6話 弱者と強者
父親に嵌められ、高校に入学した主人公、黒鉄新庄はコンビニで早江と事件に巻き込まれた。事件は無事解決したが、早江は気絶してしまった。早江が起きると、黒鉄の口からは衝撃の事実が....
それから10分後に警察と救急車が来た。
警察からの事情聴取もあるだろうが、ひとまず救急車に同行して早江を見守ることにした。
まあもちろん気絶しただけなので、早江が起きるのを病院で待つだけだった。
それにしても目覚めた時に早江に話しかける第一声が思いつかない。
「あれ….ここどこ?」
「今、第一声をどうしようか悩んでたところだ」
「第一声がそれになってるけどいいの?で、どうなった⁈」
「俺が犯人を取り押さえて、無事事件は解決した」
「すごいねー黒鉄くんは」
「そうか、俺はお前の勇気に感動したぞ」
「そうかな、私は口だけだよ本当。事件を解決した黒鉄くんの方が」
「いや、お前の行動に感動したから俺は動いた」
「黒鉄くんなんかめっちゃ強くなかった?」
「特訓させられてたからな」
「特訓?」
「ああ、俺たち4大企業は襲撃されるのがしょっちゅうなんだ」
「え?なんで?」
「俺たちの会社は株式会社だ。だから俺たちの誰かが殺されれば、株価の変動が起きる。それを逆手にとって事前に株を買っといて儲けようとする輩がいるんだ」
まあ、それは表向きの話なんだがな、実際は企業が裏に手を回して襲撃事件を起こしてるというのがよくある話だ。
「大変なんだね」
「ああ、中でも黒鉄家の特訓は特別なんだ」
「かなり厳しいの?」
「厳しいわけではない。4大企業の能力を知っているか?」
「聞いたことあるよ。4大企業はそれぞれ能力を持っているって、でも能力の内容は明かされてないから都市伝説なんかじゃないかって噂もあるよね」
「能力は実際に存在する」
「本当⁉︎じゃあ黒鉄くんも能力持ってるの?」
「いや、俺は能力なんて持ってない。四大企業の内、黒鉄家だけが能力を持っていない」
「え.....」
「だからこそ、黒鉄家はある名前で呼ばれることが多いんだ」
「ある名前って?」
「他の3社が能力を持っているのにも関わらず。実力だけで3社を凌駕した。その他周囲からは『実力の黒鉄』と恐れられている」
この前金子とレストランで能力の話をされた時は、俺は新鮮な反応をしていたが、もちろんあれは演技だった。俺は実はこの事を随分前から知っていた。
「そんな事を私に伝えてしまっていいの?」
「ああ、だってお前は父上の執事の娘だろ?」
「?」
「大前提として、お前は俺を嵌めるために騙したんじゃない。知らなかっただけなんだ」
「なんの話?」
「お前の父の職業は?」
「確かに黒鉄カンパニーに働いてたけど、執事ではないよ?」
「4大企業の秘書は秘書だという事を大体隠しているぞ」
「でも、それだと私の父が秘書だって」
「実はあいつの本当の名前も小江木なんだよな」
「でも、私にお父さんが隠し事をするわけない」
おそらくお前は俺とは違って普通の人生を送っているのだろう。
父から愛されてたんだな。
「父から愛されてるみたいだな。秘書は俺の父との話で前にこう言ってたんだぞ」
「?」
時は俺が小学生の時、俺は父の部屋で盗み聞きをしていた。
「うちの子可愛くないですか?」
何やら秘書がスマホを俺の父に見せていたようだ。
「俺もそんな感じで育てられれば良かったな」
「すいません!こんなの見せてしまって」
「いいんだ。自慢の娘の名前は早江だっけだったか?」
「はい、今も元気に学校に通っています」
「とてもいい子だな。やっぱりお前の決断は正しかったようだ」
「はい、黒鉄家との関わりを一切持たせないと決めて良かったです」
こんな話をしていた事を早江に伝えた。
「秘書はお前に元気に普通の生活を送って欲しかったんだ」
「そうね、お父さんらしいね。いつ秘書さんの娘だと気づいたの?」
「お前の勇気を見たからだ。あの正義感は秘書と似ていたからな」
「確かにそこは父親譲りかも」
「今回お前に、この話をしたのには深い意味を持っていない。だからこの話を聞いたからって何もしなくていい」
「いや」
「?」
「決めた!私、黒鉄くんの秘書になる!」
「は?なんでそうなった⁈お前が秘書になるんだったら、お前のお父さんの気持ちを無視する事になるぞ?」
「いや、私のお父さんは私の行きたいように生きろって言ってくれた。だから私はあなたに付いていく」
「一つ忠告しておく。俺の秘書になるならおそらくお前も危険な目に遭うかもしれない、その時は俺はお前を助けられる保証はないぞ?」
「私はそれでもついて行く」
「その気合いはどこから来るんだ?」
「私はさっきの強盗事件、叫ぶことしか出来なかった。誰かを助けたいのに何も出来なかった。私は弱者です。でもあなたは違った。だからこそ強者であるあなたについて行く。あなたのそばなら私は強くなれる!」
「俺は強者ではないぞ?」
「いや、あなたは私にとって強者です」
「まあ、いい。覚悟はあるんだな?」
「はい‼︎」
早江は一日中入院するらしい。
俺はある人に電話した。
「あなたからかけてくると思いませんでした」
「俺も望んではいなかった」
「で?ご用件は?」
「お前の娘が俺の秘書になりたいそうだ」
「娘にあったんですか?」
「ちょっと事件に巻き込まれてな。それにしてもよくお前に似てるな」
「自慢の娘です」
「ああ、お前の娘は必ず守る」
「頼みますよ」
事情は向こうも気づいていただろう。
それにしても、
「なぁ、親父。お前の選んだ秘書の娘はお前に負けないくらいの変人みたいだぞ?」
そう夜の空に呟いた。
お読みいただきありがとうございます!
そういえば、「強者は全てを支配する」の強者の読み方わかります?なんか友達に聞いたら「もさ」と「きょうしゃ」に分かれたんですよね。
ちなみに今回のタイトルの読みはきょうしゃです。
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