第69章:二度と (Never Again)
最悪の事態が起きた。
彼が信じた法。彼が守ろうとしたシステム。シェウ(Sheu)が疑いを持った時も、スネークやリリー、バイロンが彼を説得しようとした時でさえ、彼が信じ続けた権威。彼は彼らの議論の中心に立ち、その信念のための防衛線を死守してきた。
それが、彼をここへ導いた。彼の友人たちを鎖で繋ぐ結果を招いたのだ。
彼に残された行き場は、あと一つしかなかった。安全のためではない――『指針』のためだ。自分がすべてを台無しにしてしまったわけではないと、誰かに言ってほしかった。これも計画の一部であり、その計画はまだ生きているのだと。
だから、道の上にその人影を見た時――踵から火の粉を散らし、一歩ごとに土に焦げ跡を残しながら歩いてくるその姿を見た時――疑念を抱くよりも早く、安堵の波がモトの全身を駆け巡った。
「マスター・G!」モトはつまずきながら駆け寄り、言葉がせきを切ったように溢れ出した。「ああ、空に感謝します――何が起きたか、あなたには想像もつかないでしょう。すべてが裏目に出ました。反乱軍、逮捕劇――リリーが――」
グウェン(Gwen)は、静かに立ち尽くしていた。
モトは話し続けた。自分でも気づかないうちに、その声には悲痛な絶望が滲んでいた。「こんなことになんて、したくなかった。俺は助けになりたかったんです。法が彼らを守ってくれると信じていた。俺たちはただ、一度戻って――これを報告して――ダグラス王を見つけて、事態を修正しなければ――」
彼の背後で、グウェンの右手がゆっくりとカップ状に丸められた。
そこに炎が凝縮されていく――高密度で、重く、完璧に制御された炎。
「『炎の競技』」グウェンが静かに言った。
「え?」
「『砲丸投げ(ショット・プット)』」
モトが顔を上げた、まさにその瞬間。それがグウェンの手から放たれた。
モトは反射的に頭を横に逸らした。火球が彼の背後の道路に激突し、その爆発が彼の体を宙に浮かせた。熱波が背中を打ち据え、髪を前方に吹き飛ばす。彼は地面に叩きつけられ、滑り、なんとか足場を見つけて振り返った。
グウェンは、笑っていた。いつものような皮肉なニヤリ笑いではない。その下にある、もっと冷酷な何か。ずっと、この時を待ちわびていたかのような笑み。
「……今のは、俺が死んでたかもしれないぞ」モトが言った。最後の言葉で、彼の声が震えた。
「俺は命令に従っているだけだ」グウェンは答えた。「だが、認めよう――」彼はわずかに首を傾げた。「――今回の任務は、個人的にも楽しめそうだ」
モトは一歩後ずさった。「……誰の、命令だ?」
グウェンは、「相手がすでに答えを知っている」と判断した者特有の、忍耐強い目で彼を見た。
「嘘だろ」モトは即座に否定した。「違う――ダグラス王が俺をこの任務に就かせたんだ。俺を信頼してくれたから!」
「ああ、王はお前を『信頼』していたさ」グウェンが言った。「だからこそ、お前を選んだんだ」
その言葉が、宙に重く沈んだ。
「ニカ(Nyika)で」グウェンが続ける。「ダグラス王が見出したのは『孤児』だった。忠実。献身的。厄介な問題を引き起こすような家族構成もない。ためらうことなく命令に従い――仮に死んだとしても、誰も探しに来ない」彼は一拍置いた。「使い捨てのスパイ。……実にお手軽で、シンプルだ」
モトの呼吸が止まった。
「シェウの父親も、その一人だった」グウェンが付け加えた。
何かが、砕け散った。
モトの皮膚から煙が漏れ出し始めた――最初は薄く、やがて濃度を増し、暗く広がる波となって彼の体から巻き上がり、背後の道がグウェンの視界から完全に消え去った。
グウェンは鼻から息を吐いた。「またこれか」
彼は手首をスナップさせた。高密度の火球が煙を突き破り、起爆する。
爆風がモトを後方へ吹き飛ばした。彼は音もなく地面に叩きつけられる。叫び声も上げない。身じろぎ一つしない。彼は仰向けに倒れたまま、煙が漂う空をただ見つめていた。
盲目的な信頼。命令。権威。
その、すべてを。
彼はスネークのことを思った。何の証明も求めず、ただ助けになってくれた彼のことを。タナカの声:『あなたは人を信じすぎるのよ』。父親が死んだ後のシェウの静かな疑念――すでに真実を知っており、相手がそれに追いつくのを待っている者特有の、あの静けさ。
そして――アンバー。
ニカにいる彼の妹。ダグラスの「保護下」にある。ダグラスの『手の届く範囲』に。
『走れ(逃げろ)』。どこか、ああいう声が住み着いている場所から、母の声が響いた。
走れ。
