25話 全く私の真の実力を信じないカトリーさんに腹が立った
「20倍? 大丈夫なの? カトリーさん疲れない?」
私は疲れないんだけど、魔法を使うと疲れると思う。
「私は今日は寝るだけだから大丈夫。終わったら何もしないで、寝てるだけだから」
「寝てるだけ?」
私が苦労している間に、この人は寝るとか言ってる。
「今日は我が子をただ眺めて、一緒に添い寝して満足する日って、昨日決めたの」
添い寝するというのは、私が帰れなくて学校に泊まるのを前提にしている。
「私がテスト落ちると思ってるでしょ~?」
「ええ。だって、私の子だもの。補修を受けて、今日は学校の宿泊施設でお泊りよ」
自分の子だったら大丈夫というのならわかるけど、自分の子だからダメだというのはどういう了見?
「これから学校で勉強して受かるから大丈夫だよ。赤点だけは取らないようにするって」
いい点数を取らなくてもいいのよ。
赤点を取らなければいいの。
「赤点て何点?」
「40点」
「うん、きっと無理。確実に補習か再テスト」
この人、言い切ってる。
自信満々。
なんてこと……。
「私のことを馬鹿にしてる」
「馬鹿にしてないしてない。私の頃はそんなテストなかったけど、多分、貴女よりダメだったよ」
「……」
自分がダメだから、私もダメだろうってそういうこと?
私は頭悪くないもん。
負けないから。
「じゃ、行くわよ。強化魔法20べえ~だ~」
ものすごい強い光が私の中に入ってくる。
湧き上がる力、包みこむ光、巻き起こる旋風……そよぐ草々にざわつく木々よ。
ほとばしる閃光。
輝く手刀。
飛び散る水滴。
スライム切り裂く鋭い斬撃。
私達は疾風。
縦横無尽に走り抜け、草原にスライムの屍を築く。
早朝の静かなこの空間に、美しく力強いダンスを繰り広げよう。
私が先頭、カトリーさんは後ろ。
私が廻り、カトリーさんは中心。
二人で走る。
楽しく走る。
手を繋いで走り、草原を抜ける。
「あ~疲れた……」
カトリーさんは魔法の使いすぎで疲れている様子。
でも、1分経ったかどうかくらいの時間だった。
全てが凝縮された時間。
「大丈夫? カトリーさん」
「20倍って、使わないからね。久しぶりに使った」
「え? 使うことあるの」
「あるよ~。世の中には強いのいっぱいいるんだから。そういうのに勝つのはゴブリンの殲滅より大変かも知れないよ」
話をしながらも、カトリーさんは少し息切れをしている。
疲れてるから、休むってことだよね。
さっき起きたばかりなのに、また寝るのかな。
「私が行ったらまた、寝るの?」
「うん、神界のアパートに戻ってね」
「神界?」
「そうそう。神様が住んでる世界だよ」
「へえ~。どんなとこなんだろう」
「案外、普通かな~。でも、変わった人が多いかも」
カトリーさんが変わっているって言うんだから、相当変わってるんだろうな。
知らないうちに校門の前まで来ていた。
「こんなことしてる場合じゃないな、早く学校に行かなきゃ」
「ああ~、もう行くの? じゃあ、夕方19時頃かな? 時間になったら宿泊施設に行ってるから」
まだ、私の赤点を信じて疑わない……。
「だから、赤点取らないって言ってるでしょ」
「わかった、わかったよ。じゃあ、宿泊施設で」
カトリーさんは転移で消えていった。
「もう~」
全く私の真の実力を信じないカトリーさんに腹が立った。





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