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不屈のHERO  作者: ポテ男
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episode16

ゆっくりゆっくり投稿して行きます。

不屈のHERO episode16


私の前をフラフラと歩く凌くん。今彼が何を考えているのかわからない。いやわかる……はずなのにそれが本当なのか真実なのかと自分に問いかけてしまっている。私はこの先どうしたらいいの。


episode16


私達が階段をゆっくり降りて行くとまた大きい部屋に行き着いたそしてそこにいたのは。

「遅かったの〜鏡見。まあそんなんどうでもいいねん。ほなやろうや前の続きしよ!」

大神。だけど今の凌くんは戦えない。私は凌くんの前に立った。

「凌くんは下がってて。私が相手だよ大神!」

「なめとんのか夜城 春。男と男の戦いに出しゃばってくんなや!!」

「だからどうしたの?私は今の凌くんを戦わせる訳にはいかないの!」

「俺は鏡見と戦うんじゃ!!神経が研ぎ澄まされる…身体が震える…血が騒ぐ…俺の身体はその男と戦り合いとうて言う事聞かへんのじゃ!だから今は女なんていらんねん!そこどきや!!」

私はそんな大神の言葉に耳を貸さずに刀を抜き構える。すると私の肩に手を置く凌くん。

「どいてくれるか春。俺はあいつに聞きたい事があるんだ。」

「…けど凌くん。」

「大丈夫。もう大丈夫だよ。」

そう小声で私に言いフラフラと前に出て行く。

「そうや鏡見!そうやないと面白ないやろ!さあ、行くで!!」

大神は床を蹴りジグザグに部屋を走り凌くんの懐に安々と入ってしまった。

「凌くんっ!」

「遅いで鏡見っ!!『崩山掌』」

大神の掌低は下から突き上げるように繰り出され凌くんを襲い鈍い音が部屋を包む。

「なっ!」

凌くんは大神の掌低を防いでいた。掌低に掌低を合わせて相殺したように思えたが今の凌くんにそこまでの事ができるのか。それとも無意識でそこまで出来るようになっているのかわからないが今の凌くんにはどっちにしろ難しい事だと思った。凌くんは大神の手を握りった。大神はすぐに距離を取りたがっていたが凌くんはその手を離さなかった。

「大神……お前は知ってるのか?」

「何がや。そんな事より離せや!」

「藤堂って奴が……お前みたいに拾われた子供達を使って実験してること。」

「そんなん知らんわ!そんな事より離せやほんまに!」

「その拾われた子供達に酷い実験をして人でなくしその子達の人生を奪って自分の好きなように身体を弄られて泣いて、謝って、縋っているのに実験をやめないここにいる大人の真実を知っているか?」

