episode8
誤字、脱字が多々あると思われます。
気になった方はコメントなどで指摘の程宜しくお願いします。
不屈のHERO epsode8
「あんまりがっかりさせんといてな鏡見。」
「気安く名前呼ぶんじゃねーよ!」
「悪かったの~。んでもな、そんなん言ってられんのも今だけやで。」
大神は、短距離を走る陸上選手のようなフォームに入りこちらを見て笑った。
episode8
大神がスタートをきる。そのスピードは、犬や狼を思わせる。一瞬のうちに間合いを詰められてしまった。
「何やえらい反応遅いのぉ。」
「うるせーよっっ!」
懐に入ろうとする大神を警戒して俺は前に出る。これでお互いに間合いに入ることでどちらもリスクを負うこととなった。だがそんなリスクを考えて行動するような賢い頭は俺は持ってはいない。つまり……。
「先手必勝!」
地面を掴むように踏ん張り力を込めた拳が確実に当たる……はずだった。
「甘いで鏡見!」
力んだ拳が大神に触れるその時、大神が俺の視界からいなくなり拳は空を切る。
「ほんまに遅いなお前は!」
「なっ!?」
大神の声が後ろから聞こえる。俺はすぐに大神と距離を取るがまたも間合いを詰められてしまう。
「そんなんで良くもあの女達守れてこれたな。そんな力やったら守れるもんも守られへんで。」
「だったらお前を倒して証明してやる!俺があいつらを守れることをな!!」
と回し蹴りを顔面に叩きつけたはずだったが大神はそれを軽くよけてしまった。
「何やそんな力で俺を倒せるんか?初めはおもろいおもたけどやっぱりただの一般人やな。…まあええは。今すぐ終わらしたるからそこジッとしときや。」
大神は、俺から距離を取るとまたあの体勢につく。
「行くで。死なんようにだけはしといたるわ……でも一生歩くことも大切な人を抱きしめることも出来ひんようなるかもやけどな。」
「俺は負けられないんだ!俺は2人と約束したんだ守ってやるって…お前達みたいな奴らから守ってやるってなぁ!!」
「言うとけ!そんなん言えるんももうこれで終わりやねんからな!」
俺は、ドッシリと構え守りに入る。深呼吸し、呼吸を整え次に来る攻撃に備える。そこから反撃の一撃を叩き込む。そう思っていた。考えていた。だがもうこの時にはケリがついてしまっていたのだ。
「っ!!!」
俺の腹に大神の掌底がめり込む。それは鋭利な刃物が柔らかい肉に突き刺さるように深く深く突き刺さる。その瞬間両足は宙を浮き体はくの字に折れ吐瀉物と一緒に血反吐を吐いた。
"いつ攻撃された!?"
「これでお終いや、ぶっ飛べ雑魚が。」
大神が俺の腹に深く置かれた手からもう一歩前進し勢いよく弾き飛ばした。俺は大木に体を打ち付けそのまま動けなくなった。体の全ての力が抜けてぐったりその場に座り込む。
「そうや言っとくん忘れてたけどな俺はゲームでいう小ボスぐらいの位置におんねん。そんな奴にこんだけやられてたらお前……守りたいもんも守られへんな。」
大神のいう通りだった。こんなところで負けていたらなに一つ守ることはできない。でも指の一本も動かすこともできないほど体から力が抜けてしまっていた。
「邪魔だ!私に勝てるとでも思っているのか!」
「ぐっ!」
お姉ちゃんは敵に対して刀を振るっていた。そしてその隣で綾鷹さんが部下を片手で相手をしている。
「何なんだこのおっさん!強え!」
「くそっ!何で一度もこっちの攻撃が当たらねーんだ!」
「お前達に本気を出したらかわいそうだからな。片手で十分だ。攻撃は単調。コンビネーションも取れていないような奴らに俺に触れることができると思うな。」
そう言って片手で2人を追い詰めて行く。そして私は……。
