7頁目 忘れ物
7頁目です!よろしくお願いします!
工房の閉店後。
街の明かりもまばらになった頃、少女はふと立ち止まった。
「……あ。」
忘れ物をした。
小さくため息をつきながら、石畳の道を引き返す。
昼間の賑わいが嘘みたいに静かな夜だった。
工房の前まで戻ってきて、少女は少しだけ目を丸くする。
「あれ。」
窓の向こうに、明かりがついていた。
もう帰ったと思っていた。
今日は納品も無いし、珍しく早めに切り上げると言っていたはずなのに。
少女はなんとなく、そっと窓から中を覗き込む。
ランプの灯りに照らされた工房。
机の上には設計図と工具。
その真ん中で、男は一人、黙々と作業をしていた。
金属を削る、小さな音。
普段より静かな空気。
———そういえば。
一人で作業している相棒を見るのは、久しぶりかもしれない。
いつもより少し真面目な顔をしている。
今持っているのは——ははぁ、ヤスリね。
あ、持ち替えた。
今度は……ペン。何かを思いついた顔。
相変わらず楽しそうに書くなぁ。
でも、手が止まった。
あ、コーヒー飲んだ。
……次は、一回上を見るはず。
ほら見た。
また手が動き出す。
なんだか…昔の相棒思い出すなあ。
たまたま、道端の露店で見かけた人。
どこにでも売ってそうな、アクセサリーを並べてた。
でも、細かい丁寧な装飾に、何故か心が惹かれた。
それから、そこを通るたびに何度も見かけた。
売る気がないのか、ヒマを潰すようにスケッチをしながら座る姿。
たまたま工房を見つけたときは、気づいたら弟子入りしてたっけ。
あの時の露骨にイヤそうな相棒の顔。懐かしい。
……ふふ。と小さく笑うと、満足気に窓元を離れた。
さぁ。
明日は何作ろうかなっ。
石畳の音は、妙に明るく響いていた。
あ、忘れ物!
少し手法を変えてお送りしました
いかがでしたでしょうか
いろいろ試せるのも短編集の良いところですね




