第42章:未知へ (To The Unknown)
広場が見えるよりも早く、その音が彼らの耳に届いた。
角笛の音。それは空気を震わせながら高く高く登り詰め、耳というよりも骨の奥底に直接響くような音だった。街の人々がその音に吸い寄せられるように移動していく。それは、すでに心の中に恐怖を抱え込んでいて、それを『どこにぶつければいいのか』をちょうど与えられたばかりの人間特有の、切迫した足取りだった。
他の者たちが家から出ていく中、アッシャーは家の裏で座り込んでいるシェウを見つけた。
「行くぞ」と彼が言った。
シェウの目が、モトの目を捉えた。モトは少しの間、その視線を受け止めた。彼女の目の中に何があるのか、彼には分かっていた――傷つき、距離を置き、本来ならもっと早く明かされるべきだったすべての秘密の重みに押し潰されそうになっている目。
彼は分かっていた。だが、それに報いるための言葉が、まだ彼の手の届かない場所にあった。彼はいつだって、どんな相手との戦いにも飛び込んでいける勇気があった。しかし、『ただその一言を言う』ための勇気をどうやって振り絞ればいいのか、彼にはまだ分からなかった。
彼は背を向け、歩き出した。
アッシャーは彼女に向けて静かに微笑んだ。「来な」
彼女は立ち上がり、彼らの後を追った。
広場の端に差し掛かったところで、アッシャーが彼らを止めた。「下がってろ」
広場の中央には、五人の男が立っていた。
カンゲツ(Kangetsu)が首を鳴らす。「さっさと殺しちまおうぜ」
セブン(Seven)――今日はまた別の顔を被っている。より若く、薄い赤毛で、顎から手首にかけてタトゥーが這い上がっている顔――が口を開いた。「本業の暗殺者の時ですら、誰も殺せなかった男がよく言うよ」
「うちのボスが制約にうるさすぎただけだ。男にはもう少し自由が必要だろ」
リアム(Liam)の手が、カンゲツの肩に置かれた。「シンバ(Simba)が俺たちをここへ寄越した理由は、それじゃない」
「どうせあいつはここにはいねえだろ」
「口を慎め」
セブンのブレスレットが光を反射した。「詩的なのがいいんだよ、カンゲツ。俺たちが求めているのは『詩的なもの』だ」
「詩的だあ? ふざけ――」
「そこまでだ」フリント(Flint)は、長すぎる間『待機』させられていた者特有の、コイルのように巻かれたエネルギーで微かに振動していた。「シュピ(Shupi)。もう一度だ」
地面に横たわり、胸の上に角笛を乗せていたシュピが片目を開けた。「このパートはカンゲツがやるはずだったんじゃないのか?」
フリントが彼から角笛をひったくる。シュピが身を起こして前へ出た。彼の唇から微かな緑色の霧が漏れ出し、同時に音が響き渡る――先ほどよりも低く、全く違う音域。胸の奥深くに沈み込み、そこに留まり続けるような音。
群衆が厚みを増していく。水面を伝う波紋のように、人々の間で囁き声が交差した。
『あれは、あの七つ子か?』
『彼らが、帰ってきたのか?』
広場の後方が、パカッと二つに割れた。そこに二人の人物が立っていた――青ざめ、震え、両手を強く握りしめた夫婦。リアムが両腕を広げると、彼が声を張り上げているようには見えないのに、その声は広場の隅々にまで響き渡った。
「兄弟たち。姉妹たち。パシの民よ」一拍。「シンバは健在だ。アサド(Asahd)も生きている、相変わらず虚弱ではあるがな」
群衆の間を、目に見えるような安堵の波が通り抜けた。彼らについては、何年もの間、ある噂が囁かれ続けていた――週末の礼拝の日にだけ寺院に姿を見せていたあの七つ子が、ある日突然ゲヘン行きの列車に乗り込み、そのまま二度と戻ってこなかったという噂だ。
「だが、俺たちはここに留まるために戻ってきたわけではない」リアムの顔から、温もりが完全に抜け落ちた。彼の指が、広場の後方に立つ夫婦を真っ直ぐに指差した。「俺たちは、彼らのためにここへ来た」
息を呑む音。どこかで囁き声が上がる。『彼ら、家族の元へ帰ってきたんだわ――』