「オラオラオラ!そんなもんか小娘!」
「うっ…私だって……私だってやる時はやるんだから!」
私は距離をとった後、ナイフを数本投げた。だがそんな単調な攻撃が当たらないことはわかっているだから……。
「なっ何だ!ナイフの軌道が急にっ!」
「私を甘く見たのが貴方の敗因よ!」
予めナイフの柄と指輪に繋いでいたワイヤーを操り部下を追い詰め大木に縛り上げ腹に強力な(綾鷹さんに教えてもらった)拳を放つ。
「よし。」
そしてその時、凌君と大神が戦っているはずの方から轟音が鳴り響く。
「えっ?」
私が目にしたものは凌君が大木にもたれかかり座り込む姿だった。
「凌君!」
「凌!」
私はすぐに凌君に駆け寄ろうとしたけれど……。
「おっと。近寄ったらあかんで夜城 春!彼奴は敗者や。敗者にはなにも与えられへんし、何も手にすることは出来ひんねんで。」
大神が私の目の前に急に現れ、顔を近づけた。
「っ!」
私は反射的にナイフを投げるももうその場にはおらずいつの間にか私の後ろにいた。
「危ないな~。女の子がそんな危ないもん持っとったらあかんねんで。」
「これで私は身を守っているの!ヤル気なら相手してあげても良いんだよ!」
「お前が?俺の相手をする?何を言うとんねん。ほれ、見てみ!あっこで座り込んどるんは鏡見や。お前達を守っとったあいつがあれやで?お前がどれだけ頑張ろうとヤル気やろうとも手も足も出されへんねんで?」
「そんなことやってみないとわからないよ!」
とナイフを逆手持ちし、大神に斬りかかった。
「おっと。危ないの~。」
大神は、私の連携攻撃を軽々と避けて行く。当たる気配もなく。変則的にナイフを投げても大神を避けるように飛んでいってまう。
「捕まえたで!あんまり手こずらせんといてくれや夜城 春。」
そして大神は両手首を掴むと木に押しつけるように迫った。
「大人ししてくれへんかな?あんまり、女の子に手あげたくないねん。わかってくれや。」
「そんなの関係ないでしょ!私はまだ諦めてないんだからね!」
と腰を浮かせて膝蹴りを顔にお見舞いしてやろうとしたけれど大神に軽く受け止められてしまったがこれで終わりじゃない。押さえつけられていた手を振り払って、足首に隠しておいたナイフを素早く抜き取り投げると大神の頬をかすめた。
「っ!」
だが甘かったそんなことでどうにもならなかったのだ。猛獣が怒り狂った眼をしてすぐさま反撃に入り首を掴み上げる。
「ぐっ!」
「ええ加減にせえよ!俺もそんな大人ちゃうんやぞ!それぐらいにせな……!」
「なに……するつもり。手をあ…げるの?女の子……には手をあげないっ…て言ったのは貴方よ?」
「だから言うてるやろ?俺はそんな大人ちゃうって。」
大神は、顔の横に平手を構える。もう無理だと思った。お姉ちゃんは私が寝かせておいたはずの部下と2対1でやりあっているし、綾鷹さんは、部下の悪足掻きに足止めされていて私を助けることは出来ずにいる。
「安心せえ。殺しはせん。ただ、足掻かれへんように痛めつけれだけや!」
「うっ!」
その瞬間、大神の平手が私を襲う。私はその時目を閉じ歯を食いしばり痛みに耐えるけれど何の痛みもなかった。
「なっ…何でや……何でお前が!?」
大神の動揺したような声が聞こえたそしてもう一つ……聞き覚えのある声が…。
「ハァハァ。言っただろ大神。俺は春を…春達を……守るって!」
凌君が大神の腕を掴み、私に当たる数センチ手前で止めている。
「凌……君。」
「大丈夫か春。心配するなよ。俺はこんな奴に負けないからよ!」
凌君は額から血を流して体中傷だらけだった。だけど……。
