28頁目 お花見
28頁目です
申し訳ありません。予約投稿したつもりができていませんでした。
開けた窓から心地よい風が入ってくる。
工房の外に見える桜も、ようやく咲き始めてきた。
少女は、ぼんやり景色を見てから、何かを思いついたのか顔を明るくした。
「相棒、お花見しましょう!」
「……仕事は?」
突然の提案に男は戸惑っている。
「今日はお休みにします!」
「誰が決めた。」
「私です!」
「お前な…。」
もう分かっている。言い出したらどうせ止まらない。
「花見って…何するんだ。」
「お弁当作ります!待っててください。」
そう言うと、少女はエプロンをかけて台所へ向かった。
諦めたように男は試作品を作る手を止める。
「まあいいだろ。どうせ暇だしな。」
男は片付けを済ませると出かける準備を整えて台所に様子を見に来た。
「おにぎり、卵焼き、唐揚げ、煮物…。」
カウンターの上には、色とりどりのおかずと、大きなおにぎりが弁当箱に詰められていた。
「多くないか?」
「お花見ですよ?」
少女は聞き返す。
「二人だぞ?」
「いっぱい食べるでしょう?」
「…まあな。」
二人は弁当箱を風呂敷に包むと、工房の鍵を閉めてお花見に向かった。
「良いお花見スポットありますかね?」
男は少し考える。
「あー…河川敷だったら毎年すごいな。」
「行ってみましょう!」
少女は嬉しそうにスキップする。
男はその後ろを風呂敷を抱えて歩いていった。
「ここなんか良さそうですね。」
「まだ満開じゃないな。」
河川敷の桜は、まだ五分咲きといったところだった。
「人がいなくて良いじゃないですか。」
「それもそうだな。」
「さぁ!食べましょう!歩いたらお腹空いちゃいました。」
「今敷物敷くから待ってろ。」
相変わらず準備だけはいい。
誰もいない河川敷。
桜は静かに風で揺れていた。
「うまい。」
「本当ですか?」
「あぁ。」
「……えへへ。」
大きな唐揚げに大きなおにぎり。
桜の形に切った煮物のニンジンが、お花見をより盛り上げているように思えた。
「ところで相棒。」
「なんだ?」
「桜って、どうやってあんなにいっぱい花を咲かせるんでしょう?」
「知らん。」
「蒸気石とか使ってるんですかね?」
「植物に蒸気石を埋め込むな。」
少女は突然、立ち上がり言った。
「そうだ!桜の花びらのブローチとかどうでしょう!春の新作!」
「ありきたりだな。」
むぅ、と少女はふくれっ面になると、唐揚げをひょいとつまんで頬張った。
帰り支度。
お弁当はキレイにたいらげた。
風呂敷を抱えて、河川敷を上がる。
少女は、男の服についた桜の花びらを見つけると、パッとつまみ上げた。
「来年もまた来ましょうね。」
「……来年?」
「はい。」
「まあ……悪くねえな。」
春全開です
明日29頁目公開予定です。間違いなく更新しますので、ご拝読のほどよろしくお願い致します




