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不屈のHERO  作者: ポテ男
17/18

episode17

ほんの少しだけ書くスピードが速くなった気がする。(気のせい)

文脈もめちゃめちゃでよくわからない表現が多いかもですが楽しんでもらえれば幸いです!

不屈のHERO episode17


「ちょっと待ちや鏡見!まずは俺から用事済まさせてもらうで。」

大神は俺を押し退けて千道の前に立った。

「どうしてそちら側にいるんだ輝。こっちに来い。」

「その前に聞きたい事があんねん千道さん。あんたを疑っとるわけちゃうねんけどこれだけははっきりさせときたい!正直に答えてや。」


episode17


「聞きたい事とはなんだ?」

「千道さん等は俺等みたいな捨て子を酷い目に合わしてんのか?」

「………何故そんな事を聞くんだ輝。」

「それは……。」

「俺が教えたからな!!」

俺は大神に並ぶ様に立つ。そして大神の顔を見るが少し俯き千道を見ようとしなかった。

「何処でそんな情報を手にいれたんだ?」

「藤堂からだ。彼奴は俺達にペラペラ話してくれたよ。春や冬月の身体の中にある特殊な細胞の事。捨て子や孤児院のもらわれない子供を育てるふりして強制的に人体実験に参加させてる事。そして……涙を流して助けを求めてる子供に手を差し伸べずに殺した事。彼奴は俺が倒した。多分上で床に転がってるだろうな。まあ無事じゃないけどな。」

「そうかい。あの藤堂教授がね。だったらもういいだろうね。説明なんてしなくても。」

「千道さん?」

「輝。鏡見 凌が言っている事は全部本当だ。我々は拾って来た子供を無理矢理実験に参加させその子供の人生を奪ってきた。その中の1人なんだよお前は。」

「嘘や!千道さん!あんたあんなに俺等のこと大事にしてくれとったやんか!!そんな嘘はええねん!ほんまのことが聞きたいねん俺は!」

「だから言っただろ。我々はお前が思っている様ないい大人なんかじゃない。まあ、こんなことを知ってしまった時点でお前は処分の対象だ。せめて苦しまずに死ねる様にはしてあげるよ。」

千道は大神の目の前まで迫っていた。俺は大神の肩を掴み後ろに引き、そしてそのまま千道に殴りかかる。千道は簡単に俺を地面に叩き落とし大神の所へ行ってしまった。千道が刀を振り下ろす。もう間に合わない。

「大神っ!!」

鉄と鉄がこすれる様な金属音が鳴る。俺が振り向くとそこには大神を守る様に千道の刀を刀で受け止める春の姿があった。

「貴方は最低な人ですね!いえ人でもないです!!大神は……いえ、大神くんは殺させません!!」

「忘れている様だから言っておくが私の目的は輝を殺す事もだが君を捕まえる事でもあるんだよ。」

そう言い刀を素早く春の刀の下に潜り込ませ上へ弾いた。

「!」

「『閃空拳』」

千道が後ろに下がってしまったせいで『閃空拳』は当たらなかったが春との距離を離す事が出来た。だけどそれよりも良かった事は大神が春を抱え俺よりも先に千道から離れていた事だ。

「ナイスだ大神!」

「ありがとう大神くん。」

「ええねんそんなん。さっき助けてもろうた借りを返しただけや。それよりも。」

大神は春を下ろすと千道を指差して言った。

「俺はあんたを信じとった。けどあんたからそんな事してるなんて知ったら止めたらなあかん。俺が止めたる!俺があんた等がしてる事全部止めたるからな!!」

大神は迷う様な素振りも見せずに千道に突っ込んで行った。だが千道は避けようともしなかった。

「それだけか?」

「?」

「言い残した事はないな。だったら死ね!!」

大神よりも速く大神に近付いた。大神は止まる事も方向を変えることもできない。俺からだと距離があり過ぎる。『閃空拳』を打とうにも溜めが短過ぎる。それにもし溜めが出来たとしてもあれだけ接近されていたら大神にまで当たってしまう。俺にはどうすることができないだけどこんな時師匠ならどうするんだろうと頭をよぎったその瞬間、俺の前を凄い勢いで通り過ぎる人影。それは俺の知っている中で一番信頼出来、尊敬できる人。千道はまた刀を振り下ろす。