「ええ加減にせえよ!手離せ言っとんねんっ!!」

「いいから答えやがれ大神っっ!!!!!」

凌くんの怒声が部屋に響き渡り大神は抵抗するのをやめた。

「頼む……答えてくれ大神。」

「……あり得るわけないやろそんな事。千道さんも藤堂のおっさんもめちゃええ人等やねんぞ…そんな俺等が嫌がることするわけないやろ!」

「だけどそれが事実だったどうする?」

「事実な訳あらへん!現に俺はそんな事知らんしそんな実験されたことないっ!そんなこと言うくらいやから証拠でもあるんやろうな!」

「だったら今すぐこの上の階にある壊れたロボットを見て来い。それで真実がわかる。」

凌くんは大神の手を離して大神を無視して先に進む。

「おい待てや!俺は騙されへんで!上の階におるんはお前等が倒した子供やろ!そんな手に引っかかる程俺はアホちゃうで!」

大神は凌くんを後ろから襲い掛かる。

「凌くん後ろっ!!」

私は叫んだ。けど私が叫ぶよりも早く凌くんは対応していた。後ろを振り向き大神を避け大神から少し距離をとっていた。

「俺は嘘なんて言ってない。」

「嘘や!そんなん真実なわけあらへん!」

「だったらその優しい優しい千道さんに真実を聞きに行けばいいだろ!!」

「バカにしとんかお前は!」

「ああ、してるよ!お前が何も知らず能天気に馬鹿なことばっかり口にしてるからイライラするんだよ!!」

「ええ加減にせえよ鏡見!」

大神が先に仕掛けた。だけど私はあんな凌くんを見るのは初めてだった。全く無駄がない動きをしてみせた。大神の掌低を懐に潜り込む様に避けそして大神の顎に掌低を置いて一気に突き上げると大神は少し宙に浮いた。その瞬間凌くんはガラ空きになった腹部に2、3発正拳突きをいれとどめにクルリと身体を回転させて後ろ蹴りをねじ込む。大神は宙に浮いたまま下の階に行く為の扉の前まで吹っ飛んだ。

「大神。俺はさっき藤堂から全てを聞いた。ここに師匠がいないのは藤堂に捕まっていた子供を助けて上に逃がしに行ったからだ。俺の言うことが嘘だっていうなら千道のところに行って聞けばいい。俺は前に進む。冬月を助けにな。」

私は少しだけ安堵していた。大神の方にフラフラと出て行った時、凌くんは大丈夫と言っていたけど私はまたさっきの様に暴走するんじゃないかと刀に手をかけてしまっていた。そのせいで手は汗でびっしょりと濡れていた。けどそんな心配を他所に今までで一番いい動きを見せた。さっきの感情だけで暴れまわっていた時とは比べ物にならないほど落ち着き全てに対処していたその背中を見て不安だったことが解決してドッと疲れた気がする。

「春。行こう。」

そう言ってこちらを見ていた。私が近付くと私にこう言った。

「さっきはごめん。もしかしたら……いや確実に心配させたよな。もう大丈夫だから心配しなくていいぞ……本当だぞ。俺はもうあんな風に取り乱したりしないから。」

「うん。」

私はその言葉を信じた。凌くんの表情は穏やかでいつもの真っ直ぐな瞳をしていたからだ。私達は大神を避けて並ぶ様に歩き出した。

「ちょっ……と……待てやっ!!」

腹部に手をやりよろめきながらも立ち上がった大神。次に行った言葉は私は予想もしていなかった。

「俺も行くで!鏡見、お前がゆうたことが真実かどうか確かめたる!もしそれが嘘やった時はお前を殺すよりも酷い目に会わしたるからな!!」

「……わかったよ大神。千道の所まで道案内してくれるか。それと肩を貸してやろうか?」

「うるさいわボケ!1人で歩けるわい!」

そう言うと大神は私達の前を歩き出し先導して行く。私達もその後を追って行く。私には正直凌くんには驚かされている。さっきまで戦っていた大神と今では同じ方向に向かって歩いてる。こんな不思議な事が凌くんにはできてしまっている。私はまた一つ凌くんの凄い所を見つけた。私はこの男の子にまた少し心を燻られていた。


藤堂の時とは気分が違う。何でこんなにも吹っ切れているのか、自分でも不思議で仕方が無い。だけど俺が吹っ切れた理由を考えるなら二つだけだろう。春の言葉と正面からぶつかってくる大神。2人はあんな状態の俺を元に戻してくれる。春の言葉は俺にいろんな事を気づかせてくれる、大神は俺が不安に思っている事、悩んでいる事、信じたくない様な事を忘れさせるほど俺に真っ正面からぶつかってくる。これだけで俺は何とか出来ると思えた、いや現に何とか出来ている。俺はこんな単純なことで前に進めるんだと心の中で呟いた。そんなことをしている間に次の部屋に着いた。大神は立ち止まり、春は刀に手をかける。そして俺はその男を睨みつけた。

「ここまで来たか鏡見 凌。だけどこの先には行かせる訳にはいかないんだここで……死んでもらえるかな。」

「こんな所で死ぬつもりはない。たとえここで死ぬ様なことがあるならそれは冬月を助け出してからだ!」

千道は刀を抜き構える、俺は拳を作り千道に突き付ける。


続く。

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