兄弟たちは夫婦の元へ歩み寄った。彼らが交わした抱擁には、一切の温もりが存在しなかった。
カンゲツが体の脇で拳を握りしめる。フリントの手が彼の腕を掴んだ。『待て』。
リアムが小さなナイフを抜き、自身の手首に浅い切り傷を作った。群衆が怯む。「こんなものは」彼の声が一段低くなり、親密で、そしてひどく冷酷な響きを帯びた。「俺たちが耐え抜いてきたものに比べれば、無に等しい」彼は顔を上げた。「だが……言葉で語るより、見せよう」
兄弟たちが群衆の中を歩き回り、彼の血を受け取り、それを人々に撒き散らした――そして、『幻視』が訪れた。
広場の景色が消え去った。
代わりに現れたのは、冷たい地下室。神聖な寺院の衣服を着た少年たちが、彼らの両親の手によってそれを剥ぎ取られ、地下への階段を突き落とされていく。上階の暖かい部屋では、十分に食事を与えられた一人の少女がそれを見下ろしており、少年たちの頭上で無情に扉が閉められる。
何年にもわたる時間が、数分間へと圧縮されて脳内に流れ込んでくる――飢え。寒さ。声を上げても何も変わらないと悟った子供たち特有の、あの静寂。殴打。飢餓。そして、それが日常の『習慣』として身についてしまった両親の、完全な無関心。
幻視が解けた時。そこには、すべてを暴かれた両親が立っていた。彼らの顔は斑に赤く染まっていた――自分たちのしたことに対する恥ではなく、それを『見られた』ことに対する動物的な恥辱によって。
リアムの声が再び響き渡った。「この世界は、欺瞞の上に成り立っている! 煙と鏡の騙し絵だ。そしていつだって、お前たちの背中にナイフを突き立てるのは、最も身近にいる人間なのだ。お前たちを嘘の鎖に縛り付けるのは、お前たちが愛している人間なのだ!」
群衆の端で、シェウの爪が掌に深く食い込んだ。
父親の死。モトの隠された過去。リアムの言葉が切り開いた心の傷口に、彼女が抱えるすべての『答えの出ない疑問』が塩のように擦り込まれていく。
「見捨てられたと感じているすべての者よ。裏切られた者よ。誰からも必要とされていない者よ。俺たちと共に来い――ゲヘンへ! 決して偽りのない、唯一の土地へ。未だ自由が残されている、唯一の土地へ!」
群衆が波打った。歓声と涙が、同じ呼吸の中で爆発する。
その時。
高く、戯れるような声が、布を切り裂く刃のようにその熱狂を切り裂いた。
「あらあら。家族に向かって、そんな口の利き方はないんじゃない?」
彼女は上空から降ってきた――真紅のマントを背後に大きく広げ、長い髪に光を反射させながら。そして、少しばかり『歯が多すぎる』ニヤリとした笑みを浮かべ、ウインクをして着地した。最前列にいた男たちが、突如として鼻血を吹き出す。
「パパとママは、あんたたちにマナーを教えなかったの?」彼女は甲高く笑った。「ああ、そうだったわね。教えてくれなかったんだったわ」
「ペイジ(Page)!」リアムの完璧な冷静さが、真っ二つにひび割れた。
カンゲツが飛びかかる。彼女は彼を見ることすらなく、笑いながら軽やかに身をかわした。信条の兄弟たちが一斉に動く――激怒が、彼らが普段は面倒くさがってやらないほどの完璧な連携を生み出していた――だがペイジは、まるでこの状況を以前にも経験したことがあり、それを『少々退屈だ』とすら感じているような特有の余裕を持って、その猛攻のど真ん中に立ち尽していた。
リアムが血まみれの手を掲げた。ペイジは、これから送り込まれてくる『幻視』を、すでに暗記しきったメニュー表でも読むかのような顔で待ち受けていた。
――何も、起きなかった。
リアムの顔に浮かんだ驚きは短く、すぐにひどく冷たいものへと取って代わられた。彼は一歩後ずさる。カンゲツとセブンが両側から彼女に突進する。彼女は焦る様子もなく、ふわりと宙に浮いてそれを躱した。
シュピが毒の血のベールを投げ放つ。カンゲツも同時に自身の血を起爆させ、容器が砕け散り、真紅の飛沫が広範囲にばら撒かれた。
群衆の端で見守っていたタナカが、静かに呟いた。「あいつら、全員が何らかの『血液操作』の能力を持ってるのね」
