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第35章:光の柱 (Pillar of Light)

治癒


治療師の住居はこぢんまりとしており、ハーブの香りが立ち込めていた。壁が近いため、その匂い自体が一つの『存在』のように感じられる。彼女の手は細く、血管が浮き出ていたが、ナジョとシェウの頭にその手が置かれた時、予想外の重みがあった――一つのことを長く、正確にやり遂げてきた者だけが持つ、深くいかりを下ろしたような静けさ。

低い鼻歌のような振動が、彼女の掌から二人の骨へと伝わっていく。ナジョの頭皮の下を熱が這い回った。シェウの周囲では空気が微かに揺らいだ。まるで、彼女の中の何かが正しい位置に収まり、部屋全体がそれに合わせて調整されているかのように。

打撲の青黒さが薄れていく。裂けた皮膚が糸を紡ぐように塞がっていく。痛みの最も鋭い部分が引いていき、代わりに、肋骨の奥底に溜まるような深い疲労感が残った。


治療師が静かに手を離すと、彼女は乾燥したハーブの束を二人の掌に押し付けた。「これを燃やしなさい」枯れ葉のように脆く、乾いた声だった。「幻視を見るためではない。休息のためだ。痛みの下層に留まり続けるもののために」


ナジョは自分の手にあるハーブの束を裏返した。先ほどの瞑想のフラッシュバックが脳裏をよぎる――至る所に存在する雷。そこへ手が届かないという、絶対的な不可能感――彼の顔にほんの一瞬だけあの古い恐怖が浮かんだが、彼はすぐにそれを奥底へ押し込んだ。「……あんたの言葉が正しいといいけどな」と彼は呟いた。


トリニティの微笑みは辛抱強かった。「休んでください」彼女はソリス(Soris)の追悼式の準備を始めるため席を外し、残された三人は瞑想の公園へと向かった。


公園には誰もいなかった。彼らの間で、ハーブが静かに煙を上げている。ナジョは火のついていない自分のハーブの束を握りしめ、何度も裏返していた。


「やっぱり、やめた方がいいかもしれない」と彼が言った。「痛みが人間を研ぎ澄ませるんだ。それが成長ってやつだろ」


シェウは彼を見た。その強がりの下にあるものを見透かしていた。「無理してタフに振る舞う必要はないわよ、ナジョ。私たち、二人とも怖かった。それでいいじゃない」


彼の顔がサッと赤くなった。「俺はタフだぞ! あの岩盤を見たか?」


すべてが終わった後だというのに、シェウの唇に微かな笑みがこぼれた。「ええ。あれは凄かったわ」


「お前こそ」彼は、彼女の腰にあるニルヴァーナの刃に顎をしゃくった。「あの怪物たちを相手に……あの風の三日月。あれはヤバかったぜ」


「ありがとう」彼女の声の温もりは、一瞬だけそこにあった。しかし、すぐに冷たいものが彼女の中を通り抜け、彼女は父親のポンチョをきつく引き寄せた。「モトのこと、気づいた?」彼女の声は、ささやき声よりもわずかに大きい程度だった。「ソリスが倒れた時――あいつ、微塵も怯まなかったわ」


ナジョは眉をひそめ、記憶の中の混沌をかき分けた。「正直に言うか? 俺はモトの顔なんかより、もっと追わなきゃならないデカい問題があったからな」彼は肩をすくめ、両手を後ろについて寄りかかった。「なんでだ?」


シェウは何も言わなかった。彼女はハーブから立ち上る煙を見つめ、その思考を見つけた場所(胸の奥)にそのまま留めておいた。


追悼式


埋葬地は、数えるのをやめてしまうほど古い木々の下、風化して丸くなった石の輪の中にあった。その中央で、ゼンの『精神の鉱石スピリット・オア』が、穏やかな青緑色ティールの光をゆっくりと、一定のリズムで明滅させている。浅瀬の水のような色の光が、すべてを洗い流すように照らしていた。


