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【連載版】学校一の美少女だった”元”後輩と同級生になった。〜先輩って呼ばれなくなったのに、前より距離が近いのはなんでだ!?〜  作者: 西城 有瀬


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定期考査

 ────定期考査。 


 それは数多の学生が常日頃、苦悩する煩わしいものだ。もちろん、俺も含め、あの憎きテストのせいでもう一度高校1年生からやり直す羽目になったわけで到底許せるものではない。(ただのサボり)

 正直なところ、別に勉強が苦手ではないのだが、無気力が孕んだ怠惰の性格がゆえに惨状を招いたのは火を見るよりも明らかだった。高校入学後の『燃え尽き症候群』と一緒にするとお前はまともに受験勉強もしていないだろ、と一蹴されてしまうだろうけど……。



 ──ここは希陵高校の南門の前。


 定期考査も一週間を切ったので、蘭と花嶋から蓮と4人で一緒に試験勉強をしようともちかけられたから今は蘭と、あの二人を待っている。


 しかし、アイツらおっせえな。

 いったい何してるんだか……?


「あ、きたきた……!」


 蘭の上擦った声を向けた先に目を向けると、そこには──バカップル。


「なんかすげぇ距離あるけど……」


「しかも、何も喋らずに俯いてますし……」


「もしかしてなんかあったか?」


「いつも通りだと思いますけど……」


 ……失礼、訂正させてもらおう──あれはケンカップルだ。


 傍から見ればただの仲睦まじい、お互いに照れを隠そうとする初々しい彼氏彼女の関係と映るのだろうが、簡単に決めつけてしまうのは浅はかで早計である。


 見た目とは裏腹に内情は皮肉をぶつけ合うただの先輩、後輩の関係だということは当の本人たちしか知りえない。


 単純に物理的な距離だけでなく、精神的な面でも離れているとは誰も思うまい。


 おそらく、今の二人が思っていることを邪推するならばこうだ。


「──なんでこんな女なんかと……!」


「──なんでこんな男なんかと、下校しなければならないんだ! っていう感じが滲み出てますよね……」


 蘭は続ける。


「それでも、嫌い同士別れないってことは心の底からは嫌ってない気がしますけど。ビジネス喧嘩みたいな?」


「……っぽいな」


 そういって、楽し気な笑みを浮かべているのは二人のやり取りがいかんせん面白いからなのだろう……確かに、見ていて飽きはしない。


 今まではスカした蓮の姿しか知らなかったので、花嶋と会話するときのアイツの感情に服従した反応には愉快、痛快この上ない! 面白い、と陳腐な月並みな表現では語り足りないくらいには。


 おっと、やばい……そろそろ会話が聞こえるほどに近付き始めてるからこのくらいにしておこう!


「よ、随分と遅かったな」


「……うっす。花嶋のせいで遅れちまった」


 蓮は親指を立てて、右隣の花嶋に向ける。


「仕方ないじゃん! 質疑応答の時間って別に制限時間ついてないんだからさ」


「ないけど、お前わざとだろ! 俺が担当だからってしょーもない質問ばっかりしやがって。おかげで予定より長引いちまったっつーの……」


 デジャヴな会話を聞かされている最中、二人の掲げる袋から何かがはみ出ていることに気づき、視線を落とす。


 紙袋からは『生徒会説明要項』と太文字で表紙を飾る、簡素ではあるが、硬い雰囲気の漂う冊子が顔を覗かせていた。


「今日って生徒会だったんだ?」


「あー! ごめん、ごめん、言ってなかったよね! そうそう生徒会の説明会だったんだよ」


 ガサゴソと紙袋を漁り、蘭の目の前で冊子を見せた。


「……へー! 中学校のときも生徒会だったらしいし、似合ってるじゃん!」


「えへへへ……でしょでしょー! すずなちゃんはなんの部活に入るの、良かったら一緒に生徒会入ろーよ! 礼斗くんもさ」


 褒められて上機嫌にぴょんぴょんと飛び跳ねる。


「いやぁ、別にいいかな……」


「まじかぁ~」


 蘭に関しては学級委員をやっているってのもあるし結構向いてそうではあるが、俺はまぁ……怠惰だしダメだろう、たぶんサボりそうだ。


 というか、花嶋は生徒会に入るつもりなのか……因縁の相手であり危険因子の蓮がいるというのに……飛んで火に入る夏の虫ではないだろうか。


 そんな俺の旨意を察したのか、花嶋は咳払いをすると補足説明を挟んだ。


「中学生のとき入ってたから、ってのもあるけど……もうひとつは星崎先輩にちゃんと真面目に仕事してもらうためだよ」


「なるほど……?」


 ……ん? 真面目に仕事……なんだそれ?

 言わば監視ってことか? いきなり束縛激しいメンヘラみたいなことを言い出すんだな。


「ま、蓮じゃ頼りないもんな」


「ほんとそう、よくわかってるね! 生徒会のときだってやる気0で淡々と台本を読んでるだけだったしさ」


「生徒会の肩書きさえありゃなんでもいいんだって! 進学は指定校推薦で行くんだよこんなもんは……もしくは、AO入試で活用するから不本意入部ってやつだ!」


 蓮は口を尖らせる。


 こんな野心、下心丸出しの生徒会がかつていただろうか? 俺は見たことがないが。


 コイツは進学を見据えて入部したから、アホそうに見えて割と合理的主義な性格だったりする……絶妙に力加減を変えて難局を乗り越える柔軟な力があるのは確かだった。


「──って、蘭さんもお前も真に受けた顔するなよ!」


「すまんすまん」


「ったく……もう、早く行こうぜ」

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