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スピンオフ置き場  作者: 土広 真丘
第1章
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22.先代大精霊は視た⑤

お読みいただきありがとうございます。

《私たちに操られていたと判明すれば、神々はお前をお見捨てにならない。アルシオもだ。あの子は根が優しいからな。示しを付けるため一定期間は下働きに落とすが、霊威を封じることはなく護衛と世話役も付けるだろうから、危険はないことを予測していた》


 ウォーロックが神々に目をかけられていたことを、ラグドールは知っていた。きちんとした事情さえあれば、咎を犯そうと切り捨てられないことも。


《副大精霊からは外すだろうが、時期を見て箔付けの神性は保持したまま上級使役に戻すことも予見していた。お前がそれを辞退しようと、アーディエンスが泣き落とし己の側に置くであろうこともだ。そして神々からお気に召され続けたお前は、いずれ神成するであろうと分かっていた》


 そう語ったラグドールは、一度言葉を止めてから先を発した。


《むろん、この説明だけでは解消できない疑問や矛盾を感じる部分、説明が付かないと思う部分も山とあるだろう。だが、お前たちを巻き込んだ最後の賭けの裏には、本当に膨大な理由と経緯が折り重なっていた》


 中には数千年越しの因果解消や一斉膿み出しなどの事情も含まれており、全てを紐解いて解説していれば数日どころか数年単位の時間がかかってしまうという。


《絡まり合っていた要因があまりに多すぎる。全てを説明し切ることはできないが、私たちは数多ある事情を踏まえた上で動き、お前たちと使役界を今の現状に落ち着かせることができた。予想していた軌道から大幅に外れた結末はほぼ無く、良かったと思っている》

『ほとんど計画内だったのですか。先達様は何でもお見通しなのですね。凄いですねぇ』

《無駄に永く生きていたからな。経験値と観察眼は磨かれた》


 感心したように頷くウォーロックに、軽口を交えた柔らかな口調で返すラグドール。


《それに――私の意図を察した神々が、あえてその意に沿うよう動いて下さった可能性もある。私が流れを掌握していたわけではなく、ただ神々のご厚情に過ぎなかったのかもしれない》

『そうなのですか?』

《古き神々は、私がお前とアルシオを守っていたことをご存知だ。お前たちが神逐級の愚行に走りそうになれば、その前に私が止めるはずだということも》


 にも関わらず、ウォーロックが盛大にやらかした時点で、薄々全容を察していてもおかしくはない。当初はウォーロックの神逐を決め、フレイムとラミルファによりラグドールの関与が明らかになると決定を覆した最高神たちだが、本当は全てを承知の上で乗ってくれていただけかもしれないのだ。


『うーん……仮にそうだったとしても、あなたが多くを読み当てたことは事実ですし、やっぱり凄いですよ』

《お前の方が凄いよ。使役界の負の念を悪神に献上する……神を使って解決するという方法を、長生きと経験が売りのはずの私たちは誰も思い付かなかった。使役の問題は使役内で片付けるという固定観念に縛られていた》

『長く使役をされていたからこその先入観がおありだったのだと思います。でも、負の念を集める霊具の作成にはあなた方もお知恵を貸して下さいました。先達様方の叡智がなければ、あの短期間であれほど完璧な物はできませんでした』


 やり取りに耳を傾けていたアーディエンスは、ムッと渋面を作った。悔しいがその通りだからだ。負の念を収集して悪神に差し上げてはどうかというウォーロックの案を聞き、最初こそ驚愕していたラグドールたちだが、一理あると見ると全面的に協力してやっていた。

 悪神たちの嗜好から儀式の次第作成、霊具の製造や手順化など数多の面で的確かつ豊富なアドバイスを授け、初の試みに試行錯誤するウォーロックを励ましながら共に内容を練り上げて行った。彼らの惜しまぬ支援があったからこそ、僅か2年で全てが形になったのだ。


《必死に汗を流して成果を上げたのはお前だろう。その柔軟な思考と発想には脱帽する。お前は本当に素晴らしい子だ》


 心の底から紡いだであろう全力の賛辞。アーディエンス相手には決して出さなかった声だ。


《お前のおかげでどれだけ助かったことか。何しろアルシオが私の予想より遥かに高みまで行ってしまったから、喜びつつも困っていたのだよ》

ありがとうございました。

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