60.フレイムの独白
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『へえ、やっぱあの腐れ爺共戻って来たのか』
天界に戻って事の顛末を聞いたフレイムは、頭をかいて虚空を見上げた。
『いずれそうなると思ってたぜ。あの爺共は神々から愛されに愛されてた……いや、現在進行形で愛され中だからな。神は自己中で身勝手なんだ。欲しいと思ったものは何としてでも手に入れるんだよ』
もう消えたい、休みたいというラグドールたちの切願を、一度しっかりと叶えてやる。同時に、最愛の弟たちが望めば蘇るであろうこと、ラグドールを慕う他の先達たちもそれに付き合うことも見抜いていた。
ゆえに、頃合いを見てアルシオとウォーロックにラグドール……ラーグたちを呼び戻させ、今度こそ正真正銘の同胞として懐に抱え込む魂胆だった。最初からそのつもりだったのだ。神々の力で強引に復活させることもできるが、それはラグドールたちの意思を踏みにじる行為だ。そのため、彼らの心に沿うよう、弟たちに声を上げさせるつもりだった。
そして、アルシオとウォーロックを説得するなり言いくるめるなりするタイミングを眈々と窺っていたところ、渡りに船のように今回の騒ぎが起きた。さすがに騒動自体はミーシャやメンテナンス担当の暴走の結果であり、神々が裏で糸を引いていたわけではないだろう。だが発生を感知した際は、これは使えるとほくそ笑んでいたはずだ。
『妖神様が悪神面を抑えてまで救済措置を確保して、厚遇に厚遇を重ねたウルトラ特別対応をされまくるほど気に入られてたんだ。何がなんでもアイツらを本当の身内として迎え入れる結果に落とし込むつもりだったんだろうさ』
そして、他ならぬ神々がそうすると決めたなら、否やは無くその結末に到達するのだ。それが神意であり神業というものだ。きっと義兄ルファリオンや遊運命神もせっせと力を使って未来操作をしていたのではないか。
『母神や姉神たちも上機嫌だろうな』
念願叶ってホクホクしている火神と煉神、それに兄神たちの姿を想起しながら、フレイムは苦笑いした。自身の中にも、あの先達たちの復活と神成を歓喜し、歓迎する気持ちが湧き出していることを自覚しながら。老害だのど腐れだのクソ野郎だのと毒づいていても、やはり心の底では彼らのことを慕っていたのだ。偉大で立派な先達だと。
『しかもアルシオとウォーロックが擬精霊になって使役界を助けることにしたのか。使役たちがこのチャンスをモノにできれば良いんだが。崩壊騒動で相当ガタガタになったみたいだからな』
アルシオとウォーロックはあくまで神だ。助力すると言っても、聖威師と同じく最低限の手出ししかできない。しかも、結局は任意かつ厚意での手助けだ。義務でも仕事でもなく、何の責任も負わないため、いつでも止められる。つまるところ、結局は使役たちが自己責任かつ自力で頑張り、どうにか立て直すしかないのだ。
『しっかし、よく最高神たちの承諾を引き出せたもんだ。ウォーロックは交渉上手だぜ。……ま、今後の使役界に関しては、俺付きの使役と下働きからも情報が入ってくんだろ』
呟いたフレイムは思考を切り替え、軽い足取りで愛妻が待つ部屋へと入って行った。
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――使役界の境界を作る神器を修復するための奔走。神性を抑えての臨時干渉。
深刻な状態となった使役界を救うために、アルシオたちはこれらの行動を取った。故郷と元同輩の危機にどうしても動きたいならばと、神々も目を瞑った。
これらは結果的に、アマーリエやフルードを始めとする元聖威師たちにも一筋の光明を残すことになる。
もしも天威師と聖威師が滞留を終えて完全帰天した後、地上と人間が、神器を以ってしても回避し切れない深刻な危機に陥った場合。アルシオたちが認められた前例を出せば、限定的かつ超短期的だが、元聖威師たちが再び人の世に干渉して手を貸すことが許容される望みが繋がったからだ。
いずれ訪れるかもしれない未来のための種まきをしたことを、現在のアルシオたちはまだ知らない。
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