ! 大人が心配するのは当然だろう、ハハハッ」


 賭けを取り仕切ってるブックメーカーのジェームズの態度から、コレは相当な金額が動いてるんだろうと安易に想像できる。


「ねぇねぇー、俺のオッズは何倍? 天満より人気ある? 」

「うーむ、聞きたいかい? 」

「うんうん! 聞きたい聞きたい!」

「そんなに言うのなら仕方がない、教えよう…現時点で1番人気はニヤ君、君だよ…で、2番は渡辺君、3番が天満君だな」

「決勝戦での順位は俺たち3人の対戦相手が決めるんですよね? 」

 プロの先輩に胸を借りるってヤツで、相手が負けるって言う想定は無いようだ。

「それって、私たちが勝てない前提ですよね? 私たちが勝った場合はどうなるんですか? 」

 当然、売られたケンカは前のりで買うタイプの安綱はヤル気満々だな…。アレだけのギフトを得たんだ強気になるのもわかるけどさ。

 問題は誰が相手なのか? だ。


「クククッ、本来は対戦者が君たちに順位をつける決勝戦だが、万が一君たちが対戦相手に勝った時のオッズは161.1倍だ! なんなら自分たちに賭けてみるかい? 大儲けできるぜ」

 ジェームズはそれはそれは嬉しそうに、そして勝てるもんなら勝ってみろと意地悪な笑みを見せる。


「もちろん、全額賭けるわ! 私は他の二人が倒れたとしても1人でも勝つから! 」

 自信満々で安綱は財布ごとジェームズに差し出す。

「って! それ俺の財布じゃねぇーか!! 」

 いつの間に盗みやがった!? 

「男なら、当然よね⁈ 天満」

「安綱それって、性差別だから…」

「天満ぁ、自信があるのは良いけど、せめて相手が誰か聞いてから全額賭けた方が良くない? 」

 自信満々なのは俺じゃねぇーし。

「そうだ! 俺たちの対戦相手って誰なんですか? オッズが出てるってことは発表させてるんですよね? 」


「クククッそうだな、ここで教えてもいいが…とりあえず会場に戻ろうか? 今頃、対戦相手が首を長くして待ってるぜ」

 ジェームズはニヒルに笑みながら、俺の財布から全ての札を抜き取り空になった財布を俺に返却する。

 

 さっきの賭けは成立してしまったんだな…。

 161.1倍…。


 こうして俺達は決勝戦に向けて、改めてロッカールームで戦闘服に着替えて装備を身につける。

 会場の観客は朝満員、観客席に座れなかった人たちも会場外で場外モニターの前に人だかりができている。

 出場者には決勝の相手を秘匿されているのでわからないが、相手は相当な有名人なのだろう。

「倍率から考えてさ、狐のねーちゃんやシャオロン講師クラスが相手だろうね」

「S級かSS級をぶつけてくるだろうな、まぁ、セレモニーから比べて俺たちだって強くなってるんだ3対1で賭けが成立する相手って誰なんだろうな」

 まさか、多忙なノーマンクラスは出てこないだろうと願いたい。

  

  さぁ、鬼が出るか蛇が出るか…。


「まぁ、誰が相手もいいや、天満のお小遣い160倍にしに行こうぜ」

 ニヤニヤと笑いながら指関節を鳴らすこいつは緊張とか無さそうだが、こいつなりのやる気の現れなのか、第1試合では装備しなかった戦闘服に身を包み、二刀の真紅のグラディウスを収めた腰がけの鞘を装備して万全な状態だ。


「小遣いじゃねぇ、今月の生活費だ!」

 俺にとっては死活問題なのだ。

 

 

「絶対に取り戻す! 」

 誰が相手でも必要なら出し惜しみせず全て出し切ってやる。



《さぁ、お待ちかねの決勝戦を始めるぞ! 》

 アリーナにジェームズのアナウンスが響く。

《それでは! 選手入場だぁ〜!》


《まずは、ライカンスロープ! 進化学園一年生! お馴染み不死身のワーウルフ! 天草天満ぁ! 》

 会場が揺れる程の地団駄と歓声に背中を押される。

 ニヤの瞳術、安綱の雷撃と斬撃そして、大口真神を従えた俺…。今の俺達でノーマンや銀子さんに勝てないまでも善戦はできるという自信はある。

 3対1なら、勝てるのでは…とさえ思えるのだが、現状161.1倍の…このオッズって…。


《続いて、瞬神の二刀流、進化学園一年生! 鬼切り渡辺安綱の登場だぁ! 》

 鬼を斬り伏せる剣術に、見えない雷撃に高速移動はスペックだけならSランク以上だ。



《襲撃事件から奇跡の復活! 進化学園首席! 現在一番人気! 神眼系瞳術師!猫柳二夜! 》

 自身に瞳術で強化を掛ける神眼系の✕200(times two hundred) に、ミカドの外部に強制力を持つ魔眼系の皇帝の瞳を得たニヤにはっきり言って死角は無い。

 

《さぁ! このフレッシュな3人の挑戦者に対するは!》

 

 入場した俺たちを待っていたのは…。




《チーム六界! 最強のヒーラー! 降臨!! 》 

 黒髪ロング黒瞳に狼系の耳と尻尾、エボ・タワー最高到達者の1人。


「ははは…こりゃぁ、簡単には勝たせてくれねぇって! 」

 俺たちの対戦相手は、SSSランク赤星茜(あかぼしあかね)…いわゆる皇帝の娘で、ニヤの義理の姉だ。







 


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