「大丈夫か?ええ〜っと名前は。」

「大神やけど。おっちゃんどうやって。」

「そんな単純なこと聞くな。上まで子供を預けに行って全速力で戻って来た……ただそれだけだ。」

師匠は大神を背に隠す様に立ち千道の刀を手甲で受け止めていた。

「久しいな綾鷹。」

「しゃべりかけんじゃねーぞゲス野郎。子供を殺そうとしたな、子供を何だと思ってんだ、お前が好き勝手していい玩具じゃねぇんだぞ!!」

「ああ、だから何だ?必要なくなったら捨てる。ゴミと一緒だ。」

千道は師匠に言っちゃいけないことを口走ってしまった。

「誰がゴミだって……いい加減にしろよ。」

師匠の周りの空気がドンドン膨らみ部屋全体を包んでいく。その空気は圧となり息も身動きも出来なくなる。

「ぶっ飛べくそったれ!」

師匠は千道の刀を振り払い正拳突きを放つ。千道はその拳を見るなりすぐさま大きく距離を取る。

「凌、春ちゃん。俺がこのゲス野郎の相手するから冬月ちゃんを助けに行ってくれ。それと大神だったな。お前も一緒に行ってくれ。もうお前はこいつらの仲間じゃねーんだろ。」

「千道さん。いやあいつをぜってーぶっ飛ばしてくれよおっちゃん!」

「おっちゃん言うな。ほら、速く行きな。」

師匠は千道と向き合ったまま動くことはなかった。そして千道も師匠と向き合ったまま動くことはなかった。俺、春、大神はそんな2人を横目に下への階段を降りて行った。

「よくあいつ等を行かせたな。」

「私が動けばお前は俺を殺したろ?だからそんな隙を見せるようなことはしなかっただけだ。」

「そうかい。だったらこっからはこの前とは違うぜ。今回はちょっとばかし本気ださせてもらぞ。」

「ああこい綾鷹。この前のように手加減してやる気はない!」


俺達は師匠を上の階に残し冬月を助けに階段を降りる。そして行き着いたのは薄暗い部屋。その奥にカプセルのような容器に入れられた冬月の姿がその周りには白衣を身に纏った研究者達が群がっている。

「何だあのもの達は!」

「何故こんな所にガキがいるだ!」

「前の階にいた千道はどうした!」

口々に話し始める研究者達。だがそんな奴等に手加減するつもりはなかった。だってもう目の前に冬月がいるのだ。後もう少しで冬月を。

「行くぞ春!」

「うん!」

「俺も行くで!」

俺達は一斉に飛び出したそして先手を売ったのはこの俺だった。

「『閃空拳』」

それに続くのは大神。

「『影身』+『崩山掌』」

大神は三手に別れ目の前にいる研究者達に『崩山掌』をぶち込んだ。そして追い打ちをかけたのが春だった。

「行きます!」

一筋の斬撃があらゆるものを斬り倒して行く。そして最後の1人が残る。

「この化物ども!お前らなんてこの冬月が殺してくれる!さあ今すぐ目を覚ましてこいつ等を殺してしまえ!」

研究者が意味のわからないことをベラベラと話した後冬月が捕えられていたカプセルの液体が抜かれて行った。そしてその液体が一滴残らず抜かれた後、カプセルを割り外に出る冬月。

「はははっ!やってしまえ冬月!こんな化物!お前の力で殺してしまえ!」

「黙れ!!」

その瞬間、冬月は研究者の首を掴むとその隣にあったパイプを掴み研究者の身体に突き刺した。研究者は何の抵抗もなく死んでしまった。そしてカプセルの隣に置かれた服を着る冬月。明らかに冬月の様子がおかしい。何といえばいいのかわからないが違和感を感じる。春の顔色を伺っても困惑しているように思える。全身を黒の長袖インナーシャツとスパッツ。手足には手甲を模した防具が装備されていた。そして服と一緒に置いてあった長剣を手にしてこう言った。

