29話 感覚が変になっちゃいそう
「カトリーさん……どこにいるのか、私もわからないよ」
「そう? ここにいるよ」
これじゃ、嫌だな~。あまりに、完璧すぎて、一緒にいる感じがしない。
「う~ん、透明やめてよ」
「え? やめるの? わかった」
目の前にパッと現れるカトリーさん。
一歩も動いてないんだ。
「全く居るところがわからないんだもの……なんとかならない?」
「いる場所が何となくわかればいいんだよね。じゃあ~……そうだ。パーティ申請する~」
「パーティ申請?」
「昔、創造神が迷子になってしまった時があって、迷子防止のためにつくった機能よ」
ソウゾウシン?
「よく言ってることがわかんない……」
「そうかあ……、そうだね。わからないことを言ってごめんね」
カトリーさんは私の反応を見てああ、なるほど……という表情をすると謝ってきた。
「じゃあ、送ってみるね」
「え? なに?」
「だから、パーティ申請だって」
《カトリーからパーティ申請が届いています》
「なにこれ?」
「YESを選べば、パーティを組めるの。でも、覚えて欲しいから私にやってみて」
《パーティ申請が取り消されました》
「なんで?」
カトリーさんは私に覚えて欲しいようだ。
「これから、知り合いもできるだろうし、やり方がわかってると初対面でも友達になりやすいから」
「でも、これってみんな知らないんでしょ? これが来たらびっくりするよ」
私だって、なんか怖いもの。
「まあ、神様しか知らないからね。けど、誰でもできるの。便利じゃない?」
「迷子にならないのは便利だけど……やっぱ、変だよ~」
神様と私を一緒にしないで欲しい。
「いいからいいから。やり方教えるから、覚えて」
「ええ~。いいよ~、なんか怖い」
「仲良くなりたい人に送れば気持ちが伝わるよ。言葉が通じなくても、伝わるのよ。便利~」
「う~ん……」
役立つことは覚えたほうがいいと思うけど、神様感覚だし……ちょっと不安。
「今ならサービスで、パーティ申請が許可されたらその人が話している言葉を話せるようになる能力も付けちゃう」
「何それ……、抱かせ売りみたい。そんなに便利かなあ」
私の友達になる人が言葉の通じないのを前提にしているかのような話。
ゴブリーヌ自体に他の種族に好かれるような能力があるのはわかるんだけど、生まれ変わっても有効なのかなあ。
「私も神様になってから、昔知ってたら良かったのにな、って思ったんだから。絶対オススメ」
カトリーさんがそこまで言うなら、やってみようかな。
私にとってためにならないことを、勧めるはずはないと思う。
だって、私のお母さんなんだから。
「う~ん、そうね。やってみようかな……」
「偉い。オキャクサン、エライ。エライヨ~」
変な喋り方になってる……。
「私は転移者の恋人が言葉の壁を何とかするような能力を持ってたから、大丈夫だったけど……」
カトリーさんをそそのかした恋人は、そういう能力を持っていたらしい。
「貴女はそういったことに恵まれるとは限らないし、何かしておいたほうがいいなあと思ってたからちょうど良かった」
「だったら、言葉を翻訳する能力がいいな~」
そんな回りくどいやり方しなくてもいいじゃん。
「そういう直接的なのは他の世界から転移したり、転生したりした人が担当した神様の気分で与えられるのよ」
気分で?
言葉わからないと、転移とかは最初からアウトだと思うよ。
「これは直接的じゃないの?」
「パーティ申請のやり方を教えていて、間違って覚えちゃった感じに誤魔化すから平気」
「それで、誤魔化せるんだ~。いい加減~」
直接的とそうじゃないものの違いがわからない。
「そうそう。結構、誤魔化せる要因があれば案外イケルのよ。誤魔化しようがないところだと、一発で神様除名だけど……」
「気をつけてね……カトリーさん」
神様じゃなくなるなんて、大変なことでしょ?
「大丈夫。神様やめたら悪魔になるだけだから」
悪魔って、神様を辞めるとなるの?
「給料が変わるだけでどっちもそんなに変わらな~い」
「そこは、変わるでしょ?」
「そんなに変わらないのよ~。なればわかるって」
神様なんかにならないから。
「じゃあ、始めましょ。パーティ申請ができるようになったら、ちょっとスキル足しちゃうから」
「……」
ちょっと? 感覚が変になっちゃいそう。





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