アッシャーが一度だけ頷く。「一人一つずつつな」
土埃が収まった。ペイジは彼らの頭上に浮かんでおり、兄弟たちの血で自分のマントが汚れたことに心底うんざりした顔をしていた。彼女は自分の服の惨状を見下ろし、それから下で構える五人を見下ろした。その視線にあるのは、怒りすらも通り越し、その向こう側にある『疲労感』へと到達してしまったほどの、絶対的な軽蔑だった。
「やっぱりね」リアムの声は平坦だった。「血族には効かないってわけだ」
フリントの顎がこわばる。彼が自分の唇を噛み切った。その血が彼の舌に触れた瞬間、彼は消えた――『速く動いた』のではない。完全に『消えた』のだ。彼の背後で空気が弾け、広場の誰の目もその動きを追えないうちに、彼の拳がペイジの顎に到達していた。
ペイジは空中で彼を見据えた。「もう、遊びは終わりよ」
光の波が、壁のようにフリントを打ち据えた。彼は激しく後方へ吹き飛ばされ、広場は静まり返った。
彼女は眼下の残りの者たちを見下ろした。「行きなさい。私が『後悔するようなこと』をしてしまう前に」
アッシャーの後ろのどこかで、ナジョが呟いた。「俺たちが警戒しなきゃならない奴らって、こいつらのことか?」
アッシャーの声はひどく静かだった。「彼女がこの戦いを『簡単そうに見せている』という事実こそが、最高に恐ろしいことなんだ。ここにいない奴ら――この四人が広場で手こずっている間に、自分たちだけでゲヘンを支配し維持している奴ら――あいつらこそが『設計者』だ。お前が今見ているのは、その残りカスにすぎない」
信条の面々が立ち上がった。彼らの上にのしかかる敗北感は、怒りをただ鋭く研ぎ澄ますだけの特有の形をしていた。
両親から選ばれた子供。すべてを与えられた子供。彼女はまたしても彼らの頭上に立ち、彼らをいとも簡単に退けた。彼らは自分でも気づかないうちに彼女の下で育ち、そして今、また違う広場で、同じ目に見下ろされているのだ。
彼らは一斉に彼女に襲いかかった。
その後に続いた屈辱は、徹底的で、完璧なものだった。
唇から血を流しながら地面から身を起こし、セブンが言った。「もしシンバがここにいたら、お前はとうの昔に死んでたぞ」
ペイジの表情が変わった。そこにあった余裕が消え、より古く、より複雑なものへと取って代わられる。「あんたたち、まだそこまで私のことが憎いのね」彼女は言った。それは質問ではなかった。
兄弟たちは何も答えなかった。恥辱には独自の重みがあり、彼ら全員がそれを背負っていた。彼らは踵を返し、歩き出した。そして、暗闇も彼らと共に去っていった。
ペイジは彼らが去るのを見つめていた。「ええ、そうね」彼女は静かに、誰に向けるでもなく呟いた。「行きなさいよ。逃げればいいわ。いつだって、そうしてきたように」
彼女の視線がアッシャーへと移る――アッシャーは、静かな揺るぎなさでそれを見返した。彼の隣では、モトとアンバーが彼女を見つめていた。不正義を目撃し、その信念をどう隠せばいいのかまだ知らない人間特有の、透明な顔で。
彼女は少しの間その視線を受け止め、そして、兄弟たちがいた場所へと向き直った。
彼女の両親が彼女の名前を呼んだ。その声には感謝と安堵が満ちていた。彼女は両親を見た。辛うじて『笑み』と呼べるような、ほんのわずかな微笑みを向けた。そして、一言も発することなく、その場を立ち去った。
夜が深まる頃には、広場はすっかり空になっていた。信条は去り、その後ろには行列が続いていた――持てるだけの荷物を抱えた村人たち、傷ついた者、居場所を失った者、そしてリアムの言葉の中に『何か』を見出し、それに従って街を出ることを選んだ子供連れの親たち。
家への帰り道、アッシャーの声は重苦しかった。「ここはもう安全じゃない。次にシンバが来たら、俺たちを救ってくれるペイジはいないんだからな」
ティナシェが彼を見た。「じゃあ、どこへ?」
ナジョが言った。「ニカだ。俺の母さんなら、客が増えても気にしないさ」
アッシャーがモトをちらりと見た――答えを促す、真剣な眼差し。