「お前達は誰だ。」

と。驚きで口を閉ざす事ができない。この短期間で彼奴らに何をされたのかはわからない。だけど記憶を消されたのはわかる。俺は冬に近付いて言った。

「俺の事がわからないのか?」

「ああわからない。」

「春は!春の事はわかるだろ?」

「いや、わからない。春とは一体誰だ?」

「お前の妹だろ!春はお前を助けるためにここまで来たんだぞ!俺だってそうだ。」

「誰もそんな事は頼んでないが。」

今の冬月に何を言っても無駄な気がした。俺は取り敢えず冬月に近付いて一緒にここを出る様に言おうとしたその時だった。

「ああああっ!がぁあああああああああああああああっああ!!」

冬月は頭を抱えて叫ぶ。

「冬月!」

「お姉ちゃん!!」

俺達が冬月の元へ駆け寄ろうとした時横に倒れていた研究者がとんでもない事を口にする。

「成功だ。これでもう私も助かる事はないがそれでいいのだ。あの娘は殺人兵器として生まれ変わった!ここにいる全員を殺さないとあの娘は止まらない!ふふっ。ふははははっ!」

俺は立ち止まっていただが春は冬月に寄り添おうとしていた。

「待て春!今の冬月に近寄るなっ!!」

「えっ?」

冬月が叫ぶのをやめて笑みを浮かべるのが見えてしまった。そして次の瞬間。冬月は実の妹を斬った。俺は冬月がやっていることがわからなかった。理解できない。思考が停止した様にボーッとした。

「夜城 春っ!」

大神の声でハッと我に帰りゆっくりと後ろに倒れる春を大神が滑り込み受け止める。だがそれに追い打ちをかける様に冬月は刀を逆手に持ち突き刺そうとした。俺は冬月にタックルしてそれを阻止する。だが冬月は体制を立て直しまたゆっくりと近付いてくる。

「冬月!お前どうしたんだよ。」

「私は………実験体『112号』。ここにいる全ての物を破壊する。」

冬月は刀を振りかざしながら襲いかかる。

「大神、何処かに春を連れて隠れてろ!俺は冬月の相手をする。」

「何いっとんねん、お前1人で何とかなる状況とちゃうやろ!」

「わかってる。だけど今お前が参加したら春を誰が守んだよ!」

冬月は容赦無く刀を右へ左へと振るった。俺は手甲で受け流したりして回避し続ける。だがここまで防戦一方な状況が続けば確実に冬月に殺される。俺は冬月を突き飛ばし一旦距離を取った。

「………。」

今の冬月は正気じゃない。ここにいる研究者に何かされたとしか考えられない。ただ俺達の事を忘れている所を見ると頭を弄られてる。人の記憶は自然と薄れていく、だがそれを消したとしても完全に消す事なんて出来ないはずだ。その記憶を思い出させてやれば元に戻るはず。…そんな回りくどく考える中で俺はこの状況に似た記憶を思い出す。

「なあ冬月。こんな風に向かい合ってるとあの時を思い出すな。冬月と春に初めて会ったあの公園の事だよ。」

「.........。」

「あの時は俺、本当に死ぬかもなんて考えたんだぜ。それからは巨人を倒す為に一緒に戦ったよな。確かその時、俺がお前に怒鳴ったの覚えてるか?」

「.........。」

「俺あの時が初めてだったんだぜ女の子に怒鳴ったの。その後、俺の看病までしてくれたり、俺や師匠に自分達の辛い話をしてくれたよな。俺はお前を守ってやるってそこで約束したんだ。……けど約束…守れなくてお前はあいつらに…千道達に捕まってまた酷い目にあった。だからさ今度こそ約束するよ、俺が、俺達が命に代えても守る。だから一緒に帰ろう冬月!」

