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師匠!何してんですか!?  作者: 宇井琉尊
学園対抗戦(異世界勇者二人)
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”称号:魅了し者”と”称号:魅了されし者”

確かに不思議だとは思っていたのだ。

リース達が過保護といえるほど、僕の事を心配して力を貸してくれる。

その範囲は、唯の幼馴染との関係を大きく外れている感じがしていたのだ。

だけど、それが”魅了”の仕業だと言うのであれば・・・・


「ぎゃはははははは!!!」


家に駆けこむように帰ってきた僕達を心配した師匠に僕が魅了を持っていて、ジルとノアの二人は魅了されし者になっていた事を話すと何故か爆笑していた。


「し、師匠?」

「はははは・・・あ~腹痛ぇ」


師匠はお腹を抱えながら僕の方をチラリとみて、心底おかしいようにまた笑い始める


「師匠!笑い事では!」

「笑い事なんだよ。お前が魅了を持っている?それで、あの二人が魅了に掛かっている?お前は馬鹿か、いやお前は馬鹿だ」


流石にイラッときて声を上げると、師匠は急に真剣な表情・・いや怒った表情になった


「あいつらの心情を俺が言うのは簡単だがまずは”魅了”について教えてやる」


師匠はチラリと隣の部屋に視線を動かし、視線を僕に戻した。

師匠が見た隣の部屋ではジルとノアだけじゃなくて、騒ぎを聞きつけたリース達も揃っている。


「魅了やそれに伴う精神系の魔法はすぐにばれる。何故か分かるか?」

「・・・・魔力の違いですか?」

「半分正解だ。お前が言うように、魅了を掛ける奴は相手に自分の魔力を流し込み精神を把握する。勿論、ばれないように工夫はするのだろうけど、どんなに頑張っても人同士の魔力は同化することはない。だから、魔力の性質に敏感な奴や精神系の魔法に詳しい奴は、すぐに感じることが出来る。精神系の解呪をする職業の奴らなんて、その人に本来あり得ない魔力を探して消去するってことをしているぐらいだからな」


魔力、この場合は魔力の質ってことになるが、これらは人同士で全く違うと言われている。

親や兄弟など血が繋がっている親子でも違うのだ。

だから、ギルドカードなど身分証明に必要な物には、その人の魔力の質を登録することになっている。


「もう半分はもっと簡単だ。魅了に掛かられた人は自分の一番がその相手に変わるんだ。そうなると自然に変わってくるのが、生活習慣だ。今まで行かない所に出向いてみたり、急にお洒落に目覚めたり、明るくなったり、逆に他の人と交流を断ったりとかな。本人は自覚はないのかもしれないが、周りの人達からすれば違和感しかないだろ?だからばれる」


それに、と師匠は話を続ける


「人には大なり小なり魔力耐性っていうのがあるってことは知っているだろ?特に、精神系の魔法はその人の心を無理やり変えるものだから、身体の負担が大きい。だから、精神系の魔法に掛かった奴は無意識的にかつ急激に耐性を上げるんだ。だから、まぁずっと相手を魅了状態にしたいのであればお前の魔力供給みたいに定期的に掛け直さないといけない。だが、ただでさえ相手の身体に負担が掛かる魔法をずっと掛け続けていると、相手の心が死ぬ。そうなれば、そいつのいう事を聞くただの人形と変わらなくなる」


そうなると、誰が見てもおかしいと思えるようになり結局はばれる。と師匠は締めくくった。


「・・・・お前にそんな事できるわけがない。性格的にも技術的にもだ。唯さえ、魔力制御が雑で俺が教えている魔法を満足に使えないだぞ?精神系の魔法は威力よりも魔力制御が上手くないとできないんだよ」

