↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/32

第20話 準備完了

 隠れ家の薄暗い部屋に、静かな緊張が満ちていた。

 アリアは机の上に広げた新しい衣装を見つめていた。


 光反射繊維の新型。

 二重構造の半透明レイヤー。

 そして、胸元には――

 いつもの赤い布。


(これが、次の光)


 アリアはそっと布に触れた。

 その指先は震えていたが、迷いはなかった。


 ◆


 隣の部屋では、レオンが端末を前にして額に汗を浮かべていた。


「……よし。光導管の電力制御、侵入成功」


 ミラが覗き込む。


「本当に大丈夫なの? 中央エネルギーリングなんて、監視が一番厳しい場所だよ」


 レオンは苦笑した。


「大丈夫じゃないです。でも、やるしかない」


 彼の声は震えていたが、その目は強かった。


「アリアさんの光を、ステーション全体に届けるために」


 ◆


 ミラは資料室から持ち出したデータを並べていた。


「地球の空、海、街の光……全部、ショーに使うよ」


 アリアがそっとつぶやく。


「ミラ。あなたを巻き込んでしまって、ごめんね」


 ミラは少しだけ笑った。


「何言ってるの、アリア。あなたの光を見たとき、“ああ、私はこれを守るために生まれてきたんだ”って思ったんだからね」


 ◆


 隠れ家の入口には、色を求める若者たちが集まっていた。


「アリアさん。俺たち、手伝います」

「監視の目をそらす役、任せてください」

「色をもっと見たいんです」


 アリアは彼らを見つめた。


「ありがとう。みんなの力が必要だよ」


 若者たちの瞳が輝いた。


 ◆


 その頃、管理局の監視室。

 イーサンは端末を見つめていた。


 アリアの捜索ログ。

 光導管の監視強化命令。

 拘束の準備。


(アリアに伝えないと)


 イーサンは立ち上がった。


「どこへ行く、イーサン・グレイ」


 上司の声が背後から響く。


 イーサンは振り返らずに言った。


「……持ち場の確認です」

「そうか。アリア・セルフィスは必ず捕らえろ。逃がすな」


 イーサンは拳を握りしめた。


(俺は、もう戻れない)


 彼は静かに監視室を出た。


 ◆


 夜。

 隠れ家の中央に、アリアが立っていた。


 ミラ、レオン、若者たち。

 全員の視線が、アリアに向けられる。


 アリアは深く息を吸い、胸元の赤い布を握りしめた。


「……行こう」


 その声は震えていたが、確かな強さを持っていた。


「次の光で……世界を変える」


 ミラが頷く。

 レオンが拳を握る。

 若者たちが息を呑む。


 アリアは新しい衣装を纏い、ゆっくりと歩き出した。


 向かう先は――中央エネルギーリング。

 第二回ショーの舞台。


 革命の第二の光が、今、始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。