ソリスの両親が王の前にひざまずいていた。彼らの悲しみは、漏れ出る嗚咽の音だけでは到底収まりきらないほど巨大だった。コーサ王も彼らと共にひざまずいている。モトはトリニティの隣、石の輪の端に立ち、ナジョとシェウはそのすぐ後ろに控えていた。


やがてコーサが立ち上がり、一語一語、足場を確かめるように言葉を紡ぎ始めた。「彼女は勇敢であった。彼女の犠牲が、本来失われるはずだった多くの命を救ったのだ。彼女がこのような最期を迎えるべきではなかった――あのように若く、あのように精神スピリットに満ち溢れていたというのに。我々の祖先の目から見れば、我々は皆等しい存在だ。静かなる大地へ、我々は皆、還っていくのだ」


モトは集まった人々の顔を見渡した。アンドザニの姿はない。エイモンの姿もなかった。その二つの『不在』が、モトの胸の奥に不穏なざわめきを残した。


コージが彼らの隣に歩み寄ってきた。彼の持ち前の温かさの中に、悲しみが糸のように縫い込まれている。「このような場に立ち会わせてしまって、申し訳ない」


クザイの言葉はより短かった。「彼女に敬意を。この戦いが教えようとしたことを忘れるな。生き残れ。より強くなれ。……それで十分だ」


彼らはそれぞれ違う形でその言葉を受け止め、頷いた。そしてトリニティの後に続き、静まり返った街の通りを戻っていった。


その日の夕食は、ひどく沈んだものだった。昨夜のあの気楽な会話が、まるで何週間も前の出来事のように感じられた。


夜の鍛錬


深夜。星が深く瞬く空の下、シェウはトリニティの家の屋根の上であぐらをかき、ゆっくりと呼吸をしていた。肩にはポンチョが掛けられている。彼女は、瞑想で教わったように自分の意識を外側へと広げていた――手を伸ばすのではなく、ただ『開く』感覚。眠りについた街の微かな振動が、自分自身の脈拍の下で『第二の鼓動』として感じられる。


眼下の地面では、ナジョが呻き声を上げながら、腕が震えるまで意志の力だけで岩盤を積み上げていた。行き場のない感情を、ただその作業に食わせているのだ。


モトが屋根に登り、彼女の隣に座った。彼の体重で、トタン屋根が小さく軋む音を立てた。「大丈夫か?」


「まあね」彼女は彼を見た。「あんたは?」


「エイモンのことが気になってな。それから、アンドザニのことも。昼間のあれは、ただの脅しじゃない」


下からナジョが、荒い息をつきながら屋根によじ登ってきた。「俺、何か聞き逃したか?」


モトは二人に話した――エイモンの一族の虐殺のこと。アンドザニがそれを、まるで当然の事実であるかのように正当化していたこと。そして、あの場で未だに宙吊りになっている『殺害の予告』のこと。


ナジョは彼をまじまじと見つめた。「あいつ、俺たちを助けてくれたじゃないか。俺はてっきり――」


「そんな単純な話じゃないんだ」モトが言った。


「じゃあ、それをどう受け止めりゃいいんだよ?」


モトは街を見渡した。彼にはまだ、その答えが出せていなかった。


その時、夜空が、真っ二つに裂けた。


数マイル離れたどこかから、黄金の光の柱が上空へ向かって一直線に噴き上がった。誰の許可も求めない、絶対的な確信に満ちた光が天を焦がす。世界がその光の下で青白く染まった。眼下の通りから叫び声が上がり、ドアが開く音が響き、人々が転がるように家から飛び出してきては、手で目を覆いながら空を見上げた。


ナジョが硬直した。言葉よりも先に、彼の顔に『理解』が浮かび上がり、そのすぐ後ろから絶望が這い寄ってきた。「嘘だろ――そんなはずはない」


「何なんだ、あれは?」


ナジョは唾を飲み込んだ。「もしジニンビのじいさんが正しかったなら……あの光は、デンガの王が死んだという合図だ」


モトの血の気が引いた。

デンガは、パシ(Pasi)の上空に浮遊している。パシには、アンバー(Amber)がいる。ティナシェ(Tinashe)がいる。


トリニティが屋根のハッチを勢いよく開けて飛び出してきた。黄金の光に照らされた彼女の顔は、真っ青だった。「本当です。あれはシグナル。デンガ王の死は世界の隅々にまで届きますが、パシは――」彼女は自分を落ち着かせるように息を吸った。「パシはデンガを崇拝しています。彼らが最も強い影響を受けるはずです」


