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スピンオフ置き場  作者: 土広 真丘
第1章
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15.先代大精霊は聴いた⑤

お読みいただきありがとうございます。

《だが結局、私たちは神威を得た思念として留まれたため、自力でウォーロックたちのケアを行うことができた。アルシオとウォーロックの神成も見届けることができた。お前に至ってはこちらの色眼鏡であったことが露呈しただけであったがな》


 ハッと鼻で笑うラグドールは、二の句が継げずにいるアーディエンスの様子など気にかけることなく先を紡ぐ。


《お前は自分の立ち位置を本当に理解しているのか。神々の怒りを買ったイーネストの小倅(こせがれ)。その圧倒的なハンデを覆して大精霊になれただけで望外の奇跡だ。それ以上の未来をお前に用意してやる理由も義理も無かった》

『……けど、俺を神成させるために思念になってからもサポートしてくれたと……』

《計画を変えたのだよ。何故か分かるか。ウォーロックが頼んで来たからだ》


 思いもよらぬ裏話が暴露された衝撃で、すぐに返事が繰り出せない。アーディエンスが黙り込んでいる間にも、話は続く。


《お前より先に神成したウォーロックを、私は心の底から寿いだ。あの子の夢に出てな。そうしたらあの子は喜ぶどころか泣いて私に懇願したのだ。自分などよりお前を神成させてやって欲しいと。そうすればお前はもちろんイルーナまで救われると言っていた》


 それは私にとって何より重い請願だったと、ラグドールは語った。


《ウォーロックから神格を与えてやれば良いのだと言っても、最高神から賜わった方が良いに決まっていると聞かなかった。お前は辛い幼少期を送り、不利な状況を努力で覆し、大精霊として立派に駆け抜けたのだから、最大限の形で報われるべきだと。どうかお前を神成させてもらえるよう取り計らって欲しいと、必死に頼んで来たのだ》


 ウォーロックが自分で直訴すれば良かったのだが、事後報告で告げられた神成の事実への驚きと、最高神からの従神の打診……しかも上位従神への打診……を断ることで手一杯になっている内に、神々は一度引き上げてしまったのだという。そこに入れ替わりの形でラグドールたちがやって来たので、反射的に彼らに縋ったそうだ。


 あなた方ならできるでしょうと言わんばかりの目を向けて来たウォーロックは、すっかり先達たちを信用していた。手厚いケアを受ける中で心を許していたからだ。もしかしたら魂が、ラグドールはどこまでも自分の味方なのだと感じ取っていたのしれない。


《そこで急遽、お前に追加の支援を行い、神成を後押しすることにした。お前が星雲にまで駆け上がることができたのはウォーロックのおかげだ。あの子が涙ながらに頼んでいなければ、私はこれ以上お前のために動くことはなかっただろう》


 そもそも神々は――火神を筆頭とする火神一族と狼神、ルファリオンあたりは特に――、アーディエンスのことを良く思っていなかった。フレイムを虐げたイーネストの子だからだ。ラグドールたちやウォーロックの仲裁と当事者の努力を見て認識を改め、冷遇はせず大精霊としても認めたが、神成を許すまでは絆されていなかった。


 だが、それをも覆したのがラグドールたちだ。あらゆる神々との間に培っていた悠遠の絆とコネクションを活用して立ち回り、僅か数日も経過しない内に強固な神意を翻させた。アーディエンスを神成させてやっても良い、それどころか最高神の従神に、しかも星雲にしても良いと思わしめるまでに。

 そしてラグドールたちがそこまでしたのは、ひとえにウォーロックの哀訴があったからだ。


『じゃあ俺と母さんは、本当にウォーロック様のおかげで……』

《ああそうだ。仮に私たちの力が及ばずとも、次善の策でウォーロックがお前とイルーナに神格を与えていたはずだ。その場合は星雲にはなれず下位神止まりだっただろうが、それでも神々はお前を受け入れていた。位の高低に関わらず完全な神になった時点で同胞愛が完成するからな。火神様方にも許され、愛されていただろう。つまり、どのみちお前たちを救っていたのはウォーロックだ》

ありがとうございました。

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