「何でや……何で動けるんや!あの技くろうて立つなんてどんな体しとんねん!!」
「残念だったな。俺の取り柄は体の頑丈さと諦めの悪いところだよ!」
「くそっ!!」
大神は凌君の腕を振りほどき距離をとった。
「春。下がってろ。俺が今からあいつをぶっ飛ばす!」
凌君はそういいながら指をパキパキと鳴らし、大神と向かい合うように立ったのだった。
「俺もそろそろ本気でやらないとダメだってわかったよ。だから今からは全力で行く!」
「ぬかせ!!さっきまでのが本気とちゃうやと?ならあの攻撃もよけれたはずや!何で避けへんかってん!」
「避けたら……かっこ悪いだろ!勝負から逃げたみたいで!」
「……………ぶっははははははははははははぁぁぁっ!何やその理由……。おもろいでおもろすぎるは鏡見お前みたいな奴は初めてや!よし!わかった、んなら勝負といこうや。」
「俺が今出来る最高の力で相手してやるよ!」
「こんかい鏡見!」
大神はまたもあの時のフォームをとると辺りの木々を足場に縦横無尽に跳ね回り俺を圧倒する。大神のスピードには付いていけない、だけどチャンスはある。身を丸く縦横無尽に来る攻撃を防ぎ続ける。
「そない亀みたいに丸まっとっても意味ないぞ!」
「……。」
「なっ!?」
「捕まえたぞ大神!」
腹にめり込む拳をがっしり両手で捕まえ満面の笑みを見せる。そして右手で大神の腕を引寄せると左拳を大神の腹に注ぎ込む。それは今まで溜めていた力を解放した拳で打たれた大神の体は俺の頭上まで浮いた。
「ぐはっ……」
「まだまだぁ〜っ!」
宙に浮いた大神の体を引き戻すように右腕を引き戻し大神の襟首を左手で掴み渾身の力で膝蹴りを入れる。そしてくの字に折れる体に追い打ちをかけるように蹴り上げ意識を断ち切るように顔面を殴りつける。
「『閃空拳』」
頭が後ろに跳ね返り体が仰け反り地面に叩きつけられトラックに跳ねられたように跳ね回る。
「はぁーはぁー。(頼むぞ、今のは結構マジでやらせてもらったんだ…立つなよ……もうギリギリだ。)」
「ぐうっ………がっ。はぁはぁ。まだや…まだやっ!」
地面に転がっていた大神は獣のように指を地面に突き立て体を沈め後ろに引っ張る。あの時された技よりもやばいものが来るとそれを見ただけで察した。俺は右拳を引き込み力を溜める。俺はこの時ただただあの人達を守りたいと思った。俺の後ろに『春』がいる、自分の守りたい存在がここにいるんだという現実と事実が俺に力を、勇気をくれる……気がした。
「お前は絶対ここで死んでもらう!この先俺らの邪魔はもうさせへん!ここで死ねや!」
「ゴタゴタ言ってないで来いよ大神!」
大神は俺のことをジッと見たあと地面を抉る程蹴り飛ばし弾け飛ぶように迫って来る。逃げるなんてしない、そもそも逃げる力なんてない。俺は真正面から迎え討つそれしかない。
「俺は……お前に負けるわけにはいかねぇーーーんだよ!!」
「死ねや鏡見ぃぃ!」「『崩山掌』」
「負けられないんだよぉぉぉぉ俺はぁぁ!!」「『桜花正拳』」
俺の拳と大神の掌底が正面からぶつかり合いその衝撃で周りの物が飛ばされて行く。力と力のぶつかり合い。意地と意地のぶつかり合い。それに勝つことが出来るのはより強い力を持つ者…より良い想いを持つ者。想いは力になる。誰かのためになんて想う奴は弱い奴だと誰かが言うけれど俺はなそうは思わない。だって今ここで俺の力になっている。春を想うだけで……力があふれてくる。こんなこと今までに一度もなかった。師匠と組手をした時も大会で負けそうになった時もこんなことはなかった。ここに春がいるから。ここに俺の『大切な人』がいるから。拳が前へ進む。体が。足が。前へ!前へ!!前へ!!!