モトはすでに立ち上がっていた。「行くぞ」


「どこへ?」シェウが聞く。


「道中で説明する。動け」


彼はトリニティの両手を取った。「ありがとう。全部にだ。お前は本当のダチだ。必ず戻ってくる。お前が、お前のリストにいる奴ら全員に会えることを祈ってるよ」


彼女は少しの間、彼の手を強く握り返した。「道中、どうかご無事で。約束ですからね」


彼らは屋根から飛び降り、走り出した。


宮殿


扉にたどり着くよりも先に、怒号が彼らの耳に届いた。


宮殿の中では、アンドザニがエイモンを壁に押さえつけ、少年の顎の下に銃口を強く押し当てていた。大理石の床には、すでに撃ち尽くされた薬莢がキラキラと散らばっている。コーサが両手で弟の腕を掴み、公然と涙を流しながら懇願していたが、その願いはアンドザニの激怒の前に敗北しつつあった。


「こいつはまた俺を襲ってきたんだ! 今ここで終わらせる!」


「まだ子供ではないか――アンドザニ、頼むから――」


「そいつを放せ」


モトの声が部屋を横切った。エイモンの目が即座に彼を捉えた――見開かれ、恐怖に満ち、希望とまではいかないが、それに極めて近い何かにすがるような目。


アンドザニは彼をちらりと見ただけだった。「すっこんでろ」


モトは両手を広げ、一定のペースで前へ歩み出た。「これがゼンの正義か? 裁判なしの処刑が?」


「正義だと? こいつは俺を殺そうとしたんだ――またしてもな――」


「あんたの義務は、ゼンのすべての民を守ることだろう。たとえ、あんたが憎んでいる相手だとしてもだ」彼はアンドザニの視線を真っ向から受け止めた。「こんなものは、ただの殺人だ」


「俺は『脅威』を無力化しているだけだ」


「なら、こいつを俺たちと一緒に連れて行く」モトは声を平坦に保った。「俺たちは今夜ここを発つ。あんたの手から離れるんだ。もしここであいつを殺せば、あんたはただの人殺しになる」彼は一拍置き、次に口にする言葉の重みが、自ずと相手にのしかかるのを待った。

「――もし殺すなら、俺はあんたを絶対に許さない」


彼が口にしなかったその名前が、二人の間の空気に確かにぶら下がっていた。

『アッシャー』。

アンドザニの顎が動いた。モトの兄の記憶が彼の顔を通り過ぎ、そして、銃口がほんのわずかに下がった。


次の瞬間、彼はエイモンを前へ突き飛ばし、背を向けた。「……勝手にしろ。そいつを俺の視界から消せ。もしこいつを連れて戻ってきたら、その時は二人とも終わらせてやる」


コーサが、彼らが到着する前からずっと止めていた息を、ようやく長く吐き出した。「ありがとう」と彼が言った。「モト――本当にありがとう」


モトは視線だけで彼を制した。「強くいてください。あなたの民には、あなたが必要だ」コーサは自分自身の芯を取り戻し、姿勢を正した。


エイモンはまだ小刻みに震えながら、彼らの後ろについて歩き出した。「どこへ、行くんだ?」


「お前が安全になれる場所だ」モトは歩みを緩めなかった。「遅れるなよ」


クザイが北門に立っていた。無表情のまま彼らを見つめ、そして道を空ける。ファンゲ・エネルギーで動く輸送車が、エンジンの低い唸り声を上げて待機していた。黄金の光の最後の一筋が空から消え去る中、彼らは車両に乗り込んだ。


四つの顔がモトに向けられた。待っている。


彼は手すりを強く握りしめ、自分自身を落ち着かせた。

「よし」と彼が言った。「説明する」

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