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師匠!何してんですか!?  作者: 宇井琉尊
第二章 学園編(二人の少女)
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修行風景1(ミンクの出生理由?)

今回の話は、勝手な解釈がいくつかあります。不快に思われる方はすみません。

色々あった昼休みを終えて、ぐったりした状態で午後の授業を受けて、朝よりは少なかったけどやっぱり注目されながら師匠の家に帰ることができた。

「ただいま帰りました」

「兄ちゃんお帰り!」

丁度玄関の所にいたのか、ヴォルがパタパタと尻尾を振りながら駆け寄ってきた

「ただいま。ナナシさん達は?」

「もう、皆待ってるよ!お姉ちゃん達も早く来てね!」

そう言いつつ、ヴォルは勢いよく走り去ってしまった。

「では、準備をしていきましょうか」

その言葉に皆一度離れて、準備をすることにした。

今からするのは、師匠の修行であり、皆との訓練なのだ。

準備と言っても、教科書など入っているカバンを部屋に置いて、冒険者の鞄を持っていくだけだ。

「ご主人様準備が出来ましたでしょうか」

「うん、今行くよ」

部屋から出ると、いつもの格好をしているジルとノアが揃って立っていた。

僕は着替えることなく、ただ荷物を置いただけなのにも関わらず

同じ時間に帰り着いて、同じようなタイミングで準備を始めたのにも関わらず、着替えまで済ませている二人の姿に少し驚いてしまう。

「いつも早いね」

「これでも遅いのです」

「そ、そうです。本来ならご主人様の準備のお手伝いをしないとならないですのに」

「それは、少し勘弁して欲しいかな」

本当なら僕も着替えたいのだけど、あまり遅くなるとこの二人が手伝うと息巻いてしまうから、いつも必要最低限の準備しかしないのだ

「今度はもっと早く」

「が、頑張ります」

僕の後ろを歩く二人の声が聞こえてきたけど、聞こえなかった振りをした。


ケントと僕が模擬戦をした場所に師匠たちは既に揃っていた。

「おっし、じゃぁ始めるか。今日はこいつだ」

師匠は僕達が揃っている事を確認して、目の前に大きな岩を数個召喚した。

ちなみに、全員とは、僕、リース、マリル、サヤ、ミヤ、アヤ、ジル、ノア、ナナシ、ミンク、ヴォルの11人だ。

岩は一人一個あり、それぞれの目の前に置かれている。

「今まで軽い模擬戦である程度の力は分かった。だから、今日からはそれぞれにあった訓練を始める」

師匠は目の前にある岩を浮かして、それぞれ三つのグループになるように分けた。

一つは、リース、マリル、アヤの魔法を放つ事を得意としているグループ

一つは、ミヤ、ジル、ノア、ナナシの魔法を纏う事を得意としているグループ

一つは、僕、サヤ、ミンク、ヴォルの魔力が少ない、若しくはないグループ だ

「リース達は、離れた所から魔法を撃ってこの岩を砕く。この岩は耐性属性を付加してあって、それがランダムで変わるから、しっかりと把握してから撃たないと砕く事ができないからな」

リース達の目の前にある岩はよく見ると、ほんのりと色が着いていて、それが不定期に変わっているのが分かる。

「ミヤ達は、俺が遠距離操作でこの岩を動かすから何をしてもいいから砕く事。これも耐性属性を付加してあるから、ちゃんと考えるように」

ミヤ達の岩はリース達より少し小さめであったけど、それが浮き始め結構凄い速さで動き始めた。

「アルト達は、取り敢えずどうやっても良いからその岩を砕け。サヤは練習中の魔法を纏う事を中心にするんだ。お前は普通に殴った方が強いからな」

「・・・魔法を纏うのは苦手。普通に叩いた方が得意」

「保有魔力はこの中でも一番持っているんだけどな。それを出せる様にするためだ」

そう言って、師匠はリース達を見ながらミヤ達の岩を操作し始める。

「じゃぁ、こっから先は俺が面倒を見てやるよ」

師匠と入れ違いでやってきたノゾムさんが何か鎖で固めて奴を精一杯引っ張りながら僕たちの前に歩いてきた。

「アルトとサヤは何度かしているから分かっていると思うが、チビ助達は始めてだからな」

「ノゾムおじさん、その鎖の塊は何ですか?」

ぜぇぜぇと息を整えているノゾムおじさんに申し訳ないけど、とても無視できるものでは無かった。

何故なら

「斧?でも反対側はハンマーの形になっているし・・・それに凄く大きい」

二メートルを越える長さで、片方には斧の刃が着いていて、反対側にはハンマーの頭が着いている物があるのだ。

「ん?これか?これはな、俺が趣味で考えなしに作ったは良いが、誰にも扱える奴がいなくて保管してあったんだが、こいつを嬢ちゃんに使って貰おうと思ってな」

「ミンクちゃんにですか?」

確かに、ミンクの怪力なら持てると思うが

「でも、これ魔法具ですよね?ノゾムおじさんが作った物だから唯の魔法具ではないと思いますけど」

英雄が一人、師匠のついでとして覚えられているノゾムおじさんの特殊な能力。”空想現界”

