第23話 管理局との攻防
光導管全体が虹色に染まった。
アリアの衣装は光を吸い込み、放ち、まるで色彩の嵐が吹き荒れているようだった。
観客は涙を流し、子どもたちは手を伸ばし、若者たちは歓声を上げた。
その瞬間――
警報が鳴り響いた。
――ウウウウウウウウウウウッ!
光導管の入口に、武装した管理局職員が雪崩れ込んできた。
「アリア・セルフィス! その場で停止しろ! これは違法行為である!」
観客がざわめき、恐怖が走る。
アリアは振り返らない。
光を纏ったまま、前を向いて歩き続けた。
◆
管理局の先頭に立つ職員が叫ぶ。
「イーサン・グレイ!? 貴様、何をしている!」
イーサンはゆっくりと銃を構えた。
その瞳にはもう、管理局職員の影はなかった。
「俺は……アリアを守る」
職員たちがざわめく。
「裏切り者か……!」
「構うな、撃て!」
銃口がイーサンに向けられる。
だが、イーサンは一歩も引かなかった。
「アリアの光は危険じゃない。俺はそれを知ってしまった」
その声は震えていたが、確かな覚悟があった。
◆
レオンは端末を抱え、必死に電力制御を維持していた。
「ダメだ……管理局が光導管の電力を切ろうとしてる……!」
ミラが叫ぶ。
「なんとかして! アリアの光が消えちゃう!」
レオンは歯を食いしばった。
「わかってます……! でも、相手は中央制御システムを使ってる……!」
端末の警告が赤く点滅する。
《外部からの強制遮断を検知》
《電力供給が低下しています》
「くそ……!」
レオンは震える指でコードを打ち込み続けた。
(アリアさん……僕はあなたの光を、絶対に消させない)
◆
ミラは映像投影を続けていた。
地球の空。
海。
花。
街の光。
管理局の職員が叫ぶ。
「映像投影を止めさせろ!」
「あのデータは危険だ!」
ミラは振り返り、叫んだ。
「危険なんかじゃない! これは人類の記憶だよ!」
職員が彼女に近づく。
「逃げろ! ミラ!」
イーサンが叫ぶが、ミラは一歩も引かない。
「私はアリアの光を守る! 地球の記憶は消させない!」
ミラは投影装置を抱きしめるように守った。
◆
管理局の怒号。
観客の悲鳴。
イーサンの叫び。
レオンとミラの奮闘。
そのすべてを背に受けながら、アリアは歩き続けた。
光を纏い、色を放ち、世界を揺らしながら。
(止まらない。私は絶対に止まらない)
胸元の赤い布が、光の中で燃えるように揺れた。
アリアは光導管の中央で立ち止まり、両腕を広げた。
その瞬間――
光導管全体が、虹色の閃光に包まれた。
観客が叫ぶ。
「アリア!」
「光だ……!」
「虹色が……広がっていく……!」
管理局の職員たちは、まぶしさに目を覆った。
イーサンはアリアを守るように前に立ち、レオンとミラは涙を流した。
◆
光が収まったとき、光導管の一部が損傷し、天井から火花が散っていた。
停電が起き、警報が鳴り響く。
管理局の職員が叫ぶ。
「アリア・セルフィスを拘束しろ!」
「全員確保だ!」
「反逆者め!」
イーサンが叫ぶ。
「アリア! 逃げろ!」
レオンが端末を叩く。
「非常扉を開けます! こっちです!」
ミラがアリアの手を掴む。
「アリア! 行くよ!」
アリアは振り返り、光導管に残る虹色の残光を見つめた。
(これが……私の光……)
そして――
アリアたちは走り出した。
革命は、もう止まらない。
光と影の衝突が、ついに始まった。




