語られる第16話
「ッ!!黒兎!!紗耶!!」
俺は横たわっていた体を起こす。
……?さっきまで路地裏にいたはずじゃ……
「あ、因幡さん〜起きました〜?」
「ら、ラメエルさん!?」
俺はどうやら喫茶店の二階にあるベッドで寝ていたらしい。その横でラメエルさんが看病してくれていたようだ。
「そうだ!!黒兎と紗耶は!?」
「安心してください〜。二人共今は天界に行ってる頃ですよ〜」
俺達の仕事は、性的暴行犯罪を起こした、または起こそうとした者を力づくで止めること。そしてその犯人を天界に送り付けることだ。その後どうなるのかはわからないけど。
そのときに被害者も一緒に天界に連れていき、記憶の消去などを行う。多分今それをしてる所だろう。
「あの、あいつらの怪我とかはどうなるんですか?」
特に黒兎。かなり血だらけだった。大丈夫なのだろうか。
「大丈夫ですよ〜。二人共大きな怪我はしてませんし〜。それより因幡さんの方がボロボロなんですから〜。もう少し休んでてください〜」
「え?そんな俺ボロボロなんですか?」
「当たり前じゃないですか〜。金属バットでボコスカ殴られてたんですよ〜?」
「へ?いつ?」
「え?……あ〜。記憶無いんですね〜。何でもないです〜」
そういえば、あいつらが襲いかかってきてから記憶が無い。何でだ?
「まぁとにかく、二人のことは心配しなくていいです〜。記憶消去が終わったらガブリエルが連れてきてくれますよ〜」
「そ、そうですか……良かった……」
カランコロンカラン……
入口の方でドアが開く音がする。お客さんだろうか。
ラメエルさんが店に降りようとドアを開けた時、
「大地!?」
飛び込むように部屋に入ってきたのは黒兎と紗耶だった。
後ろからガブリエルさんが着いてくる。
「悪いラメエル。こいつらの記憶消せなかったわ。」
「はい!?何でです!?」
「こいつら、あの時起こったこと全部覚えていたいんだと。あそこまで拒否られたらなぁ……」
どうやら記憶消されるのをこいつらは拒否したらしい。何でだろう。
「にしても、天界って本当にあるんだな……凄かったわ。マジで」
「ねー。しかもラメエルさんって堕天使なんでしょ?おとぎ話みたい」
「そういえばあの時、大地の背中にも……あぁいや、何でもない」
?いま黒兎は何を言いかけたんだろうか。
そういえば、さっきから気になってたんだが、
「俺、あいつらが襲いかかってきてから全く記憶ないんですけど、何があったんですか?」
「え!?大地記憶無いの!?」
「まじかよお前、あれ覚えてないとか脳ミソカスだな」
「酷くない?」
なんでそこまで言われんの俺。本当に何したの。
「……そうですね〜。まぁ、色々話したいこともありますし、いいでしょう〜」
ラメエルさんはいつも通りの笑顔を浮かべながら言う。
「まず因幡さん。貴方には堕天使の血が流れています〜。」
俺は驚きすぎてベッドから転がり落ちた。