「・・・師匠それはないですよ。事実ですけど」


魔族であるサキュバスやヴァンパイア族などの種族特有の能力もあるかもしれないけど、僕の両親は唯の人族だったからそれはないだろう

少し最後は冗談交じりで言われたけど、そこまではっきり違うと言われて少しだけホッとした


「でも、あの人は何でそんな事を・・・それに、周りの人もその人の事を疑っていませんでしたし」

「そんな事を言い出す奴は一人しかいないんだが・・・・・いつか話しただろ?そいつが隣国の勇者だ」

「・・・あの人が勇者。でも何でその勇者が僕に向かってあんな事を」

「一番の理由は嫉妬だろな。それでいつもの癖でステータスを見て気付いた。ただ、その言葉だけに注目して大事な事が抜けてはいたけどな」

「ステータス?癖?何のことですか?」


言葉の意味は分からないけど、”視る”という言葉にあの男が僕の何かをじっと見ていた事を思い出した。


「・・・それは異世界人の特殊能力ですか?」


あの視線は決して良いものじゃなかった。

自分でも知らない何かを、晒されている感じでかなり不愉快であった。


「今回の勇者召喚の一部の能力だろうな。俺と望の奴は”持っていなかった”」

「・・・あれで一部」


自分でも知らない事をただ見るだけで分かる能力。

そんな凄い能力を勇者として有名な人が持っていて、あんな事を言ったから周りの人たちは疑いもせずに信じたのだ。


「学園の方には、有名な術師を呼んでお前が黒か白か確かめさせるように言うから、お前は堂々とそれを受ければ何の問題もない」


師匠はそう言ってくれるが、果たしてそれで皆信じてくれるのだろうか

そういう不安な気持ちはあるけど、それしか方法はないなさそうだ。

ある程度希望が見えて、身体の力が抜けるとまだ解決していない事がある事に気付いた。


”魅了されし者”


そう言われた、ジルとノアの二人。

僕が魅了を持っていないだとしたら、二人は誰に魅了されているのだろうか?


「師匠、ジルとノアの”魅了されし者”についてですが・・・・」

「心配するな。二人の対象はお前だよ」

「え、いやでも、僕は魅了を持っていないですよね?」


もう訳が分からなくなってきた。

ジルとノアの二人は魅了されているけど、その対象は僕で

でも、僕は魅了の能力は持っていない


「魅了っていうやつは本来いい意味で使われるものなんだよ。簡単に言えば、劇やショーなんかで上手だなとか綺麗だなとか目が惹かれる事があるだろ?そう言うのを、魅了されたっていうだよ、本来はな。ゲームや小説なんかで悪い魔法ってイメージがあるけどな」

「??じゃぁ・・」

「詳しくは本人達から聞け。俺もこんな事で馬に蹴られたくないからな」


疑問が残る僕を残して師匠は部屋から出て行こうとする。


「・・・・答えを教えてやる。お前は魅了は持っていないが、”称号:魅了し者”を持っている。詳しく見るとな”魅了し者”は”魅了されし者”が十人以上いれば付くんだとよ。”称号:魅了されし者”については説明してやらんがな」


そのまま部屋の扉を開けると、ノアやジルだけじゃなくてリース達も揃って立っていて


「・・・・アルト、お前はもう少し自信を持て」


そう言いながら師匠は去って行った。


「ご主人様、少しお話をしても宜しいでしょうか」


それと同時に、問題のジルとノアの二人とリース達が部屋に入ってきた。



おまけ


「かなり不機嫌だな」

「望も聞いていたのか」

「そりゃな、アルト坊とあいつが接触したと思えばこれだからな」

「・・・正直あいつに対して思う事もあるが、今回は」

「ま、良い機会になったんじゃないのか?アルト坊や娘達にとっては」

「・・・そうなれば良いけどな」

「何だ?煮え切れないな」

「・・・あいつらが胸に秘めていた想いを勝手にばらされた。と思うとな」

「・・・だな、やっぱり厄介だなこの”ステータス閲覧”の能力っていうのは・・・かなり便利だけどな」

「あまり使うなよ?癖になるからな」

「分かっているよ。正直こんな能力いらねぇよ。人を人として見れなくなりそうだ」

「ここはゲームや小説の中ではないと理解している”つもり”の勇者気取りの馬鹿はちゃんと理解して・・・いないんだろうな」

「俺らの場合は、あの姐さんが叱ってくれたけどな・・・・・」

「あの頃は”ステータス閲覧”の能力なしであれだけ叱られたからな、あの頃この能力があったらどうなっていたか・・・」

「・・・・・かなり怖いな」

「ってことで、ほい封印。っていきたいんだが、相手がこの能力を持っているとそう言う訳にもいかねぇんだよなぁ」

「俺達や娘達のステータスを誤魔化すのにも必要だしな・・・因みに、魅了されし者の称号の条件は?」

「周りの有象無象に興味がなくそいつに本気で恋い焦がれている事。細かい設定はまだあるけど、これが絶対条件だな」

「・・・・なにその恥ずかしい条件」

「あの馬鹿は称号の名前だけ気にして、説明を見なかったんだろ?まぁ、この説明をみたら別の意味で地団駄踏みそうだけどな」

「あぁ~」

「さてと、俺は学園に行ってくる」

「ほいさ、気を付けて行って来いよ。行き来であいつに会っても我慢だぞ」

「・・・・マリーと一緒に行ってくる」

「それが良いだろうな」

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