だが、どこへ? アッシャーはもういない。仲間たちは鎖に繋がれている。彼が逃げるたびに、何かが後に残された。誰かが、見捨てられた。
「逃げろ……走れ……にげ――」
「……いやだ(No)」モトが囁いた。
グウェンが眉をひそめた。「あ?」
モトは、身を起こした。
彼の目が、変わっていた。野生でもなく、裏切りによってひび割れたわけでもない。焦点が定まっていた。複雑だった物事が、極めてシンプルになった時の、あの目。
「二度と(ネバー・アゲイン)」彼は言った。
アスファルトがジリジリと焼け焦げる音を立て始めた。
彼が息を吐く。高密度で膨張する煙の波が彼から噴出し、道路を丸ごと飲み込んだ。
グウェンの声が灰色の霧を切り裂く。「お前は本当に、何一つ学んでいないようだな、坊主?」
霧の中で、オレンジ色の光が閃いた。
――ドォォォォンッ。
衝撃波が煙を引き裂き、胸の前で両腕を交差させたモトの姿を露わにした。その足は、衝撃を吸収しながら道路に深く溝を刻んでいる。彼は一言も発しなかった。爆風が収まると同時に、再び息を吐く。さらに多くの煙。さらに濃く。
「退屈だな」グウェンが毒づいた。彼は指を鳴らす。もう一つの火球が――より速く、より重く――新たな煙の雲へと撃ち込まれる。
――ドォォォォンッ。
瓦礫が雨のように降り注ぐ。モトは肩から泥の中へと転がり、自ら立ち上がり、服に土埃を、唇に血を滲ませて立った。
「いつまで続ける気だ?」グウェンが一歩前に出た。今や明確に苛立っている。「俺がお前を灰にするまで、その霧の中に隠れ続けるつもりか? 男らしく散れ」
モトは何も答えない。彼の皮膚から、さらに別の煙の波が転がり出た。
グウェンは鼻で笑い、忍耐強いふりをするのをやめた。彼は頭上に手を掲げ、その構築物へとエネルギーを注ぎ込む。火球が成長するにつれて周囲の空気が歪む――高密度で、唸りを上げ、地面を綺麗に削り取るほどの質量を持った炎。
煙の中で、モトはその光の集束を見ていた。構え(スタンス)。予備動作。体重移動。
(……見切った)
「ん?」グウェンが眉をひそめた。
彼が、それを投げ放つ。
火球は、落下するビルのような質量で煙の土手に激突した。――カブォォォォォォンッ!!
道路が岩盤まで分解される。煙が完全に消滅する。グウェンは確信と共に、目を庇った。
クレーターの中は、空っぽだった。
彼は瞬きをした。
彼の左側、十メートル先。爆心地の外の、澄んだ空気の中に立つ:モト。真っ直ぐに立っている。肩に落ちた灰の欠片を払いのけている。息も切らしていない。血も流していない。
『観察』している。
「何――」グウェンの笑みが崩れた。「どうやってそんな速さで動いた!?」
モトは再び自分から煙を立ち上らせ、何も答えなかった。
苛立ちが、怒りへと変わった。グウェンは放った――高速で高密度の、熱の連射。モトは煙の中へと溶け、爆発は何も捉えられず、煙が晴れる。モトが近づいている。グウェンは再び撃つ。結果は同じ。さらに近づく。
「俺を……コケにするな!!」
彼は両手を強く叩き合わせ、それを引き離した。その間の炎が引き伸ばされ、螺旋を描きながら高密度の空気力学的な楕円形へと変わる。彼はその質量を、確かにこの手の中に感じていた。
「『炎の競技:弾丸ラグビー(ラグビー・バレット)』!!」
彼は足を踏みしめた。体全体を捻って溜めを作り、投擲にすべてのトルクを乗せる。胸が開く。彼の目は、煙の雲の中心にロックオンされていた。
彼が、振りかぶる。
煙が、割れた。
遠距離ではない。『ここ』だ。彼のガードの内側。雲は彼が撃っていた場所にあったのではない――それは、一つ一つの爆発の間を縫って、一定の速度で『移動』していたのだ。グウェンの目が爆発に気を取られている間に、距離を詰めていた。
モトはすでに、グウェンの腕と体の間の空間に入り込んでいた。
「『瞬歩』」モトが言った。
全力疾走の全質量を乗せた彼の肘が、グウェンの鳩尾に突き刺さった。
――ゴキッ。
絞り出されるような喘ぎ声と共に、グウェンから空気が抜け出た。頭の中のすべての思考が「痛み」という一点に収縮し、炎のラグビーボールが無害な火花となって霧散する。彼の目が限界まで見開かれた。足が地面から浮き上がる。
彼はモトの腕の上に「くの字」に折れ曲がり、衝突の威力によって宙に吊り上げられたまま、いつもとは違う異常な角度から眼下の道路をしばらくの間見つめていた。
(こいつを……甘く見ていた)
地面が猛スピードで迫ってくる中、その思考は、遅すぎて何の役にも立たないものとして彼の脳裏に到達した。




