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《連載版》留年したら、学校一の美少女だった”元”後輩と同級生になった。  作者: 西城 有瀬


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デートみたいで意識しちゃうだろ

 乗車のゴールデンタイムをずらした近鉄電車に身を委ねた後、改札を出た。


 俺たちの通っている希稜高校近辺はあまりに発展していない。だから、都市部に来るのは幾分か久しぶりだったのもあって妙に気が高まるのを肌で感じつつ目的地を目指す。

 今日訪れるのは大型ショッピングモール。洋服の人気店から映画館、本屋まで全ての買い物や目的がここに来れば済んでしまうくらいに幅広く商品を取り扱っているらしい。(蘭の情報によると)


 とはいえ…………


「あれ、すごい人の量だな……」


「結構多いですね……」


 結構どころの騒ぎじゃないだろ、あれは!

 俺ら今からあの中いくのかよ……考えたくないな。


「昨日行っとけばよかったかもな……」


「それでも多そうな気がしますけど、どうなんですかね」


「さすがに今日よりはマシそうだけど、学校休みだったし」


「成瀬くん出る気なかったじゃないですか!」


「それは……うん、そうかも」


 改札を出ると目に飛び込んできたのは大型ショッピングモールととてつもない人の大群だった。うげえ、吐きそうだ、胃の内容物が全て……。

 たまには外も良いな、などと言っていたが、前言撤回だ。今すぐにでも帰りたい。インドア派でしかも、久し振りの外出だったこの俺には荷が重すぎるのではないだろうか?


 無論、それでも帰るという選択肢は断じてないのだが。


 蘭は長く伸ばした髪を手櫛でときながら、俺の方をまじまじと見つめる。


「でも、結構久々じゃないですか? こうやって一緒に出かけたりするのって」


「そうかもな、中学のときはお互い同級生に色々言われたりするのを気にしていたからな」


「ですよね、ほんとにやめて欲しいですよね。あーいう小学生みたいなちょっかい!!」


 何かを思い出して頬を膨らませる。


「あったな……なんか」



 そういえば中学生の頃こんなことがあった。


 俺が中学校2年のときにちょうど、蘭が1年に上がり立てだった。その頃は、幼馴染のこいつがまだ不慣れだったこともあり母さんから一緒に登校してあげてとお願いされていたのだ。

 その行為自体に別に抵抗はなかったのだが、なぜなのかは知らないが、小中学生となるとただ男女2人が一緒に帰っているだけで妙に外野がちょっかいを出してくる。特に中学生2年は一番脂の乗ったガキなわけで、それに比べて1年は学校生活に完全には馴染みきっていないのかある程度は大人しいし、逆に3年となれば受験を意識し始めて若干ピリつき始めるからこそ2年はそういう意味で際立っている。

 もちろん、俺も『ちょっかい』とやらの例外ではく、一緒に登校しているだけで男子共からからかわれたりなんかもよくあった。1回や2回で終われば良かったのだが、数ヶ月単位で続いていたこともあって結局別々に登校することになってしまった。蘭は幼馴染の点ではだいぶと仲がよかったから登下校できないと知ると、残念そうにはしていたが。


 そういうこともあってなのか、遊びに行くことを敬遠したりもしていた。


「あれ、、」


 ちょっと待て、今も似たような状況じゃないのか……なんならそれよりも……。


 高校生の男女が2人。

 そして、休日に外出とは──


 ──何を今更……気にするな!


 普通だ、普通。

 高校生になれば当たり前のことなんだ。




 ***




 ◆ 蘭すずな



 私たちはショッピングモール入口の電子案内板の前で立ち止まって、入っているお店の概要を物色している。


 私は隣のぶっきらぼうな面を掲げる幼馴染に訊ねてみた。

 もう少し表情豊かになれば良いのに……。


「成瀬くんは何か見たいものありますか? ここって色々入ってますし品揃えはいいと思いますよ」


「んー、なんだろうな。強いて言えば……」


「本、ですよね……わかりますよ」


「なんでわかるんだよ!」


 言い当てて見せると、成瀬くんは驚いた様子を示した。絶対気持ち悪いって思ってるでしょ、この反応……やめてよ!


「そういうストーカー気質なものじゃなくて……幼馴染だからお見通しってだけです!」


 キモい幼馴染だと誤解されるのは心外なので、間髪を入れずに続ける。


「それはそれでなんか嫌だな」


「いいじゃないですか、以心伝心みたいで」


「良くはないな……!」


 うん、よくよく考えれば怖いかもしれない。『以心伝心』と聞こえは確かに良いかもだけれど、今自分が思っていることとかが伝わってしまうのはプラスの反面、それ以上に何かと不利益を蒙りそうでもあるのは間違いない。


 案内板で1階のフロア、2階のフロア、3階のフロアと順々に調べていった。

 そして、私は2階の衣料品、服飾雑貨が位置するコーナーに指を置いた。


「とりあえず、服とかどうですか? せっかく人気なブランドとかありますし一旦寄ってみません?」


「服?」


 成瀬くんは首を傾げる。


「はい、そろそろ夏に差し掛かり始める頃なので本格的に衣替えをかねて、と……思ってですね。まぁ、引っ越して間も無いので服が全然ないっていうただの私用なんですけど……」


「いや、全然良いと思うぞ。それに何もしないよりは店内歩き回って見ていく方が良さそうだしさ」


 するすると上手く人混みを避けて、私たちはエスカレーターへと歩みを進めた。

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