モトはアンバーの手を握った。「ああ。サンゴの任務を終わらせたら、みんなでニカに移住していいって、王様が言ってた。王様が許可を出してくれるはずだ」
アッシャー、アンバー、そしてティナシェの顔から緊張が解けた。
彼らの後ろを歩いていたシェウは、何も言わなかった。だが、彼女の中で何かのピースがカチリと音を立ててはまり、その唇がわずかに動いた。(だからあいつ、あの任務を引き受けたんだ)
「サンゴと言えば」モトが言った。「そろそろ出発しないとな。早く終わらせれば、それだけ早く戻ってこれる」
「俺はいつでもいいぜ」とナジョ。
タナカが手を挙げた。「私も同行したいわ。あそこには『ファンゲの隕石』が最初に落ちたクレーターがまだ保存されているし、まだカタログ化されていない植物種もあるのよ。どんなチームにも、放射線の専門家は必要でしょ」
モトは微笑んだ。「歓迎するよ」
エイモンが彼を見た。「俺はここに残ってもいいか?」
「ダメだ」
シェウが、歩みを止めた。
「私は、あんたたちとは行かない」
その言葉は、バタンとドアが閉まるような響きを持って落ちた。モトが振り返る。「……なんだって?」
「私はニルヴァーナへ行くわ。父さんに何があったのか、見つけるために」
彼はそこに立ち尽くした。出会った日から、彼らが離れ離れになったことは一度もなかった。この言葉に対する答えが、彼の中からはどうしても出てこなかった。
アッシャーが伏し目がちに言った。そして、「俺が一緒に行こう」と告げた。
モトは兄を見た。
「あの光の柱に止められる前、俺は元々あそこへ向かっていたんだ。やり残した仕事があってな」彼はモトの目を真っ直ぐに見返した。「こいつを一人にはしないさ」
沈黙。そして、ゆっくりとした頷き。それぞれの道筋が、ここで定まった。
翌朝、街の門には、まだ冷たく早い朝の光が差し込んでいた。
ティナシェは、必要以上に長くモトを抱きしめた。「体に気をつけるのよ。他の子たちのことも、お願いね」
アンバーはモトの胸に顔を押し付け、自分が納得するまで絶対に離れようとしなかった。「約束してね」
「約束するよ」
シェウとモトは、互いの顔を真っ直ぐに見ることはないまま、近くに立っていた。二人の間に残された『言葉にできなかったこと』は、温かく、重く、そして未解決のままだった。アッシャーは弟と最後の挨拶――手を合わせ、額と額をぶつける――を交わし、一歩下がった。
彼らは、分かれた。
モトは、群衆に飲み込まれて見えなくなるまでシェウの背中を見つめ続けていた。そして、北へと背を向けた。
デンガの玉座の間で、ダーシー(Darcy)が一礼した。「会談の準備が整いました、我が君。明朝、出発いたします」
マラキ(Malachi)が頷く。「よかろう。帰り道には、ゼン(Zen)を通過するぞ」
ペイジが、あの軽やかな足取りで廊下からふらりと入ってきた。「ダーシー、さっきすごく集中してる人を見かけたのよ。なんだか、あなたを思い出させちゃったわ」
ダーシーが、正確に計算されたように眉をひそめる。「ふんっ」
マラキの視線が、二人の間を行き来した――急ぐことなく、鋭く、すべての情報を頭の中でファイリングしながら。
パシの外れ。暗闇の中で、信条の面々が座り込んでいた。
リアムが地面を見つめている。「すべての愛を注がれたあいつは――」
「――すべての力を持っていたってわけか」カンゲツが引き継いだ。ほとんど笑い声に近い響き。「詩的じゃねえな」
彼らはそのまま座り続けていた。やがて、道路の脇の暗がりから、『彼ら』がやって来た――家族連れ、子供たち、臆病な者、居場所を失った者、そしてリアムの言葉の中に『何か』を見出し、それでも街を出ることを選んだ人々。彼らは警戒しつつも、希望を抱いた距離を保って立っていた。
リアムが立ち上がった。他の兄弟たちも彼に続いて立ち上がる。
「俺たちと共に来い」彼が言った。「ゲヘンへ。自由の地へ」
彼らが歩き出すと、その背後に長い影が伸びた。そして、もう失うものが何もない人々が、彼らと共に歩き出した。
(パシ編・完)




