4話 急展開(後編)
レストランで盗聴されていた主人公、黒鉄新庄は盗聴している相手を見破れるのか⁈
「俺たちは盗聴されてる。ですよね、黒幕さん?いや伊藤校長?」
何者かが扉を開けて入ってきた
「なんで分かったんだい?」
「ここからは俺のペースで話させてもらう。まず俺の今持っているこの携帯は俺のものでは無い。あんたのスパイのものだ」
「どこですり替えたんだ?」
「すり替えてなんていませんよ。最初から支給される携帯が入れ替わっていましたから」
「どういうことだ?」
「先に手を打っていたんですよ。俺の部下を教師として送り込んだ。そして元々用意していた端末を俺とお前のスパイに配ったわけだ。」
「『教師として』ですか、例えどんなに優秀なスパイでも、教員になりすますのは不可能では?」
「ああ、普通ならな。」
「はは、あなたのスパイはよほど優秀なようです。」
「なるほど、実は私のスパイから連絡があったんだ。何者かに携帯を入れ替えられたと」
「そしてあんたはこのシステムをスパイの携帯に追加したわけだ」
「いいえ、そんな機能追加していません」
「そうだろうな。あれはあんたを誘き寄せるための嘘だもんな」
「いやー焦りましたよ、間違って変な機能を追加させてしまったのかと」
あんな機能入れてたら本当によ◯実のマルパクリの教育体制だもんな。
「お前は焦ったから、直接話をしに来たんだろ」
「はい、その通りですね」
「あんた、そもそも俺たちを本気で罠にハメようとしたかったわけじゃ無いだろ?」
「そこまで分かっていたとはお見事です」
「罠にハメようとしてるようには見えなかったからな、罠というには浅すぎたくらいだ。それに、こんなズル賢いことする人間じゃないだろ?俺の父上の秘書さん?」
「面白いこと言いますね。なぜそう思ったのでしょう?」
確かにバレる要素は少なかったが、
「お前さぁ、こういうの向いてないって」
向こうがスパイ送った時からバレバレだっつうの!
「バレちゃいましたかー。変装は完璧だったんですけどねー」
変装を解いた姿はまんま俺の父上の秘書だった。
「お前は秘書としては優秀だったけど、こういう頭脳戦は苦手だよなー」
「まあ、今回は穴だらけでしたね。将棋で言えば、王手さえ出来なかったですね」
「で?何しに来たんだよ?」
「あなたの父上からあることを頼まれまして」
「?」
「引きこもりを治すために、学校に行かせてほしいと」
「は?」
「いやーあなたの父上も相当困ってましたよ。なかなか外に出ないから誰とも話せなくなってしまうのかと」
「そんなわけないだろ!俺はなんでもできるぞ」
「だから、私はあなたが学校に行くための刺激的なエサを用意したんですよ。あ、時間です。また会いましょう」
「おい逃げるなー」
「あ、一つ父上から」
「ん?なんだ?」
「高校を卒業しなかったら社長は譲らないとのことです」
「嘘だろー別に通ってなくても大学受験は大丈夫だぞ?」
「それは承知の上ですよ。まああなたの父上のことですから…..」
「まあ、そうだよな」
秘書さんが部屋を出てったと同時に料理が運ばれてきた。
それにしても理由がこんなにちっちゃなもんだとは思ってもいなかった。
なんだよ『引きこもりを治すため』って!
でもなんか父上らしいかな、これが最後の命令なんて
「あなたが最初に紙を差し出してきた時ビックリしました。『盗聴されてる。今俺が嘘の考察を話すから、話合わせろ』でしたっけ?」
「お前には能力があるってことは、俺も秘書さんも知っているからな」
「私の能力に反応していないということはその言葉は本当だったと思いますもの」
「そうそうだから秘書さんも本当の話だと思い込んで、ここに現れたわけだ」
「でも例え本当だと思い込んでも現れるとは限らなかったにでは?」
「いや、あの秘書さんのことだから俺が正体を見破ればゲームクリアということにしてると確信してたからな」
「ふふ、よく知っていられるんですね?」
「ああ、昔はとても仲が良かったからな」
はじめに出された料理はトリュフのカルパッチョだった。
シェフの説明によると、カルパッチョはイタリア料理の一つで生のヒレ肉の薄切りにチーズもしくはソースなどの調味料をかけた料理のことらしい。そして今回の料理にはかなりの量のトリュフが使われているみたいだ。
見た目、香りは素晴らしい。どんな味なのか沢山の妄想が広がる。
冷めないうちに一口食べてみることにした。
いや料理自体は元々冷たい料理だった。
「どうですか?高級レストランには初めて来たんですよね?」
「なぁこのトリュフってやつは食べても死なないのか?」
「急にどうしたのですか」
「こんな美味しいもの代償なしに食べられるわけないだろ?」
「大丈夫ですよ。私は人生で何回も食べたことがあります」
「これを何回も?価値観狂ってるんじゃないのか?」
「失礼ですわ。あなたの方こそどれだけ普通のご飯を食べてきたのですか?」
「朝はカップラーメン、夜にもカップラーメンが大体」
「もはや普通でもなかったですね」
「だってな、面倒くさかったんだよ」
「あなたの料理くらい従者が作ってくれないんですか?」
「俺の従者は料理が苦手でな、作った料理は死ぬほどまずいんだ」
「毎日カップラーメンの人間が不味く感じるって相当ですね」
「そんなにいじんなくてもいいだろ」
そんなこんなでメインディッシュを食べ終わった。正直言って人生で忘れられない瞬間だった。あんなに美味しい料理があるなんて思いもよらなかった。
「あのー、聞いてますか?」
「このデザートも随分と立派だな!ワインに合いそうだ!」
「あなたまだ未成年でしょ、飲めないですよね?」
デザートを食べ終わり、帰ろうとしたところを金子に呼び止められた。
「もしよかったら、協力関係は継続させませんか?」
「なぜだ?目的は失ったはずだろ?」
「これからも私たちをはめようとするものは出てくるでしょう。だから2人で、」
「それは無理だ」
「なぜですか?」
「お前にはまだ解いてない謎がある」
「謎なんてあるんですか?」
「正確にはお前にはないかもな、お前の父に謎がある」
「そういうことですか」
「ああ、お前の父親はなぜこの学校を潰したかったのかだ」
「今回の件は黒鉄さんの父があなたのために仕込んだ物ですものね」
「そうだ、お前の父とは無関係なはずだ」
「それは私にはわかりません」
「まあ、そうだろうな。その謎がある限り協力関係というのは避けた方がいいな」
「はい、全くです」
「まあ、進展があったら連絡する。また明日な」
「待ってください」
「なんだ?」
「いえ、なんでもないです」
「じゃあまた明日!」
あ、明日は休日だ。
お読みいただきありがとうございます。
5話からは物語の本筋に入ってきます!
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