18頁目 大掃除
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年の瀬。 蒸気街は年越しの準備に明け暮れていた。
クリスマスの鮮やかな飾りを外し、門松としめ縄の準備をする。
工房も例外なく、年末の大掃除に追われていた。
「相棒ー。これは捨てていいですかー?」
「ダメだ。」
師匠と弟子も、一年で溜まりに溜まった工房の不用品の片づけをしている。
「じゃあ、これは?」
「ダメだ、まだ使う。」
さすがに弟子は痺れを切らした。
「もう!全然片付かないじゃないですか!」
「全部いるものなんだから仕方ないだろ。」
「あ、さすがにこれは……。」
弟子は布の端材のようなものを手に取った。
「それもとっといてくれ。」
「絶対にいらないですって!」
男も決して、捨てられない人間というわけでもない。 ただ、いつか使うかも、だとか、ふいに必要な時が来るので、ついもったいなく感じるのであった。
捨てられないものはしょうがない。少女は諦めて、せめてわかりやすいようにラベルをつけた箱にしまっていった。
「じゃあこの箱にしまっておくので、必要になったら見てくださいね。」
「おう。……ラベルになんて書いたんだ?」
『いらないもの』
「おい。」
「だってそうでしょ。」
「だからいるんだって。」
「いりませーん。」
男はおもむろに箱を奪い取ろうとする。
しかし少女は自分のほうにしまい込むと、笑顔のまま走って逃げた。
狭い工房の中を追いかけっこする二人。
「ぜえぜえ、もういい。ホコリが舞う。」
「……掃除の続きしますか。」
棚の上や机の本の間にも、意外とホコリは溜まっていた。
少女は丁寧に雑巾で拭き、バケツで洗って絞る。
男は商品ケースの中身を整理していた。
作ったものの、売れ残ったアクセサリーたち。
「どうします?それ。」
「場所取るんだよな。」
決して出来は悪くない。
しかし、こういうものは買い手との巡り合わせもある。
「仕方ない。時期的に福袋にでもしちまうか。」
「え、福袋って特別な商品入れるんじゃないんですか?」
「あんなの、売れ残りの詰め合わせだろ。」
「夢がない…。」
二人はせっせと袋に詰め合わせる。
「なんだが…申し訳なくなってきました。」
「それが福袋だ。」
「せっ!せめて可愛く梱包しましょう!」
少女は袋に小さなリボンを結び、小さな札を書く。
『新春福袋』
「…これでよし。」
男は横で、その様子を見て少しだけ口元を緩めた。
「売れ残りだけどな。」
「福袋です!」
男は並んだ袋を見た。
「…まあ、福袋か。」
工房の窓の外では、商店街の人たちが門松を立てている。
新しい年は、もうすぐそこだった。