「!?(何やねんこの力!!ありえへん!俺が力で押し負けとる!?)」
「うぉぉぉぉぉおぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!」
そして俺は拳を無理矢理振り切った事で大神の腕はへし折れそのまま殴り飛ばした。大木にぶつかり、大木が折れてしまうほどに衝撃があったようで大神は立ち上がってくることはなかった。
「はぁはぁはぁ……やっ……たのか?」
「凌くーーーん!!やりましたよ!あの大神を倒したんですよ!」
「よっ…………よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は春と大喜びしハイタッチまでしてしまうほどはしゃいでしまっていた。
「こっちも終わったぞ凌。」
「本当最後までしつこかったぜあいつらは。」
「師匠の方も終わったんだ。やけに時間かかったみたいで。」
「なかなかしつこくてな。それの相手をしてたらな時間をくった。どうだ?俺が見るに何か進展があったように思うが。」
「それが春を守ってやりたいって、そう思ったら体の奥の方から力が湧き上がってきたんだよ!」
「そうか。お前の戦う理由……。志が決まったみたいだな。その想いがお前をもっと強くするぞ凌。その想い……忘れるなよ。どんなことがあっても。どんな時でも。」
「押忍!!」
大神の部下は地面に倒れこみ、大神は座り込んだまま。これで終わりだと思ったその時だった。
「起きないか大神。いつまでそので寝ているつもりだ?」
大神の座り込む背後から姿を現した。そいつは黒のフードで身を包み、腰に長剣を携えている。
「せっ……千道……さん。何……でここ……に?」
「決まっているだろう。あいつらの回収だ。だが今はお前だ。お前が負けるとはな輝。」
「すみ……ません。役……に立てなくて。」
「気にすることはない。動けるならまだ動ける仲間と協力して戻れ。わかったな。」
「千……道さん………は?」
「私はこいつらの相手をしなくてはな。」
黒フードを着る千道と呼ばれる男は長剣を俺達に見せびらかすようにフードの外に出して見せる。大神は立ち上がり動ける部下達と共に何処かへ行ってしまった。俺達はそんな大神を追おうとはしなかった。いや、出来なかった。何故か?それはあの男の殺気を身体で……心で感じたからだ。何もしていないはずなのに、一歩でも動けば殺されるという恐怖心が襲ってくる。
「ぐっ……。」
「………。」
「………。」
だがその中で1人堂々とし、腕を組み立っている。それは……綾鷹 真……つまり俺の師匠たった1人。師匠は一歩足を前に出す。
「……私はあまり殺したくはないのだがな。」
「それならこの『殺気』をどうにかしてくれないか。……俺達を殺そうとしてるようにしか思えないがな。」
「動かなければ殺しはしない……だがな。私達の邪魔をする者がいるならここで今すぐにでも殺しておきたいところだがね。」
「なら俺はこいつらを守ってやる責任がある。お前みたいな顔も見せない名も名乗らない奴には俺の可愛い可愛い弟子達を殺させるわけにはいかないからな。」
師匠は、黒フードの方へ歩き出す。その姿は頼もしく、そして勇ましく思えた。
「そうか…では名乗っておこう。お前も名のれ。殺した後、墓標に何と書けば良いのかわからんからな。」
「綾鷹……真だ。」
「『あやたかまこと』だな。わかった。では今から死ぬ奴に名前を教えてやるのは初めてだが……私の名は『千道 大地』(せんどう だいち)だ。覚えておく必要はないよ。」
黒フードは……千道はフードを取り顔を見せた。髪は長髪で夜空のように深い青色をしている。師匠は、千道の間合いまで入る。だが2人は何もしない。ただ睨み合うだけで攻撃しなかった。
「どうした?斬らないのか?」
「斬って欲しいのか?」
「ああ、俺を斬れるもんならやってみな。」
背筋が凍る様な緊張がここ一帯を包み込んだ瞬間、千道は長剣の柄に手を掛けるとゆっくりと刀を振り抜いた。
「師匠!」
「黙れ凌!」
師匠は無事だった。だが少し師匠が真剣な顔を見せた。
「ふむ。半歩避けたか。なかなか鋭い観察力と反射神経を持っているようだな。今日のところはここで帰らせてもらう。お前みたいな奴とはもっと平等な条件の時に戦いたいよ。ではまた会いにくるよ。」
と言って千道は暗闇に消えて行った。その時俺や冬月や春に重くのしかかっていたものがパッと軽くなった。
「師匠?」
「あいつ……わざと避けさせたな。なめやがって。次あったらボコボコにした後、頭が地面にめり込むぐらい土下座させて、後悔させてやる!!」
と1人誰もいない方へ叫んでいた。
「凌君!大丈夫なの?」
春が俺の方に駆け寄り心配そうに顔を覗き込む。
「ああ、大丈夫大丈夫。頑丈なのが俺の取り柄だぜ。あんまり心配するな!」
「心配もしたくなるだろう凌よ。頭から血を流してる奴の心配をするなというのも可笑しな話だがな。」
「やっぱそうだよな。だけどな春、冬月!俺は傷ついても良いんだよ。お前達が今まで傷ついたものに比べればこんなもの……どおってことないぜ!!」
「凌君……。」
「ふむ。だがな無茶はしないでくれよ凌。」
「わかってる。」
そしてこれで今日は終わる。とても忙しく、騒がしい夜は明けた。俺はこの戦いで学んだんだ。力は想いでどこまでも強くなれるってことを。俺はこれを忘れない!春や冬月をこれからも守って行くために。絶対に…………。
続く。