俺の言葉は冬月の耳には届かなかった。必死の言葉も冬月の容赦無い攻撃の前では無駄だった。冬月に手をあげるわけには行かず冬月の攻撃をひたすら避け続けるしかない。だが冬月の剣技は時間が経つにつれスピードやキレは増して行き受けきれるものではなかった。俺の身体は急所を僅かながら逸らしてはいるものの傷だらけで不可解なものばかりわざと逸らされている様な攻撃が続く。そんなふとした疑問に冬月の顔を見る。そこには瞳から大粒の涙を溢す冬月の顔が見えた。

「お姉ちゃん!!」

「!」

大神と立ち上がる春。さっき冬月に斬られていたように見えた春の身体には何処にも刀傷はなかった。

「お姉ちゃんっ!私は覚えてるよ。お姉ちゃんと過ごした日々も。施設の追手からいつも守ってくれたお姉ちゃんも。凌くん達と出会ってからのお姉ちゃんも。照れ隠しに暴力に頼っちゃう可愛いお姉ちゃんも。全部私は覚えてるよっ!」

冬月の動きは少しつづ鈍くなっていく。その過程で顔を押さえ想いを振り払う様に左右に頭を振る。だが顔を押さえる手の隙間から見えるのは冬月の瞳から零れ続ける涙だった。

「春っ!今、冬月は自分と戦ってるんだ、自分じゃない自分に必死に争ってるんだ!俺達は外からそれを手伝うぞ!!」

「うん!」

俺と春は同時に構えた。すると冬月は想いを振り払い刀を握り直し迫ってくる。俺が先に飛び出し抱きつく様に冬月の身体と刀を抑え込む。その隙に春が冬月の背後から抱きしめる。

「お姉ちゃん…私だよ、春だよ。戻ってきてよお姉ちゃん。お姉ちゃんがいないとダメなんだよ。お姉ちゃんがいないと寂しいよ。凌くんがいて綾鷹さんがいて私がいてお姉ちゃんがいないとダメなの。だからお姉ちゃん…戻ってきて。」

冬月の耳元で囁かれる春の願い。その瞬間冬月は暴れ出した。俺はすぐに刀を奪ったが玩具が壊れたかの様に不規則に動き春を突き離し床を殴り続ける。俺はすぐに冬月に近付き拳を抑えた。拳は皮が剥けて血が流れ、冬月の目からは涙が流れ続ける。

「冬月、俺はここにいるぞ!もう少しだ!!戻って来い!!」

「お姉ちゃん!私もここにいるよ!ここでお姉ちゃんの事待ってるよ!!」

「……りょ………う?……は………る?」

「そうだぞ!俺はここだ!春もここにいる!早く戻って来い!!」

「あああああああああああああっああ!!」

涙を流し頭を抱え泣き叫び暴れる冬月。俺と春はそんな冬月を抑えることしか出来ない。そして一頻り泣き叫んだ後糸がきれた人形の様に冬月は倒れた。

「お姉ちゃん?」

「………大丈夫だ。多分気絶してるだけだから。」

「……うん。ここを出よ凌くん。お姉ちゃんの手当もしたいけどそれよりここから早く出たいよ。」

「そうだな。大神!お前はどうする?一緒に来るか?」

「……そうやなぁ〜。俺もここにおられへんからなぁ〜。一緒におってええんか?」

「俺はいいぞ。春は?」

「私もいいよ。だって大神くんも私達と同じだから。」

「……ありがとうな。ならここからでよか!!」

俺は気絶した冬月を背負って立ち上がり階段を登る。俺の前を春と大神が先導しながら階段を走って登る。そして俺は思った。ここから脱出できたらまた師匠や冬月や春。それに大神も加わってまた一段と楽しい日を過ごすことができるんだなと。


だけどこの先。『鏡見 凌』にはそんな日々は訪れない。それは今の彼には知る由もないことだった。


続く。


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