↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/32

第24話 崩壊する秩序

 虹色の閃光が消えたあと、光導管には静寂が訪れた。


 だが、それは平和ではなかった。


 天井から火花が散り、壁面の光が不規則に点滅し、床にはひびが走っている。


 アリアは胸を押さえ、膝をついた。


(光を……出しすぎた……)


 衣装のレイヤーが焦げ、背中の羽が破れかけている。


 ミラが駆け寄る。


「アリア! 大丈夫!?」


 アリアはかすかに頷いた。


「平気……まだ、歩ける……」


 だが、その声は震えていた。


 ◆


 光導管の両側では、観客たちが混乱していた。


「逃げろ!」

「管理局が来るぞ!」

「でも、アリアが……!」


 子どもたちは泣き、若者たちが必死に誘導する。


「こっちだ! 非常通路に抜けられる!」

「アリアさんは……!?」

「大丈夫、仲間が守ってる!」


 恐怖と希望が入り混じった叫びが、光導管に響き渡る。


 その混乱の中、管理局の武装部隊が突入してきた。


「全員、その場に跪(ひざまず)け!」

「違法集会だ!」

「抵抗する者は拘束する!」


 職員たちは催涙ガスを投げ込み、逃げ惑う市民を次々と押さえつけた。


 ミラが叫ぶ。


「やめて! 彼らは何もしてない!」


 職員がミラに向かって手を伸ばす。


「黙れ、反逆者!」


 その瞬間――

 イーサンが割って入った。


「触るな!」


 イーサンは銃を構えた。


「アリアも、ミラも、レオンも……誰も傷つけさせない」


 その声は震えていたが、確かな覚悟があった。


 ◆


 レオンは端末を抱え、光導管の電力制御を必死に維持していた。


「くそ……! 中央制御システムにコントロールを奪われた……!」


 端末が赤く点滅する。


 《電力供給:0%》

 《光導管、機能停止》


 レオンは膝をついた。


「光はもう……維持できない……」


 ミラが駆け寄る。


「レオン! しっかりして!」


 レオンは悔しそうに唇を噛んだ。


「アリアさんの光を……もっと見せたかった……」


 ◆


 アリアは立ち上がろうとしたが、足が震え、崩れ落ちた。


「アリア!」


 ミラが抱きとめる。


 アリアの腕には火傷のような痕があり、衣装の光反射繊維が破れていた。


(体中が痛い……でも、後悔はない……)


 アリアは微笑んだ。


「みんなが……色を……見てくれた……」


 ミラは涙をこぼした。


「アリア……!」


 ◆


 管理局の職員が叫ぶ。


「アリア・セルフィスを確保しろ!」

「反逆者を逃がすな!」


 イーサンはアリアを抱き上げた。


「アリア、行くぞ!」


 アリアは弱々しく言った。


「イーサンさん……みんなは……?」


 イーサンは振り返り、レオンとミラを見た。


「レオン、ミラ! 先に行け! ここは俺が引き受ける!」


 レオンが叫ぶ。


「イーサンさん……!」


 ミラも涙声で言う。


「必ず、生き延びて……!」


 イーサンは短く頷いた。


 そのとき、光導管の天井が大きく揺れた。


 ――ゴォォォォォン!


 停電が起き、光導管全体が暗闇に包まれる。

 非常灯が赤く点滅し、警報が鳴り響く。


 《警告:光導管システムに重大な損傷》

 《居住リングの一部で停電発生》

 《市民は安全区域へ避難してください》


 ステーション全体が、崩壊の危機に陥っていた。


 イーサンはアリアを抱え、非常通路へ走り出した。


 アリアはイーサンの腕の中で、かすかに目を開けた。


「光は……消えないよ……イーサンさん……」


 イーサンは強く頷いた。


「ああ、消させないさ。絶対に」


 アリアは微笑んだ。


「ありがとう……」


 その瞬間、アリアの胸元の赤い布が、暗闇の中でかすかに光った。


 革命は、もう後戻りできない。

 秩序は崩れ、世界は色を知ってしまったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。