ゲート到着
2021.1.24
再編にエピソード追加しました。
ほんの少しだけ手を加えるつもりが大掛かりな再構成になり、少し後悔してます。
殆ど、書き直しみたいな…。
前より良くなってますように。
俺とニヤは人目を避け、森に入り忍者さながら月光に照らされてできた影から影へと身を隠しながら、ビル群に囲まれ暗闇に不気味にライトアップされてる巨塔を目指して高速移動する。
にしても、結構なスピードで走っているのにニヤは余裕で付いてきやがるな、流石首席様。
「いいか、ニア、進化の塔の直系は約六キロ、さらにその周囲を直系二十キロの市街地が囲んでいる。んで、出入り口のゲートは東西南北に四つな」
「あれ?俺たちはどこから入るんだっけ?」
「みんなで決めたろ、南口から侵入して帰りは北口へ一直線に脱出って!――――――――誰かが生理現象我慢できずに暴走したせいで、俺たちが降下したのは島の東側だ、だから最短ルートでは東口になるけど…どうすっかな」
展望の利く木々を登り周囲の地形を確認する。
巨大な塔と海の位置を確認。
塔があまりにも巨大なんだけど、四か所の入り口はそんなに大きくなかったはずだ。
「あれ、帰りはなんで北口なんだったっけ?」
「聞いてなかったんかいっ!!?」
ああ、こいつ人の話聞かないタイプだった。マイペースで空気読まない奴な。
んなことより、まずは入ってからのことを考えねぇーとな。
「俺らか女子たちがゲートに入ったら放送始まるからな……覚悟しろよニヤ」
さて、女子二人は予定通り南口から侵入するかどうか…。
「おおー、いよいよ放送が始まるんだねぇ、ドキドキするな」
「全世界のステアーズチームや関連スポンサー企業が、スカウトの目を光らせてるらしいからな」
ある意味、このセレモニーは俺たちだけの特別チャンスってわけだ。
もちろん、一方的にボコられたらスカウトどころでは無いのだが、何かしら結果を出すことができれば同級生より一足先に企業に自己アピールできるってわけだ。
学園を無事卒業してステアーズになったとしても、エボに登るには装備に整備等々高額な費用がかさむ。
多くのステアーズは企業とスポンサー契約して、自社開発の最新装備に複数のメカニックによる整備などを運営を賄ってもらうことができるわけだが。
誰もがスポンサーを得れるわけではない、そのステアーズの実力、広告塔としてのスター性、戦闘スタイル等々などを考慮して選ばれる訳だ。
「企業のバックアップが有ると無いとでは、ステアーズとして雲泥の差が生じるからな」
「俺は個人チーム(プライベーター)で良いんだけどねー縛られるの嫌だし」
ニヤに続いて草木をかき分け茂みから出ると、急に視界が広がる。
「ゲートだ」
進化街の東口ゲートの前で警備の有無を視認する。
《ようこそエボリューション・シティーへっ!!ウエルカム!!イースト・ゲート》
「電飾ピカピカで緊張感ねぇーなぁ」
暗闇の中、まるで大型テーマパークの様な緊張感のないゲートが目の前にそびえる。
「なぁなぁ、天満ぁなんか夢の国の入り口みたいじゃね?エボリューション・シティー?だって、花火とか上がんねぇーかな?観覧車とかさ」
脇をパコパコしながらゲートを指すニヤ、初めて遊園地に来た5才児の様に大喜びじゃん、こいつ。
「子供か!…ニヤ!頼むからはしゃぐなよ」
「ええー、いいじゃんかよ、俺好きなんだよねーテーマパークみたいなのさ」
ガキは放っておいて、俺は周囲を探索する。
エボ・シティーのゲート周辺は高さ十メートル以上の外壁が取り囲んでいる。華やかなゲートとは対照的にいかにもって感じの刑務所の様な外壁、特にこの壁は危険だ、プンプン匂うな、「ヤバイぞ、ヤバイぞ」と俺の野生の勘が警笛を鳴らす。