異世界人だけが持つことができる、魔法でも魔術でもないそんな能力だ。

そして、この空想現界は、ノゾムおじさんが想像したものを現実の物として作り出せる能力なのだ。

「その通り!作った瞬間に自動的に名前が決まってしまった超レア物!その名も”矛盾”だ!」

「矛盾?」

たしか、師匠の話で何でも貫ける矛と何でも防げる盾が有り、互を比べた時に結果がどうなるのかというもので。何でも貫ける矛が何でも防げる盾を貫けたら、何でも防げる盾が何でも防げる盾ではなくなることで、その対立が成立しないとかなんちゃら・・・という話をしていたのを思い出した。

「おうよ!まぁこの斧とハンマーに関しては俺と誠の意見が食い違っただけだが・・・・アルト坊、お前ならロリ怪力に持たすとしたら、大斧か巨大ハンマーかどっちだと思う?」

「まず、身体の小さい子にこんな大きな物が持てないんじゃないですか?」

「答えてねぇじゃないか。まぁそれが答えなんじゃないかと思ってこいつを引っ張ってきたんだよ。ロリ(小さい人)を対象であるが故に大きくなり、大きくなり過ぎた故に軽量化の魔法を重ね、武器としてだけではなく魔法具としても使えるように改造し、そうなると耐久性が心配になり硬化の魔法を重ね、そしたら唯の鈍器になってしまったから刃を研ぎ、攻撃だけではなくて防御もできるようにしようとして、相手の魔法を消去させる為に魔法消去の付加まで付けてしまったら使用者の魔法まで消去してしまうもんだから、身体能力向上などの魔法もキャンセルしてしまって普通の人には持てなくなってしまったんだよ」

「だから、ミンクちゃんに持たせると?でも、あまりにも身長に合ってないですよ」

僕より少し大きいノゾムおじさんと比べても武器の方が断然大きいのに、僕より小さいミンクがそれを扱っている姿を想像することができない。

「まぁそれは賭けの部分もある。作る上で、色々と矛盾している事を無理やり押し込んで作った物を、ロリで怪力と矛盾のような人なら使いこなせるんじゃないかとね」

それにとノゾムおじさんは話を続ける

「俺がこれを作ったのは大体10年前だ」

「!!」

その言葉を聞いてまさかといる考えが思い浮かんでしまった。

普通の両親から産まれた筈なのに、人外のような怪力を持って産まれてしまったミンク。

その、ミンクも今年で10歳。

唯の偶然ならそれで構わない。でも、ノゾムおじさんが作る物は必ず対象がある。相手に対しても使い手に対してもだ。

例を上げると、魔神封じの檻。

これは、魔神を対象に魔力を封じる物である。

そして、ケントが腰に差していた剣。

使い手を想像して作った物は、その人物しか扱うことが出来ない物になってしまう。

その法則がこの武器にも当てはまるのであれば、ノゾムおじさんが想像した使い手がその当時おらず、だけど武器は出来てしまった。その矛盾を正すために、因果を捻じ曲げてしまったのであれば

「もし、嬢ちゃんがこいつを扱う事ができたら、俺は嬢ちゃんに謝らないといけない」

その時のノゾムおじさんの顔は真剣そのもので、いつもと違う雰囲気であった。

「・・・・・」

「ミンクちゃん」

少し離れた所では、魔法を放つ音や岩を砕く音が聞こえてくるが、僕の視線はミンクの姿を追っていた。

ミンクも顔を少し強ばらせて、ノゾムおじさんが引き摺ってきた武器の所に歩いていく。

そして

「・・・・軽い」

大の大人であるノゾムおじさんが必死に引きずってきた、武器を軽々しく持ち上げていた。

そして、そのまま岩の所まで歩いて、武器をそっと置いた。

ドゴォン!

「・・・・でも、重い」

師匠が作った岩が、武器の重さと魔法消去の効果の所為で、たったそれだけの動作だけで岩を砕いてしまった。

ミンクは泣きそうな顔になって、武器を持ったまま僕の胸に飛び込んできた。

僕は、武器の重さで潰されると思ったけど、受け止めたミンクの重さはいつもと変わらなかった。

「・・・・・」

僕はグリグリと頭を擦りつけているミンクに何も言えず、ただ優しく頭を撫でるしかできなかった。



おまけ


「まじかぁ・・・最初はただロリ怪力の存在に喜んだだけだったんだけどな」

「空想のモノを作ることは良いが、空想の人物を対象に物を作るのは辞めた方がいいな」

「望か・・・聞いていたのか」

「気にはなっていたからな」

「だな、そして俺はもう一つあの嬢ちゃんに謝らないといけない事がある」

「まぁお前が謝っても意味があるのか分からんが・・・」

「一種のけじめだな。あれが唯の偶然かも知れないけど、今後一切こんなことを起こさないようにな」

「そうか・・・それで?もう一つ謝らないといけない事ってなんだ?」

「分からないか?ロリ怪力を空想してあの武器を作ったら嬢ちゃんが産まれた。なら・・・」

「なら?」

「あの武器がある限り、嬢ちゃんはずっとロリの姿でいる、いや、いないといけない。そうだろ?」

「確かに、ロリ怪力の為の武器でそのためにあの子が産まれたとしたら、そうならないといけないんだろうが・・・望、お前は一つ忘れているぞ?」

「なんだよ」

「あの武器は、色々な矛盾が詰まっていて、使い手が居ない矛盾を正すためにあの子が産まれた」

「だから」

「だから、あの子が成長してロリじゃなくなっても、ロリを使い手として空想した武器が扱えたら、それもまた矛盾だろ?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

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