45話 なんか、魔法って怖くない?
「おかえり~」
待っていたら、カトリーさんがこう言いながら地面から生えてきた。
転移かな?
「あ、カトリーさん……」
なんだか、変な現れ方だなあって思ったけれど、そんなことはどうでも良かった。
カトリーさんの顔が見えた途端に、私の悔しかった気持ちが形になって溢れてきた。
目から温かいものが……。
「カトリーさ~~~ん」
私はカトリーさんが完璧に生えてくるのを待ちきれず、腰のあたりにしがみついた。
「ちょ、ちょっと……どうしたの?」
涙と鼻水が止まらない。
きっと、カトリーさんは生暖かさを通して、鼻水と涙でデロデロになっていくのを感じとっていることだろう。
「うわ~~ん」
私は身長的に、少し屈んだカトリーさんのお腹のあたりで気が済むまで泣いた。
周りの生徒はもう帰っちゃっていたから、多分誰もいなかったと思う。
どのくらい泣いたんだろう。
多分、体感で10分くらいかな。
学校の時計をチラ見したら、30分経っていた。
泣いたら、とても気持ちがすっきりした。
カトリーさんのお腹の辺りも私の鼻水と涙でデロデロだ。
まあ、魔法で何とかするんでしょ?
私は初めて気付いたのだけど、他のことで負けるのはそこまで嫌じゃない。
けれど、剣術で他のゴブリンに負けるのが物凄く我慢できなかった。
私はカトリーさんと一緒に、あんなに鮮やかで楽しく、山というほどスライムを倒した……。
あの時の経験は他のゴブリン達にはないもので、私にとって貴重で誇らしいもの。
私が負けっぱなしでいることは、私の中の感動や楽しさの価値を貶めることのような気がした。
私は大好きなカトリーさんにどうやったら強くなれるか聞いてみた。
「う~~ん、基本的にゴブリーヌはゴブリンより成長が遅いから、小さい頃は敵わないのよ」
私の思いを裏切るような答えが返ってきた。
「え……。嫌だ。負けたままで転生なんて気持ちが悪い。何とかしてよ」
「私がスキルとか能力を、このタイミングであげちゃうと色々と問題になるからなあ……」
カトリーさんは何か、考えてくれてるみたいだけど難しいみたい。
「じゃあ、剣術を教えたということで、強化魔法を使うってのはどう?」
「意味が分からないよ……カトリーさん」
とても、難しいことを言われた気がする。
「私は剣術を貴女に教えるの。だけど、内容はちょっとだけ強化魔法」
「普通に強化魔法を教えてくれればいいじゃん」
とても、分かりにくい説明のような気がした。
剣術を使うのに魔法も使うという感覚が意味不明だ。
「結構、強力な魔法だからそうそう教えられないの。だけど、剣術ということでその中に紛れ込ませて教えれば、神様協会とかから何も言われないから」
「剣術……。うん、わかった魔力を使って強くなる剣術なのね」
多分、そんな感じな気がする。
「貴女はまだ、魔力が少ないからちょっと強くなるだけ。でも、ちょっとマシになるんじゃない?」
魔力って、私のは薄っすらとあるだけ。
でも、こんな少ないのを使ったら私死んじゃわない?
「魔力使い切ると、倒れるとか気を失うとかある?」
「マジックポイントを使い切るとね……って言っても、分からないか。まあ、どのくらい使えばダメか、使えるようになったら見てあげるよ」
なんか、魔法って怖くない?





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