外観を余所に、他者を寄せ付けない雰囲気をびんびんに感じるぜ。
少し先にサーチライトで周囲を警戒中の監視塔も見える。異変があれば警備が飛んでくるだろう。
装飾すらしてあるが刑務所の外壁に作りは似ているのかもしれない。
確か進化学園の筆記試験に、国際エボ法案について記載があったな「ゲート以外からの入場に生命の保証なし」だったけか。簡単に言うと「入場ライセンスない人は殺されても文句言えませんよ」って奴で、受験生達の間では《死人に口なし法》なんて呼ばれてた。
当然、高圧電流とかヤバイ系のトラップとか盛沢山なんでしょうよ。バットエンドは御免こうむりたい。
ここは触らぬ神に祟りなしって事でルール通りゲートからの侵入を余儀なくされる。
「セレモニーが去年と同じ趣向なら、総勢五十名のB、Cクラスのステアーズたちが俺たちを待ち構えてる、さっきのオジサマ達は間違いなくCクラスの集団だったから、中にBランク以上が待ち構えてるって考えて、隠密に行動したほうが良さそうだな」
簡単に捕まれば、まぁステアーズとしての俺たち新一年の将来は真っ暗――――――――注目の今年の一年はこの程度かよって、醜態を全世界に晒すわけだ。ここは慎重に行かねぇーとな…やっぱり、まずは女子たちと合流して…対策練り直さねぇーと」
「天満は心配性だなぁ、誰が待ってても同じだって!俺、先行くよ」
しびれを切らしたニヤが飛び出す。
「おい、まてニヤっ!!!ちょっと待ってって!!」
「ルールって、学校の夏合宿の肝試しと同じでしょ?行って写真撮って戻ってくるみたいにさっ」
ピューって効果音がピッタリの疾走で先行する。
「くぅ、まったくバカ野郎」
一瞬躊躇したが、俺の選択肢はあくまでバラ色の人生へ続かねばならない。
俺ひとりでこの試練を乗り越える自信は俺には微塵もない無いっ!!ならばと、俺も慌てて茂みから飛び出す。
しかし、なんつースピードだ。
ニアを追って俺は夢の国改め、地獄の国のゲートにある改札機を陸上のハードルを越えるように猛スピードでジャンプして通過。
その瞬間にサーチライトが辺りを照らし、けたたましい警報音が鳴り響く。同時にカメラを搭載したドローンが二機、猛スピードで俺たちに追従する。
ブイィィィィィィィィィィィン
これが中継ドローンか?。飛行音がちょっとうるさくない?隠密行動できないじゃんコレ!?
「おわぁっ!!!びっびっくりしたーっ!!天満コレ壊していいヤツ?」
背後を振り返りニヤが叫ぶ。
「駄目だ、これはカメラだっ!!たぶん放送用のな!」
「じゃ、その後ろのヤツは?、それもカメラァァッ!?」
ニヤの言葉で、背後を振り返る。
「…っ!!!」
俺たちの背後を数えきれない数の四足型のドローンが無音で追走してきている。どこから湧いてきたんだぁ?
しかも、なんて数だ。俺もびっくりしすぎて声が出ない、口から心臓が飛び出るかと思った。
数秒前まで隠密行動とか思ってた自分が恥ずかしいよ、こんなにぞろぞろ引き連れてさ。
『さぁぁぁぁぁぁっ!!ついに新入生代表チームがゲートを通過っ!!!』
『皆様おまたせしました!今年も始まりましたっ!進化学園入学セレモニーいよいよ開始ですっ!!』
シティー内のあらゆるスピーカーから突然放送開始の合図が轟いた。
『今年も進化学園の一社提供にて!放送はスタジオ・ステアーズがお送りいたしまぁーす!!!!!』
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